#3 リバと圭①
北上をはじめたリバは一気に加速して突っ走る。
「まだ先は長いから無理しないでね!」
「へーき、へーき。へっちゃらの……。……? 何か変なのが出てきた……」
「なんだろうね……? カルナさんの話だといろいろ出てくるって。何もしてこなければ放っておいていいってことだけど……」
ずんぐりした長ネギのようなあやかし(?)が姿を現したかと思えばリバと並走する。円らな瞳がかわいい。圭はゴーグルの中でスマホの画面を呼び出して検索した。
「『チョーシュー・リーキ』、リーキのマスコットキャラだって……。こんなのがいたんだ……」
「リーキってなあに?」
「西洋ネギ。なんかよくわからないけど取手で生産されてる……」
「おいしいの?」
「そうらしいよ、こんど取り寄せて食べてみようね!」
「わーい、楽しみ♪ あ、バイバーイ♪」
「キレテナイデスヨ〜♪」
チョーシュー・リーキは楽しそうに走って小貝川の手前で去っていった。
リバは速度を緩めずに疾走する。牛久沼を通り過ぎてさらに北へ。人の多い市街地と苦手な斜面や林を避けて水田地帯と原野を駆け抜ける。
(かけらよ、みなもとへ帰れ)
圭はユクルユフェーアを紡ぐ。女化原と呼ばれる一帯では出現した妖狐を地に返す。
「もともと天地の力が強いところなんだろうね」
「嫌な感じはすっかり消えたよ! 多かったね」
「たぶん鹿島さまが暴走しているからだと思う。鹿島神宮は常陸の神さまで、このあたりは昔、常陸だったわけだから」
「カトリさまっていう神さまでは抑え切れないの、カシマさまは?」
「邪な力が加わってるって、鹿島さまには。だから筑波さまと牛島さまの助けが必要なんだ。でもどちらもまだ静観している……」
「それならなおさら急がないと!」
「もう半分は来たよ。桜川っていう川が流れていてね、その手前の高台に小さなお堂があるんだ」
「なんてとこ?」
「月読宮二十三夜尊。桜川や霞ケ浦を遠くに眺めるようなところらしいよ」
「へえ、そこに精霊さんがいるんだ」
「……」
「……どうしたの?」
「さっきいったようにずっと昔に常陸だったところのほうが鹿島さまの影響が強い。珠兎の動きも把握できなくなってるし、ちょっと心配なんだ……」
「なるほど。圭、ちゃんとつかまってて!」
リバは翼を広げて飛翔した。上空高く浮かび上がって夜の風を感じる。
「たぶん圭の心配が当たってる!」
「えっ!?」
「トップスピードで行く! ちょっと気を配れなくなるから、振り落とされないで!」
「僕は平気だから、気にしないで!」
それにはもう返答することなく、リバは羽ばたいて加速した。風を切り裂いて一直線に突き進む。間もなく高台が見えてきた。
古い集落だ。家々がひしめき、お堂は高台の際にあって、そこをロボットが取り込んでいた。




