#3 柄
「それにしてもすごかったね、ルクフェネ。大空なのに、というか大空だからこそって感じに躍動してたよ」
「ありがと♪」
「でも急にどうしたの? 弾切れの降参を待つはずだったけど?」
ルクフェネは急に顔を真っ赤にして咳き込んだ。
「わっ、お水、お水!」
「だだだ、だいじょうぶ、平気、へんなトコに入っただけ!」
「そう? 慌てて食べちゃダメだよ」
(このスカートでオーデの背中に乗ったら、丸見せになっちゃうのか……。荷物の中にスパッツ入ってから、次からはちゃんと穿こう……)
「制服の予備を発注するから、承認してくれる?」
「はいはーい。こっちに表示してっと……ああっ!」
「?」
「えと、あの、裏地も指定、わ……忘れないでくれたんだね、感心、かんし〜ん……」
「うん、それ王家の紋章だよね。王宮見学のお土産とかにもたくさん使われてるんでしょ? やっぱり人気の柄なんだね」
「そ、そうなの、そうなの」
「ルクフェネもお気に入り?」
「そう、そう、とってもお気に入り、と〜っても」
「パンツも同じ柄だったもんね……わっ、ちょっとホントにだいじょうぶ!? 慌てて食べないで!!」
(ああっ!! そうだ、見せまくってた!! 見られまくってた!! ああ過去のわたしぃ……(泣))
それは古利根沼の森で〈セグレンデの二つ耳〉のシンクロ訓練をしていたときの話。
(丸見せじゃなかったのが不幸中の幸い……なのかな……? 荷造り任せちゃったもんねえ……)
シモウサ防衛局への赴任が決まって出発するとき、身の回りのものについては侍女にすべて任せてしまったのだ。
「——ルクフェネさま」
「ん? モルナ、何?」
「そろそろご準備を終えませんと。明日ご出発でございましょう?」
「とっくに終わってるよ、制服や防具、デバイス類はもう全部入れた。あとお気に入りのお菓子も」
「承知しております。任務以外でご着用になる私服や肌着などのことでございます。お化粧品や装身具もお選びいただきませんと」
「装身具とかは要らない。一人勤務だから面倒くさい行事もないし。私服とかはいつもの入れといてくれる?」
「ルクフェネさま……申し上げにくいのですが、かなり着古されたものばかりでございます。折角でございますから新しいものをお選びいただくのはいかがでしょう?」
「それならモルナに選ばしてあげる」
「またそのようなことをおっしゃって……」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。モルナはセンスいいし! 自信を持って!」
「そういうことではございませんが……、では、デンテナさまにもご相談させていただきますよ、よろしいですね——?」
(——で、入ってたのが、王家の紋章柄の下着一式。別にいいんだけど、それにしてもアレ……というかコレ、王宮博物館で売ってるヤツでしょ、お土産で? 最高級の生地なんだろうけど、ウチの王宮、なんかおかしくない……!? それを選ぶ母上も母上でどうかしてるんだけど! ……)
「ねえ、ウニクロだっけ、シモムラだっけ? 服とか売ってるとこ」
「しもむらファッションセンターが駅ビルにあるよ。買い物?」
「うん、ちょっとねえ……」
(見てないけど、荷物に入ってるスパッツも王家の紋章柄ね、きっと……)
当たり。
【江戸崎かぼちゃ】
稲敷市 江戸崎地区で生産されているかぼちゃ。「とれたて完熟」でホクホク甘々。




