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【第二部】処刑された最強呪術師、魔法世界で異端となる 〜鬼使いと閃光の剣士〜  作者: 鬼喜怪快
陰と陽編

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16話 今日の授業



 ミラが突拍子もないことを言い出した。



 「あの……

 わたし、明日その方に話しかけて近づいてみましょうか?」



 その申し出にフィートが慌てて止めに入った。



 「ミラ、何を言ってるの?

 そんな危ないことをさせられるわけないだろ」


 「でも、わたし生徒ですし……

 話しかけても1番怪しまれないの、フィート先輩よりわたしですよね」


 「さすがに君1人にそんな危ないことを任せられない!」


 「……1人、じゃなきゃいいんですか?」


 「……」



 ミラがフランを見た。

 すると全員がフランを見た。



 「……えぇっ! わっわたし!」


 「ダメかな? フランちゃん?

 フランちゃんがいたら、心強いんだけどなぁ」


 「無理ムリむりっ! わたし、魔法はからっきしダメなんだよ

 こんなのいたら完全に怪しまれるよ!」



 ミラは肩を落とした。


 やはりミラ1人に任せるわけにはいかない

 最低でも相棒が必要だ。


 頼れる術師――


 そんな都合よく適任なんていない。


 ――その時だった


 

 「本部長。

 あんたの馬鹿アニキ、カジノで金貨3枚分は負けてるよ

 妹として止めてやりなよ――

 わたしの話なんて聞きやしないからさ」



 ノックもせず入ってきたサラに全員の目が行った。



 「……いた」



 小角の声が小さく落ちる。



 「何がいたんだよ?」



 こうして、 

 サラは何も知らないまま、内偵チームへ組み込まれた。



 

 「……それよりサラさん、兄さんの両腕を叩き切ってもいいので

 賭け事をやめさせてきてください」


 「それより何がいたんだよ? それを先に教えてよ……」



 その後、ベルゼはアイナに死ぬほど説教され――

 サラは内偵調査の件で、ヘソを曲げていた。



 ――――――



 翌日の魔法学校


 この日は月1回の、各学科ごとに分かれての学習発表会。

 1ヶ月間学んできたことを、互いに実践形式で見せ合う日だ。



 フィートの受け持つ援護系魔法学科・人体魔法学では、

 身体の一部を強化する術を見せあったり、

 回復術を発動させながら別の術を発動させるなど、

 人体学を取り入れた、新しい術の展開を生徒たちが見せ合っていた。


 フィートの教えは、人体の細部全てに魔力を宿すことが基本だ。


 それに成功すれば、

 細胞が活性化し、人体は覚醒を起こす。

 

 筋力、魔力はもちろん、

 視覚、触覚、嗅覚、聴覚、味覚、特定した部分の強化が可能となる。


 ミラは学友の前で、己の身体にフィートの覚醒術を試した。


 全身から魔力が放たれる――

 しかし乱れがない。

 安定した状態をキープしている。


 その状態から、水晶玉に魔力を集中させて放って見せた。

 


 『魔力界砲――』



 少し離れたところに置かれていた拳ほどの石が砕け散った。



 「おぉー!」



 学友たちが歓声を上げた。



 「さすがイルジョン島の英雄は違う!」


 「あれってフィート先生発案の2種類の禁術だろ?

 それを同時に発動って、彼女はやはり天才だろ!」



 ミラは覚醒術を自分なりに解釈し、

 全体の能力をほんの少しだが上がるように調整発動をしてみせた。


 しかし、実際は学友よりフィートの方が驚いていた。

 この術の本当に難しいところを、

 ミラは理解して発動させていたからだ。


 覚醒術の上限を決めるのは術者の力次第――コツを掴めば勢いで上げられる。

 しかし、下限を調整するのはセンスと繊細さが必要になる。


 ミラはそれを成し遂げた上に―― 


 『魔力界砲』


 を同時に発動している。

 魔力界砲も禁術の一つなのだ。



 「素晴らしいよミラ」


 「ありがとうございます!」



 学友たちも拍手を送る。


 

 「ただ、教えてないことまでやるのは良くないよ」


 「……す、すみません」 

 


 苦笑いしながら、フィートがミラへ釘を刺す一幕もあった。 

 



 少し離れたところから大歓声が聞こえてきた。



 「うおぉぉーっ!」


 「スゲえぇーっ! カッコ良すぎだって!」



 ミラたちのいる援護系魔法学科が集まる場所からではなく、

 攻撃系魔法学科の集まる場所からだった。


 簡易の闘技場の上に腰をつく学生――

 それを見下ろすように立ちはだかるレガシィが見えた。



 「こ……高熱閃魔法……?」



 腰を抜かす学友に、手を差し伸ばすレガシィ。

 その真摯な振る舞いに、女子たちが黄色い歓声を送る。



 「レガシィくん素敵ー!」


 「レガシィさーん! すごーい!」



 容疑者の男はまるでアイドル扱いだ。

 それをみて困惑しているのは講師だった。


 高熱閃魔法など――講義で教えていない。

 

 そもそも高熱閃魔法は火と雷の融合属性、

 教えてできるものではない。

 生まれ持った特性、もしくは厳しい修行の末に習得したどちらかだ。

 


 大歓声の中、

 レガシィは練習試合をしていた学友と握手を交わした。


 拍手喝采――。

 2人に声援が送られた。


 いや、正確にはレガシィだけに声援が送られていた。


 容姿端麗、謙虚謙遜――


 そして魔法の天才……貴族の息子……政治家の父親……



 誰からも好かれる存在、

 否――好かれなければいけない存在だ。



 レガシィはいつでも微笑んでいる――

 あまりにできすぎた男だった。

 

 だが、そんな感じの男を根っから嫌う女が現れた。

 


「ねぇねぇ、あんた強いね。

 わたしともちょっと力比べさせてよ」



 容疑者に話しかけたのは、

 いままでの人生経験から男を信用していない女――サラ。

 

 特に、容姿端麗、謙虚謙遜の男が信じられないでいるようだ。

 


 「――お手柔らかに」



 レガシィが微笑んだ。

 

 サラがレガシィと相対する。




  

 

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