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16. 会議は踊る

会議は踊るとは?


はたして私は言葉の意味をきちんと理解しているのでしょうか?


色々な意味ではらはらどきどきです。

とうとうこの日がやってきた。


この日とは、そう!

ズバリ、お偉いさん方が集って会議をする日だ。


色々忙しくて大変だったがそれも今日で終わり...あ、学園でテストが近日中に控えておいでですね。

hahaha、徹夜三昧だなぁ。


私たち、ムーンライト公爵家は一番最初に到着したようでまだ誰もいなかった。


私は養父上(ちちうえ)義兄上(あにうえ)に挟まられるような形で席についた。


____________


しばらく待っていると色々な人がやってきて、

公爵家の中では最後にスカーレット公爵家が到着した。


父上は私を見てなんともいえない表情になった。

カーマインは私を見て首を傾げた。


程なくして王太子殿下が到着された。


そして王太子殿下が着席なさると養父上がよく通る声で


「これより、会議を開始する!」


といった。



________________




…………どうしよう、面白いけどつまんないという謎の現象が起きてしまっている...。


いやね?面白いんだよ?

でもさ、私はあの会話の中に入れるような身分じゃ無いんですよ。

だからつまらないのだよ。



あ~あぁ、つまんない。

でもつまらなさを顔に出してはいけない。


私は令嬢をやってるときに鍛え上げた表情筋で友好的な微笑みを浮かべて

時折、相槌を打ちながら、話を聞く。


早く終わんないかな?

表情筋が死にます。


結構ガチで。本気で。



________________




それからしばらく政治の話が続いた。


そして、私の表情筋が限界を迎えたとき、


「それでは、次はいえ同士の関係をどう保つかということですね。

 現在の公爵家同士の力関係は今まで通りですが...

 なんでも、最近はスカーレット公爵家の力が衰え始めているようです。

 時に、スカーレット公爵、貴殿の家には確か令嬢がいたと記憶しているが…、

 その令嬢を、今までの公爵家の力関係を保つため、どこかの公爵家に嫁がせてみるのは

 いかがだろうか?」


「っ………!!」



うわぁ、爆弾発言よこれ。

父上はどう答えるのでしょうか?


いや、もともとさ、スカーレット公爵家には女児はいないし、

問題の私はもうスカーレット公爵家とは縁を切ったつもりでいるし。


「……それもいいかもしれないが...

 しかし、その令嬢は行方知れずなのだ。

 ところで、そちらの令息は?

 ここには嫡男と当主以外はいないはずだ。

 そちらの令息について紹介でもしてもらおうか。

 ムーンストーン公爵家」


え?え?え?

うそーん。

私、父親に気づいてもらえなかったよ。


いやまぁ、5歳の誕生日から殆ど会ってないし、

髪も切って印象は全く変わったし、

着ている服が今まで私が着ていた服とは違って、

男性用だし、まぁ仕方ないと言われれば仕方ないんだろうけど…。

やっぱ傷つくわー!

うん、傷つく。



「あぁ、これは失礼した。

 この子は私が養子として引き取った子だ。

 そしてオパールの婚約者だ。

 ぜひとも王太子殿下に紹介したく。

 さ、挨拶なさい」


養父上にそう促され、


「お初にお目にかかります、王太子殿下。

 貴方様のお姿をお目にかかることができ、光栄と存じます。

 (わたくし)は、ヴェール・ウィスタリア・ムーンストーンと申します。

 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 …公爵家の皆様、私はヴェール・ウィスタリア・ムーンストーン。

 この場にいることができ、光栄と存じます。

 特に、私はスカーレット公爵家にお会いできて嬉しい限りです」


と王太子殿下と公爵家の皆様にご挨拶をした。


「ふむ、ヴェールか。

 そなた、貴族の生まれか?

 平民にしては、所作が美しすぎるし、

 言葉遣いも丁寧すぎる。

 いや、ムーンストーン公爵家の力か?

 ヘーゼル、どうなのだ?

 話せる範囲で良いから話せ」


「は、ヴェールは貴族の生まれです。

 しかし、その生まれた貴族の家から勘当されたようです。

 その後、ヴェールは王立学園に我が娘、オパールを抜いて主席となり、

 彼の才能を私がかい、ヴェールを養子として引き取りました」


王太子殿下は養父上の返答に満足したように頷くと会議の再開を促した。


「では、会議を再開―

 なにか質問でもあるのか?

 スカーレット公爵家、嫡男、カーマイン」

 

養父上が会議を再開させようとしたところ、

急にカーマインが手を挙げる。


カーマインはまっすぐと私を見つめている。


養父上に発言を許可されたカーマインはなお、

私のことを見ながら口を開き

言葉を紡いだ。


「はい、

 ヴェール・ウィスタリアとは私の亡くなった姉と同じ名前ですが、

 これは偶然なのでしょうか?

 それに、こころなしか姉上に顔立ちが似ているような気が...」


私も手を挙げて発言の許可を求める。

それを見たカーマインは話すのをやめた。


養父上と何故か王太子殿下は発言の許可を与えてくれた。


なぜ王太子殿下も私に発言を許可していいと与えてくださったのか...

えぇい!考えても無駄なことは考えるな!


「カーマイン様、忘れるなんて私はとても悲しいですね」


「は?貴方はなにを言って...」


「私は――あなたの()ですよ。

 忘れてしまったのですか?」


「え?」


場が静まる。


多分表情から察するに、王太子殿下は知っていたと思う。


父上は両手で顔を覆っている。

いや、何やっとんねん。



「いやいや、私に兄はいない!

 第一に、いたら私は嫡男ではないだろう‼

 それに私の上には姉上しかおられないし、

 その姉上ははるか高みへ、登られたと...」


「カーマイン様、私と貴方様は同じ、公爵家の男児です。

 ですので、言葉使いには気をつけたほうがいいかと。

 それに、貴方様のおっしゃる姉君は私のことですよ?

 おそらくスカーレット公爵夫人の命令で私は女として、性別を偽っていたのです」


カーマインの反論に私は答える。

私の言葉を聞いた父上はうつむいている。

いや、顔上げろや。


周りが気になって見回してみるも

公爵家の方々はやっちまえという雰囲気だし、

養父上はぎゃふんと言わせてやれと言わんばかりの表情だし、

義兄上に至っては多分おそらく絶対笑いをこらえている。

王太子殿下は感情を読ませない為政者特有の笑みを浮かべていた。


周りをみてこのまま続けてしまっても良いと私は判断し、

カーマインを真っ直ぐに見つめる。


「?!母上はそんなことをするはずないであろう!

 それに姉上は真紅の、スカーレット公爵家の色をお持ちではなかったはずだ!!」


「あぁ、これですか?

 もともとありました。

 皆様が気づかなかっただけですよ?

 それにこれをスカーレット公爵夫人に見つかったら私は殺されると思っただけです。

 そしてカーマイン様、もう一度言います。

 お言葉使いにはお気をつけくださいませ」


「っだから!母上はそのようなことをするはずはないと」


「ファイアー、

 命令だお前の家では、誰が一番権力を持っている?

 包み隠さずに、ありのまま、正直に答えよ」


カーマインの反論を王太子殿下が止めた。

父上への命令で。


「っ!わ、私の...妻、でございます。

 私めが未熟なせいで、彼女にとある秘密を握られていまして...逆らうことができないのです。

 彼女が勝手なことをしないよう、幽閉しようと幾度となく試して参りました。

 次第には暗殺をしようと計画をしていましたがどれも(すんで)のところで見つかってしまい、しようにもせきませんでした。

 誠に申し訳ございませんでした。

 本来ならばすぐに王族に報告すべきだったのに...」


切実に父上は呟くように王太子殿下に言った。


王太子殿下は「わかった」というと、私の方を向いた。そして


「ヴェール、そなたからはどう見えた?」


と問いかけられた。


「え、えと...事実ではないかと...。

 そうでないと、公爵夫人から勘当を言い渡されたあと、

 スカーレット公爵が私にお金をくださったのが不自然です。

 本当に公爵が勘当をしたのならば大金を勘当したものに渡さないはずです」



「そうか、おい。

 スカーレット公爵夫人を呼べ、明後日に王城へ参上するように命令せよ。

 皆、この話は明後日に持ち越しだ。

 今日はこれ以外に話すべき内容などはないはずだからこれにて解散とする」


「はっ!」


へ?あれぇ?終わっちゃったよ。


養父上の爆弾発言から急展開すぎやしませんかね?


気のせいかもしれないけど。


?あ、父上とカーマインがなにか言いたげな表情をしているね。

 

私のは後ろには義兄上がいるから迂闊にはなしにいけないんだろう。



まぁ兎にも角にもなんとかなって良かった。



______________



王都の邸宅へ向かっている馬車の中で


「大丈夫だったか?ヴェール」


と義兄上が聞いてきたので頷く。




__________



明後日の会議はどうなるのだろうか。


私は帰る前、王太子殿下と、養父上と義兄上で話し合ったある“作戦”に思いを巡らせた。

読んでいただきありがとうございます。


内容的に次回が最終回となる予定です。


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