#6 リバ
リバは少し離れてトボトボ歩いていた。
(こんなところにいる場合じゃないのに……。任務をこなして認めてもらわなくちゃいけないのに……。モミョ族は下級民族なんかじゃない、ほかのみんなと同じように役に立つんだから……だから、ボクがそれを証明しなくちゃいけないのに……)
「仲間のことが心配?」
「そりゃあそうだよ、ボクが任務をはたして帰ってくるのを待ってるんだから……あ」
いつの間にか圭が横を歩いていた。答えるつもりもない質問に思わず気持ちを吐露してしまったわけで、リバは、ぷいっとそっぽを向いた。
ルクフェネは向こうでクールダウンのストレッチ中。
「本当はすぐにでも強制送還しなくちゃいけないんだけど、ルクフェネが掛け合って、保留にしてもらってるんだ。できたらリバを助けたいんだよ」
「ふんだ、そんな手に乗るもんか。ボクからいろいろ聞き出したいだけだろっ」
「それもあるけどね」
圭は素直に認めて肩をすくめた。
「でも、それだけじゃない」
「……」
「仮面の男の名前や素性を話したら命を奪われるユーグネアも、解いてあげられるかもしれないよ」
「ほらきた! そのあとボクを利用する気なんじゃないか!」
「ううん」圭は首を振る。「いつ爆発するのかわからない爆弾を抱えているなんて辛いよ。それだけ」
「……」
リバは考える——が、またそっぽを向く。
「ルクだって一緒じゃないかっ。逆らうと電撃を喰らわせるユーグネアなんて、ひどいもんさ!」
「敵対する相手に警告をしてからね。電撃もきついだろうけど、それだけだよ。味方だと嘯いて命を奪うユーグネアを黙って仕掛けるのとは違う」
「……」
起伏のある小道を登っていけば広場に出た。ちょっとした展望台になっていて、木々の間に古利根沼を見下ろせる。
先客がいたようで誰かが背伸びをして向こうを眺めていた。気配を感じて振り返る。
「やあ、どうも」
ネズミかそれ近い種族のいわゆる獣人だ。小柄な体は茶褐色で、口許と手首・足首だけ明るいクリーム色をしている。大きなリュックを背負って旅人の服装に身を包んでいた。目深に被る帽子と鮮やかな髪飾りが印象的だった。
圭は会釈を返す。ルクフェネは一歩前に出て身分証を提示した。
「セーグフレード領シモウサ総督府、防衛局司令ルクフェネ・ティッセと申し上げる。旅券法第二十三条第四項に基づき、旅券と査証を確認させていただきたい」
相手は素直にカードを差し出した。
「はい、どうぞ」
ルクフェネは手首の通信機にカードをかざす。画面には正当な旅券と査証であることが表示された。氏名はコヨ・タキッシェ、プライバシー保護の観点から身分証の確認は機械的に処理され、問題が見つからない限りそれ以外の情報は表示されない。




