フィーリとあんちゃんの御学友
久々にニページ投稿します!
「はぁ……美味しいです、フィーリ」
あんちゃんは一口食べるごとに感極まった様子でアタシを見る。ありがたいけど、そんなに言われると無性に恥ずかしくなってきてしまう。危うく、「いいからさっさと食べな!」と怒鳴ってしまうところだった。
「……あ、ありがとよ、持って来れるのはあれこれ、詰めて来たのさ」
あんちゃんの後ろにはバラクさんとアパーヌタタンさん。そして、長方形の机を挟んだ向かい側には、お客さんが座っている。……ちなみに、アタシは誰もいない長ぁい一辺、妙にご立派なイスの上。吊し上げか、って感じで座らされてる。
あんちゃんと同門の友人だという客人の男性は、やけに眼光が鋭いヒトだった。正直、こっちを見ないで欲しい。本気で怖い……。
けれど、彼は空気のような不思議なヒトでもあった。特徴的なイケメンなのに、なぜかふと、意識から外れる瞬間があるのだ。
彼が喋れば聞こえてくるし、存在をしっかり意識していれば見失わない。なのに、ふと意識をそらすと、なぜかアタシは、彼の存在を忘れてしまう。
種族すら不明な、銀髪黒眼の青年。アタシ以外にも黒眼のヒトがいるなんて、びっくりだ。人間じゃなく魔族なら、目が黒くても問題ないってことにも驚いた。
「ふむ……心地良いな」
ヴィシソワーズもどきを飲んだ彼が呟いた。低く、やけに響く声。でも、あんちゃんと違って彼の声には温かみがない。
机に並んだのは、チーズをのせたオタル牛のハンバーグにマンドレイクの葉のサラダ、ウィリで作ったヴィシソワーズに、十角ジャムパン、水切りヨーグルトのクレームダンジュだ。原生林区特有のマンドレイクや、作るのに時間がかかるヨーグルト、それに十角ジャムは、念のため瓶に入れて持参していた。
面倒だったけど、喜ぶ顔を見れば「持って来て良かった」としみじみ思う。
あんちゃんの好物だらけの洋風定食。体調を立て直せるよう、栄養バランスもばっちりだ。
とはいえ水切りヨーグルトはまだ希少だから、ヤンヤの実のコンポートを添えたクレームダンジュはあんちゃんとお客さんのお膳にだけ、つけている。その他大勢のヒト達のデザートはコンポートの方だ。
早く強力なヨーグルト菌が見つかるとイイんだけどね。水切りしたヨーグルトとホイップクリームを混ぜるだけだから、できるならこの先クレームダンジュはお手軽スイーツとして常備したい。アタシ、クリームチーズの作り方は知らないからねぇ……。
「……ガンドルヴ。この料理人、俺にくれんか」
怖いヒトを視界から外し、今後のスイーツの発展に思いを馳せていると、突然、想像だにしなかった言葉が耳に飛び込んで来た。
「……へ?」
「却下!! フィーリはボクのですっ!!」
「ボクの、って…………」
「では時折の派遣で構わん」
「却下です! ジークマグナスのところになんかやったらフィーリが誘拐監禁事件の被害者になってしまいます! フィーリを泣かせたら……ボク、この街どころか国を破壊しますからね?」
「……それは困るな」
いやいやいやいや!
困るってレベルじゃなく! あんちゃん、何言ってんだい!? 脅迫!? しかもこのお客さん、見たまんまの危険人物!?
さすがに……殺人鬼系の方はご遠慮したいよ……。
ハァ……。あんちゃんとお友達って何の同門なのさ。格闘術?




