湖畔にホラーはやっぱり似合うらしいです
もうすぐ100話です!
閑話入れようかなぁ?と考え中……
何がイイですかねぇ……
あ。皆様、ハッピーハロウィンです!
今日は罪悪感なくお菓子が食べれるステキな日
え? と思いつつあんちゃんの隣を歩いていると、後ろから
「お待ちください!!」
と慌てた声と足音が追いかけてきた。百目鬼執事さんだと思う。
はて、と振り向きかけたところをあんちゃんに手で制され、
「何用ですか?」
冷たく返すアロに任せろ、と目で示された。
どうやら本当の打合せは事前にあんちゃんとアロの間で済んでいたらしい。
大公夫人役をやり遂げるには、アタシの立ち居振る舞いでは不安が残る。きっと2人で安全策を練ったのだろう。
なんだか悔しい気もするけれど……ま、その通りだから仕方ない。楽チンだしね、前もって教えといてくれれば尚良かったかもね。
ついでに、打合せ中ずっと舞い上がりまくっていただろうアロを、見てみたかった気がちょっとする。よく会話になったものだ。……って、え、打ち合わせ済みなんだよね? まさか即興??? だとしたら2人ともハイスペック過ぎて本気で引く。
「フィーリ、そのままゆったり歩いてください」
キョロキョロせず、できるだけ優雅に竜車を目指すよう、小声で指示が飛んできた。2人とも、この展開を読んでいたのだろうか。まったく動揺が見られない。
「足元、気をつけてくださいね」
あんちゃんにエスコートされて竜車に乗り込むと、なんの魔法か、窓がマジックミラーに変わっていた。こちらからはよく見えるのに、外から中の様子は覗けないようになっている。
うん、最高に便利だね。好奇心と優雅さは両立しないもんだからさ。
アタシはマジックミラーに変わったそれが、正しく「硝子」と呼べる物なのかどうか知らない。もしかしたらこの世界の窓に嵌まっている物は硝子とは別の不思議物質なのかもしれないけれど、知ろうと思ったことがまだ一度もなかった。どんな魔法がかかっているかも、実は大して興味がない。
前世の日用品やら電子機器やらが仕組みを知らなくても使えたのと同じように、こちらでも仕組みや素材より使用方法の方がアタシにとっては大切だ。どうせアタシには魔法なんて使えない。説明されれば聞くが、あまり頭に残らないのは仕方のないことだろう。どちらかと言えば、アタシにも使える魔術具の方がまだ興味深い。
だから、
「影映ですか。バラクにしては気が利きますね。あんな輩にフィーリの可愛らしい姿を見せておく必要はありません」
とか、あんちゃんがブツブツ言ってるのも、アタシの耳を見事、素通り。
竜車の外ではアロがすごい剣幕でディミヌエ家の執事さんを叱り続けていた。
途切れ途切れでも中まで聞こえてくるあたり、かなり溜まっていたモノがあるのだと思う。上品な言葉で的確に心を抉りにくる彼女の怒りは、救民地の荒くれ共をも黙らせる。アタシは免疫がついたけれど、初見の百目鬼さんからすれば立ち向かう術がないようだ。気の毒になるくらい体を縮め、緑の肌を青黒く変色させていた。ははは……色、悪っ!!
「そろそろですよ」
何もわざわざメンタルやられに追いかけて来る必要なんてなかったんじゃ……と思いながら窓に張り付いていると、あんちゃんが「見ていてください」と小さく笑った。
……それはイイけどくすぐったいよ! 立ち膝のアタシの耳と座ったあんちゃんの口もとが同じ高さだなんて、由々しき事態だ。
バレたら遊ばれる! と、くすぐったさを必死に隠し、アタシは意識を外へと戻した。
執事さんはついに涙目。顔中にある目をウルウルさせて謝り続ける。
……ははは。こんな可愛くない潤目、初めてみたかも。鰯のがよっぽど可愛い。あー……別に種族に偏見を持ってるわけじゃないんだよ? ただ……ホント申し訳ないけど、あの執事さん、アタシは生理的に無理、かも。目ってさ、なんていうか、怖いよね。田んぼに鳥避けで浮いてる目玉模様のバルーンとかも、すこい苦手。
「二階、一番左の窓です」
「…………え……?」
このまま進展のないアロのお説教タイムを見ていて良いものか、と不安になり始めた頃、あんちゃんがツ……、と一点を指差した。穏やかないつもの声の中に、ほんの少し、硬さがある。
言われた場所に目を向けて、
「……………………ひっ」
ビクリッ、アタシは息を呑んだ。
三階建ての家屋の二階。幾つか並ぶ大きな窓のその端に、ソレはいた。
遠くてはっきりとは見えないけれど、恐らく、窓越しにぼぉっと浮かぶ陰鬱な顔。ぶよぶよと不定形に輪郭を崩すそれは、時折暗い光を放つ。
ある意味ホラーな生物が多いお土地柄
ホラーの苦手なフィーリには、やっぱり苦手な種族もいます
そう思うことが申し訳なくて、苦手克服を目指していますが……




