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【第二部】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜  作者: 鬼喜怪快
陰と陽編

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17話 水霊使いのサラ




 簡易闘技場にサラが上がった。


 レガシィと向かい合う――



 「えっと……君は?」


 「体験学習生のサラだ。よろしくね」


 「……サラさんか。初めましてだね」



 ――――――



 時間は前日に遡る――。



 「なんでわたしがそんなことしなきゃならないんだ!

 断る!」


 「サラさんが適任だと思うんだよ。

 生まれ変わりの体験者の中でも、珍しく魔力を使う人だから

 相手に素性がバレにくい」


 「フランか、ロッキが行けばいい!」


 「僕たち魔術が使えないんだよ――

 本来なら魔法学校に入学すらできない2人がいたらおかしいでしょう?」


 「……」



 渋るサラを一言で決心させたのがアイナだった。



 「サラさん――ミラさんを助けると思って、手伝ってもらえませんか?」


 「!」



 サラはアイナに頭が上がらない。

 シルドの件が、いまだにサラの中で尾を引いている。

 

 許しを乞いたいわけでもない――

 でも、処刑もされず今の自分があるのはアイナのおかげだと理解している。


 それに――

 サラは命令や強制されると反発してしまうが、

 頼まれると断れない性格である。


 アイナには、すべて見透かされているのかもしれない。



 「本部長の頼みなら……仕方ないかな――」



 こうしてミラサラコンビが出来上がった。


 

 ――――――



 向かい合う2人に、審判を務める講師が寄ってくる。



 「君はミラさんの知り合いの子だよな?」


 「えぇ」


 「わかってるとは思うけど、レガシィくんは……」


 「どこぞのボンボンでしょ。わかってる、手加減するから……」



 サラの挑発に外野が憤る。



 「何よ! あの女、カッコつけて!

 レガシィくんのこと何も知らないのよ!」


 「あの子、レガシィくんの強さを知って、

 急に惚れちゃうパターンのやつよ!」



 野次を飛ばす女の持つカップの水が揺れる――

 次の瞬間、水が飛び出し、細長い形状に変わって

 レガシィの手足に巻き付いた。



 「さぁ、これで自由は奪ったよ……どうする?」


 「うわっ、すごいな!」


 別の学生の持つカップの水を水弾に変えてレガシィに向けて放つ。



 ――ズドドドドドーッ! 



 彼女の身体には黒魔術により、

 水霊ケルピーの能力を埋め込まれている。

 手加減はしているが、

 まともに食らえば、意識は確実に飛ぶ威力だ。


 サラは腕を組み、相手の出方を見ていた。



 「!」


 「ビックリしたー!

 水に魔力を流して自在に操っているのかな?」


 「……」


 「僕の高熱閃魔法とは相性悪そうだけど……」



 すべての水を蒸発させて吹き飛ばしたようだ。



 「僕の番だね……」



 レガシィはそういうと高熱を帯びた鞭を作り、

 サラへ向けた。

 サラは水で作った鞭で応戦する――


 鞭と鞭がぶつかり合い、激しい水蒸気が吹き荒れる。

 水の鞭では分が悪い。


 レガシィは微笑んでいるように見える。


 そこに、

 水の塊が天より落とされ、レガシィの身体を飲み込んだ。


 ――水の棺


 簡単な封印結界も施されており、飲み込まれれば脱出は難しい。

 並の者なら息ができず、何もできないまま死ぬだけだ。



 しかし――



 高熱閃魔法で水の棺を突破――

 レガシィはすかさず、

 高熱を帯びた球体を手のひらに宿し、サラへ向けていた。



 「お返しだよ――」


 「ストップ! レガシィくん そこまでだ!」


 

 その術の危険性を理解した講師が止めに入る――

 しかし、レガシィに止まる気配は無かった。



 「!」


 「えっ?」


 

 その光の玉は弾丸のように放たれ、

 サラの心臓を簡単に射抜いた――


 サラは風穴の空いた自分の胸に目をやった。


 「きゃあぁぁー」


 周りから悲鳴が飛び交うなか、サラは膝をつき

 そのまま、うつ伏せに倒れた。



 講師が駆け寄る――



 「援護系魔法学科の誰でもいい! 至急救助を!」


 

 講師の大きな声で、場が緊張に包まれる。

 その騒動を見ていたミラが叫びながらやってきた。



 「サラさん! すぐに回復術を!」



 講師はレガシィを見て呟いた。



 「どうして制止を無視した?

 今の術力は、発表の枠を超えていただろ……レガシィくん」


 「すみません……つい熱くなっちゃって」


 「止めるつもり……無かったんじゃないのか?」

 


 さっきまで野次を飛ばしていた学生たちも静まり返っている。

 回復術の準備に入るミラは、レガシィを睨みつけた。



 「イルジョン島の英雄に睨まれるなんてきついなぁ」


 「あなた……いったいどういうつもり!?」



 蔑んだ目で、倒れるサラを見下ろし嗤う。


 

 「授業中の事故でしょ……怒らないでほしいなぁ」



 その時――


 倒れているサラの身体が――崩れた。

 地面に広がるのは、血ではなく水。


 レガシィとミラはもちろん――

 講師も学生も息を飲む。



 ――水分身の魔法術



 サラが、闘技場を見守る生徒たちの中に立っている。


 全員が言葉を失った。



 「驚いてもらえたかしら。

 あんたが戦ってたのは、水で作ったわたしの分身……

 よくできてたでしょ?

 発表会ってそういうものだし」



 あまりの衝撃に、全員が顔を見合わせた。

 少し反応が遅れたが、

 サラの分身術の凄さに――一同大歓声!



 レガシィの人となりを露呈させた上に、

 サラは一瞬で学生たちの視線を奪ってしまった。



 ただ、ミラは激怒!



 「わたし、本当に驚いたんですよ!」


 「あんた感知のプロだろ? あれくらいわかりなよ」


 「いくらなんでも、あんな状況で……!」


 「フィートはわかってたよ。まだまだ役者が違うね」



 遠くでフィートが苦笑いを浮かべて、こちらを見ていた。


 

 レガシィが闘技場を降りて、

 笑顔を作りながらサラのもとへ近づいてきた。


 サラから声をかける。

 


 「お祭りでムキになっちゃいけないよ……坊や」


 黙ったままのレガシィ。

 そのすれ違い様――


 レガシィはサラに向かって、言い放った。



 「エースの呪縛が解けていい気なもんだな……

 お前ごときが――なぁ、おい!」



 その突然の一言に、

 サラの全身は硬直した。


 頭が真っ白になり、

 背中越しに去っていくレガシィに――


 サラは振り返ることすらできなかった。

 


 

 

 


 

 

 

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