表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わんぱく令嬢は不遇の令息をさらって婚約する  作者: やらぎはら響


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/47

29

そして放課後になり、現在レイスリーネは冷や汗をかいている。


(私は馬鹿じゃなかろうか)


 木剣を片手にレイスリーネはハイドラと向き合っていた。

 ハイドラは気まずそうな顔をして、レイスリーネは途方にくれた顔をしている。

 マリアンナはフラップと一緒に床に座っていた。

 怪我をしていなくても光魔法を当てる感覚を覚えるためには、ただ魔法を出すより人にかけた方がいいらしい。

 なので練習台としてフラップが名乗り出たのだ。

 そんなフラップが不思議そうな顔を二人に向けた。


「辺境でもやってたんだろ?誰もいないし、いつも通りやれよ」


 フラップの言うとおりだ。

 ハイドラを見上げると、口元がわずかに強張っている。

 おそらく自分も同じ顔をしているだろうとレイスリーネは思った。


「ええと……やれる?」

「……私は構いませんが、レイスリーネは大丈夫ですか?」


 実はレイスリーネは、どうやって練習していたかすっぽり頭から抜けていた。

 今あの体勢に耐えられるのかと挙動不審になりそうだ。

(いやなんか、辺境出る直前からちょっとハイドラに対して変なんだよな。やっぱりやめた方がいいかな)

 しかし一人ではすぐ壊すので、木剣がいくつあっても足りない。

 脳内でぐるぐる考えてから、重々しく頷いた。


「大丈夫……いつも通りやろう」

「……わかりました」


 ハイドラも重々しく頷いた。

そして背を向けたレイスリーネを抱きしめるかのように、後ろから木剣を握っている手にハイドラが手を重ねる。


「きゃあっ」

「うおっ」


 二人分の慌てた声にぎこちなく声の方を見ると、練習していた二人が顔を真っ赤にしていた。


「お前ら……」

「ちが、違うの」

「そうです、レイスリーネに剣に流す魔力量を伝えるためには手を重ねなければいけないんです」

「私がすぐ木剣壊すから、向かいあうのは危なくて!本当に危ないから!不可抗力だから」


 慌ててまくしたてる二人に、フラップは引き気味に頷いた。


「じゃあ、仕方ないな……」


 多分全員、仕方なくはないよなと思ったけれど誰も何も言わなかった。

 そしてそれぞれ練習を開始する。

 一度目に剣を壊したときは、体温こんなに高かったっけと思った瞬間だった。

 二度目は吐息がここまで耳に近かっただろうかと、そわそわした途端。

 そしてなんとか平静を保っていたけれど量を流しすぎて、パンと音を立てて三本目が壊れた。


「レイスリーネ今日はここまでにしておきましょう」


 ハイドラの言葉にこくこくと頷くと、ようやく腕の中から解放された。

 内心「うぅ」と疲れ切った気持ちで呻いてしまう。

 なんだか自分のテンションの乱高下が激しくて、無駄に疲れた気がする。

 ぐったりとしていると、そちらも練習を終えたマリアンナがレイスリーネに声をかけてきた。


「上手くいかないこともあるよね。私も放出量がなかなか上がらないけど練習あるのみだって思って頑張るわ」

「そう、そうよね!やれない、出来ないじゃない。やるのよね!」

「素晴らしい言葉だわ! 明日からも毎日頑張りましょう」

「もちろん!」


 マリアンナのテンションに呼応して大きく頷きハイドラを見ると、口元に手を当てて目を斜め下に向けていた。

 あれと思っていると、フラップが半眼でこちらを見ている。


「お前ら毎日あれやるのか」


 そういえばそうだった。

 すぐに肝心なところがすっぽ抜けるのをどうにかしたい。

 思わずやっぱり、と言いかけたけれどマリアンナの期待に満ちた頑張りましょうねオーラが強すぎて、その言葉は出てこず。


「もちろんよ」


正反対の言葉を口から出していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ