おかん気質なものですから
年内に100話を迎えられるのは、一重に皆様のおかげです!!
ありがとうございます<(_ _)>
来年もよろしくお願い致します
「これがグラムですのね。その性質上、幻とまで言われる魔獣ですのに……流石ドルゴーン大公閣下でいらっしゃいますわ……」
よくわからないけれど目をハートにしたアロ。うん、平常運転。
それはさておき、
「その毛玉が、みんなの警戒してたヤツなのかい?」
こんなちっこい形で鬼人を緊張させるんだから、実はかなり狂暴なヤツなんじゃ……?
「これは餌……こうして使います」
「ひぇ!?」
シャキーンと脇差しサイズの刃物を抜くと、バラクさんは残像を生み出しながらその可愛いらしいフォルムを袈裟切りにした。
思わず悲鳴を上げて顔を逸らしたが、
「みびーっみびーっみびーーーーっ!!」
響き渡る甲高くラブリーな鳴き声。何事かと顔を戻し、アタシは目を丸くした。
「フィーリは初めてですか? ふふ、イイ響きですね『初めて』。人生は『初めて』の連続だから面白い……。
……おっと。グラムは身を守るための剛毛が傷付くと、仲間を呼ぶんです。まぁ今回は、仲間と言っても…………ほら」
もじゃもじゃは元気いっぱい生きていた。
しかし、その姿にはさっきまで確かにあった、珍妙なくしゃくしゃもじゃもじゃの毛がまったくない。耳は長いが……ハムスターっぽい可愛い何か。
何だこれ。バラクさんの腕、良過ぎだろ、これ。
ぽかーんと口を開けたまま、くるり、あんちゃんの指差す方を見れば、ガサゴソと下生えを揺らし、今度は褐色肌の子どもが顔を出した。
もしかして、飼い主だろうか。
警戒心を剥き出しにした小さな顔。幼児にしか見えない年頃なのに天真爛漫さは見当たらず……スレたような、世を斜めに見るような、荒んだ目つきをしている。
出会った頃のミーチャよりもさらに幼く、ミーチャよりもずっとずっとみすぼらしい魔族の子ども。
「みびーっみびーっみびーーっっ!!」
明らかにウサギハムスター……ウサギスター? ……いや、「グラム」だっけか……を気にしている。
それがわかっているからか、バラクさんは手をブンブンと振り回し、グラムにより痛切な悲鳴を上げさせているようだった。
……て、ゆうかさ。
「フィーリ!?」
「会長!?」
「邪魔すんじゃないよ」
慌てる二人を牽制し、むっと口を引き結んだアタシは、子どもの元に向かって走った。こういう時、若い体ってイイよねホント。
そして勢いのまま、敵意を剥き出しにするその子の首根っこをむんずと掴む。あまりに驚いたのかパニック状態で固まってしまった幼児をぐいいっと藪から引っこ抜き、ガシッと抱っこ。
「よしよし、イイ子だ。ちょっとこのまま大人しくしといとくれよ」
あちこちに葉っぱをくっつけた幼児は、三~四歳くらいだろうか。ボロボロの貫頭衣を着ていた。
薄汚れていて、髪もボサボサ伸び放題。隠れ救民の子なのだと思うが、救民街の子ども達より衛生面だけでなく、栄養状態も悪く見える。そのおかげ、と言うとなんだけど、身長のわりに軽いから抱っこするのは簡単だった。
よだれと汗のすえた臭いがひどいけど、短時間だしまぁ、我慢できる。子どもなんてね、雑菌にまみれてるもんだから。前世の病院だって、入院スペースには小学生以下の見舞い客、入れない所が多いくらいだった。ましてや森の中で困窮してたなら、仕方ないよね。
「あんちゃん、水の魔法で丸洗いしとくれ。あ、ぬるま湯くらいでザバッと頼むよ」
びくりっ! 腕の中が震えた。
フリーズしつつも何かを察知したのだろう。ジタジタと暴れ始めた幼児をキツく抱きしめ、
「早く! アタシごとでイイからっ!」
と叫べば、微笑みを引きつらせたあんちゃんが、ようやく指先をこちらに向けた。
素早く振られた長い指。
その途端、アタシ達は温かな霧に包まれる。
「ひぅ……っ」
「大丈夫だよ。体をキレイにするだけだからね。ほれ」
できるだけ効率良くミストを浴びれるよう、両脇の下を支えて猫の仔のようにブラーンとぶら下げ直す。抱っこは接地面積が大きい分安心感があるものの、今は洗浄が優先だ。
「どうだい、気持ちイイだろう?」
呼吸したり会話したりするのに困らないよう調整された、絶妙な濃さの霧。アタシ個人としては、湖に入れなかった無念を晴らす最高のミストシャワーだ。
はぁ、イイねぇ。肌に透明な日差しと暖かな水滴を感じる贅沢。こりゃ、やみつきになりそうだ。
年越し一週間前から、家族内ではインフルエンザと感染性胃腸炎が……
そして、身内の不幸も重なり……
正直、え?今日大晦日??え????という気分です(-.-;)
皆様の、そしてわたしの新年も穏やかなものとなりますよう、本気でご祈念申し上げます<(_ _)>




