フィーリ、食料を買う
「えっと……お金の使い方はわかるんだよね?」
「え? それはもちろんですよ。やだなぁフィーリ、なんの冗談です?」
もちろん、って……。クスクス笑ってるけどさ? あんちゃんはもはや家族枠レベルの長逗留だから、「光の洞穴亭」でお金使ってるとこ、アタシまだ見たことないよ……?
「……ハァ。これ、二人で買い物来た意味あんのかね」
「ありますよ! ボク、荷物持ちますし。無限に」
「いや、そんなに買っても貯蔵庫に入んないだろ。バザールをよく知る案内人が欲しいって意味だよ。アタシお登りさんだからさ」
昔、テレビでイランのタブリーズって所にあるバザールを見て、行ってみたいと思っていたけど、ここはまさにそんな感じだ。石造りの屋根がある通路の両側に、いろんな業種の店が軒を連ねている。一軒あたりの間口は2mない程度だが、覗き込むとうなぎの寝床のように奥に長い。
店先に目玉商品が飾ってあるため、何を売る店かはすぐにわかるが……問題は、アタシとあんちゃんの目利きだろう。
「なるようになります、大丈夫です」
呑気にウィンクしてくるあんちゃんを軽く小突いて、アタシはまず、手近な肉屋らしき店に向かった。
近づくにつれ「へー」と思わず声が漏れたのは、平台に並んだ精肉が透明な幕に包まれていたこと。店員さん曰わく魔術具を使った水魔法の一種で、どうやらこれがショーケース代わりをしている。
肉の捌き方は雑だけど、思った以上に衛生的に陳列されていることに驚いた。
今日の予算は角銀貨3枚。
硬貨は木貨、銅貨、銀貨、金貨と価格があがっていき、それぞれ丸いものの方が価値が高い。大雑把だけど、角木貨が一円、丸木貨が十円、角銅貨が百円で丸銅貨が千円、角銀貨は一万円で丸銀貨は十万円と考えれば大丈夫……だと思う。百万円にあたる角金貨と一千万円に相当する丸金貨も存在しているらしいが、アタシにとっては都市伝説だ。
角銀貨だって、「光の洞穴亭」ではよほどの取引にしか使わない。王都という物価の高い場所であることを考慮して、今日は買い出し費用を奮発したのだ。ミョルニーが。
アタシは定番のオタル肉とオルニ肉、ボア肉を買って、あんちゃんの収納空間に入れてもらった。
王都だと、穫れた場所によって肉が格付けされているようだ。ブランド牛みたいなもんかねぇ? 正直こだわりはないうえに、あれこれ試す余裕もないから、今日はアタシが直感で気に入ったものを購入する。色と光沢の良いもの! と選んだら、なんとそのほとんどが原生林区産。旦那さんの話によると、原生林区産は天然物の中では最上級なのだそうだ。
……てことは、何気に「光の洞穴亭」は贅沢してたのかもね? このランキングを基準に考えれば、みんなが「え、安っ!!」と言うのも当然なのかも……? 新発見だ。
「いやぁ、興味深いですね。祝日でもないのにすごい人出で……これがバザールですか。こんな所もあったんですねぇ。あ、フィーリ、次はどこに行きます?」
「野菜か乾物か……金物屋も行きたいねぇ」
王都の物価を考えると、この軍資金で何でもかんでも買うのはかなりキビシい。足りなければあんちゃんが出してくれるんだろうけど、それはさすがにどうかと思う。
そうなると、買う物は厳選しなきゃ……。
結局アタシは、肉の他、野菜と砂糖、小麦粉なんかを買って、今回は調理器具の新調を諦めたのだった。ハァ……ま、仕方ないか。
明日は農作業してくるため、更新難しいかもしれません。
でも1ページは上げたい!!




