アロ無双!
3日連続更新できました!
明日もできるといいな……でも予定的には忙しいんです……頑張ります……
「只今、主人は体調を崩しておりまして……誠に申し訳ございませんが、わたくしが代わりにご用件をお伺い致します」
執事さん曰わく、ディミヌエのご当主はここしばらく寝たきりで、万が一感染性であったらいけないと隔離されているのだそうだ。奥さん達は当主の代わりに責務を果たそうと、王都やマシリ中を飛び回っているらしい。
当主の病のためヒトの出入りを制限しており、「ロクなお持て成しもできず申し訳ございません」と百目鬼さんが腰を折った。
でも、アタシ達の目的はそのご当主さんなんだよね。噂を信じるなら、仮病の可能性も大いにあるか……? いや、既に人前に出せない状態なのかも。
「寝込んでるで済まされてもねぇ……」
「あ、あの、奥様……?」
不信感のあまり、考えていることが口から零れ落ちてしまった。
マズっ! と思っても時既に遅し。執事さんがドキマギした様子でアタシの顔色をうかがっている。顔いっぱいの目があっちこっちにキョドっているから、不気味かつ、わかりやすい。うん、怪我の功名。これはクロだ。
「フィーリ様は『ドルゴーン大公家を何と心得る』と仰せなのです」
さてどう誤魔化して本筋に持って行こうか、と考えていたら、憤懣やるかたない様子のアロが割り込んできた。
アタシを盾にしてるけど、それはアロの思っていることなのだろう。声が尖っていて怖い。後ろを振り向くのは止めておいた方が良さそうだ。
「かなり余裕をもって事前にご連絡しておりましたでしょう? 今になって慌てるのはおかしいのではございませんか? 病床にある方に無茶は言いたくございませんが、この時に向けて体調を整えるなり代理人として奥方を呼び寄せておくなり、できることがあったはずですわ。客人を、それも国の要たるドルゴーン大公をお迎えするのですから、弁えてくださいませ」
あんちゃん至上主義というか、何というか。父の忠誠を間近に見て育ち、あんちゃんを絶対的てっぺんとして頂くアロは、本心からそう思っている節がある。
普段はただのミーハーに見えるのに一皮剥けば……忠誠を超えた信者じみた何か。アタシにはわからない感覚でちょっと怖い。
ちなみに、何を考えているのか、こういったシチュエーションに慣れているのか、あんちゃんは普段通り穏やかな表情のままだ。
「それとも、ディミヌエ様はドルゴーン大公を侮っておいでですか」
「いえ……! そのようなことは……」
アタシは口出しするべきかどうか悩みつつ、二人のやり取りを見守った。
正直、アタシはあんちゃんの地位を知識として知っているものの、実感がない。ここまで笠に着るほどの権力があるとは……いや、身分差的なものがここまで大きなものだとは、感覚として理解できていなかった。魔王だから兄さんはそれなりに尊重されるんだろうけど……あんちゃんは言わば「名誉顧問」みたいな立ち位置なのかなぁ、なんて。
「そちらの不誠実な態度は理解致しました。ドルゴーン大公ご夫妻には別の保養地をお薦め致します。ディーガのような新興地の方がよろしいかもしれませんわね。ディミヌエ様におかれましては、ご進退をよくお考えいただくことをお薦め致しますわ。お役目が果たせないご様子ですから」
一方的に話を切り上げて帰ろうとするアロに、アタシは内心で慌てた。ここで帰っちゃったら何一つ変わらない。
けれど、なぜかバラクさんもあんちゃんも異論はないようで、
「では、お先に竜車の準備をして参ります」
「フィーリ、残念でしたね。ここはフィーリの気に入る別荘地ではないようですよ」
退去するようアタシを促す。「え? えぇっ!?」とうろたえている間に、立たされ、庭へと出されてしまった。
「アタシ……もっと粘らなきゃダメだったかい……?」
もしや「絶対にここがイイ!」と騒いでディミヌエさんを引きずり出すべきだったのかと思い至って小声で訊けば、あんちゃんは優しい笑顔で「大丈夫です」と返してくれた。アタシにだけ聞こえるような小さな声が、
「このまま見ていてください。勝手に話が進みますから」
悪戯っぽく微笑んだ。
フィーリにとって、国のトップ=象徴
身分差という感覚を明確に理解するのは難しいです……




