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17. 家族を後悔させるとき

ついに本編最終話

・・・ついにこの時が来た。


この場にいるのは公爵家の当主の方々と公爵家の嫡男の皆様、

そして王太子殿下にベリディグリ王だ。

うーん、お偉いさんばかりで緊張しちゃうよなぁ〜。





少しだけ待っていると扉が開いた。

扉の奥からは予想通り私の母、コーラル・シェリンプ・スカーレットだ。


遅いですよ母上。王族をお待たせさしちゃいかんでしょ。


私はそう思いながら母上のことを冷めた目で見る。


当然母上はこちらに気づいていないので何故呼ばれたのか不思議そうにしている。

というか、自分が最後にやってきたのが気まずいだけかもしれないけれどね。

え?スカーレット公爵家の当主と嫡男はだって?


ムーンストーン公爵家の次に早く到着しているよ。

その時母上は身だしなみを整えていたんだってさ。


いや、まじで本当に早く来いよ。

王族は基本的に待ち合わせよりも遅めに来られるけれど、それより遅いって本当に信じられない。



「スカーレット公爵夫人、私は遠回しが嫌いなので、単刀直入に話をさせてもらう」


母上が着席したのをみてべリディグリ王がおもむろに話し始める。


母上は黙ってコクコクと頷いている。



「私は先日、王太子である我が息子、

 モス・ジャスパー・エメラルド・ダイオプサイトより、スカーレット公爵家の中で

 一番力を持っているのは、貴女ではないかと伝えられている。

 王族が不確かな情報を私に伝えるのはあまり良いことではないが、

 今回は事が事だからな、特別に許した。

 公爵夫人、なにか言いたいことはあるか?」


あら?王太子殿下が気まずそうにベリディグリ王から顔を背けましたね。

まぁ、あんまりよろしくないことをしてしまったらしいから仕方がないのかな。


とまぁこんなことは置いといて、母上は少し焦っているように見えた。


うーん、王様からなにか質問されたら私は絶対になにかやらかす自信があるので

焦っていること以外表に出さない母上は頑張っていると思う。

いや、人生経験とかじゃないの?

私は前世を合わせたら母上と同じくらいにはなるけれども、やはり社交の経験というものは貴族社会で育ってきた母上のほうが上なんだよね。


「…そのようなことはございませんわ、陛下」


母上はやっとの思いで言の葉を紡いだ。


「ふむ、しかしファイアーから訴えられているのだ。

 一番権力を持っているのは自分ではなく、妻だとな」


母上は陛下のおっしゃった言葉を聞くと父上を睨む。

父上はとっさに目をそらした。

勘の良いというか、ここにいる人達は全員気づいたはずだ。

母上は父上をこの場で睨んではいけなかったのだ。

母上が父上を睨んだせいで決定的な証拠が取れた。

証人は、この場にいる人達全員だ。


「・・・・・そんなはずはありえませんわ。

 貴族の家庭で一番権力を持つ人は当主のはずですもの。

 わたくしはそのような勝手はいたしませんわ」


もういい加減諦めてほしい。

みんな呆れているでしょう?


「当主の意向に反したことはやらないと?」


王太子殿下が母上を軽蔑した目で見つめてそうお聞きになった。


「え、ええ。もちろんですわ」


母上の返事を聞いた陛下と王太子殿下、養父上(ちちうえ)義兄上(あにうえ)は私を見る。


「…だそうだ。ヴェール」


――陛下の言葉を聞き、私は姿を表した。


「っ?!ヴェール??」


私の姿を見た母上は驚いていた。



ちなみに私が今までどこにいたのかというと、魔法で存在を隠蔽して養父上と義兄上の後ろに立っていたのだ。


見事なまでに気づかれなかった。


母上以外の人達はこのことを知っていた。



「なぜ、あなたがここに?!

 お前は家から勘当したはずでしょう?!

 なぜいまさらここにいるの!!

 ヴェール・ウィスタリア・スカーレット!

 まさかスカーレット公爵家の名前を使ったのね?

 まぁ、なんてことをしたのかしら?

 お前はもうスカーレット公爵家のものではないというのに」


いやいや、周りを見てくださいよ、母上。

もう犯人確定じゃないですか。

勝手に自爆しないでくださいませ。


「何故とはなぜですか?

 母上。いえ、スカーレット公爵夫人。

 それに私はヴェール・ウィスタリア・()()()()()()()、ムーンストーン筆頭公爵家の養子です。

 知っているんですよ、すべて。

 私がスカーレット公爵家の色を受け継いでいなかったから

 スカーレット公爵家の色を継いだカーマインを嫡男としたかったのですよね?

 しかし、夫人は一つだけ過ちを犯しました。

 なんだと思いますか?それはですね――そう、私が稀に見る、

 王族の血を色濃く受け継いで生まれてきた、先祖返りの子供だということを理解しなかったことです。

 理解しなかったためだけに、私に女性として生きることを命じたり、私を勘当したりした。そうでしょう?

 しかし、貴女のやったそれらは罪なのです。

 あぁ、カーマイン様、あなたにも言うことがあります。

 それは、あなたが自身の母の言葉だけを信じて、私を批難したことですよ。

 他家の人を批難するなど愚の骨頂。

 次期当主ともあろうお方がそのようではスカーレット公爵家は落ちぶれる一方ですよ。

 ...陛下、処罰はどういたしましょうか?

 スカーレット公爵夫人が悪行をはたらいていることの証明はできたと存じます。

 よって処罰を決めていただきたく存じます」


「っ、待ちなさい!」


「…見苦しいですよ」


「なんですって?!

 お前はいつからそんな子になってしまったの?

 そんなふうに育てた覚えはないわよ!

 実の母を処罰するですって?

 罪の軽減を望むのではなく?!

 どうかしているわよ!!」


「…はぁ、教えてあげます。

 私はあなたに育てられた覚えはございません。

 そしてあなたを実の母だと思ったことはございません。

 あなたが私を愛することがあったら、もしかしたら恩返しという形でなにかしたのかもしれませんがね」


全く何なんですか?陛下に処罰を決めてもらおうとしたら母上が遮ってきたよ。

不敬罪!不敬罪です!


それに見当違いの悪口を言われたので正論で返してみたらものすごく睨まれました。

うわぁ、人ひとり殺せそうな目ですネ。



しばらく思考を巡らせていた陛下が顔を上げる。


「…コーラル・シェリンプ・スカーレット、そなたは牢獄に死ぬまで入るように。

 扱いは平民と同じだ。

 ファイアー・バーガンディー・スカーレット、そなたは爵位をヴェールに譲るように。

 カーマイン・ボルドー・スカーレット、そなたは1年間謹慎とする」


私は陛下がおっしゃった言葉が理解できなかった。


「発言をお許しいただけますか?陛下」


「許そう」


「ありがたき幸せと存じます。

 陛下、私をスカーレット公爵にすると聞こえましたが事実でしょうか?」


「うむ、補佐はファイアーがすれば良いだろう。

 それとヴェール、そなたはオパール嬢と婚約していると聞いた。

 幸いにも、スカーレット公爵領はムーンストーン公爵領に近い。

 今後スカーレット公爵家とムーンストーン公爵家は友好的な関係を(きず)いていたほうが良いだろうからな」


「え、あの、つまり私はムーンストーン公爵家の養子ではなくなると?」


「うむ、そういうことだ」



えぇぇぇぇぇぇ?

聞き間違えではなかったそうな。

私はムーンストーン公爵家の養子ではなくなるらしい。

ちょっと残念。


にしても公爵ですか?

ものすごく激務なんでしょう?

嫌だぁ!忙しいのは嫌い!


は?!


「あの、陛下、その、学園はどうなるのですか?」


「ん?好きにすればよい。

 そなたの希望に合わせよう」


「でしたら、私は学園に通い続けたいです。

 えっと、ファイアー様?にお仕事はお手伝いしていただけるのですよね?」


「うむ、頼んだぞ、ファイアー」




__________________




あれから必要な書類をあの場ですべて書き、

私は正式にというかすべての公爵家の方々に公爵であることを承認された。


ちなみに母上は終始喚き散らしており、騎士の皆様に牢獄へ連れて行かれた。


うぅぅ、なんかスカッとしたはずなのになんか悲しい...。



ま、まぁ、ムーンストーン公爵家の方々とは少し距離ができたけれどそんなに関係は変わっていない。


というか、義兄上と義父上(ちちうえ)はああなることを事前に知らされていたらしい。

教えてよ、もう!


ちなみに養子ではなくなったが、オパールと婚約しているので、今まで通り、あにうえとちちうえと呼んでほしいと言われた。

義兄上は変わらないが、ちちうえだけは養父から義父へとなっている。


_______________



これから先の未来では不安なことや困難なことがたくさんあるかもしれないけれど

私は今まで手に入れてきたことを使って乗り越えていこうと思う












読んでいただきありがとうございます。


次回はエピローグ書いて完結です。


もしかしたら番外編とかを書くかもしれません。

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