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11. 緊張の公爵家との顔合わせ

え?公爵家とはもう顔合わせしたのでは?と思っているお方、

公爵様や公爵夫人、オパール以外にも公爵家には家族がいます。

私が公爵様に断って部屋を出ていこうとすると


「お待ちなさいな。

 ヴェールさん、いえヴェールと呼んでもいいかしら?

 わたくし、貴方と話すことをとても楽しみにしていたの。

 ですからね、公爵邸に来たらまずわたくしのところにいらしてね。

 それさえ約束してしまえばわたくしは良くってよ」


と公爵夫人に言われたので


「わかりました。それと私のことは是非、ヴェールとお呼びください。

 お養母様(かあさま)?それとも養母上(ははうえ)でよろしいでしょうか」


と返す。

普通なら養母上(ははうえ)が好ましいがお養母様(かあさま)と呼ばれたい人もいるのだ。

多分どちらでも構わないのだけれども()()確認しておく。


「ふふ、どちらでも構わないわ」


「わかりました。養母上(ははうえ)


公爵夫人、いや養母上(ははうえ)の言った言葉にやっぱりどっちでもいいよね、と思い

今度こそ公爵様に断り部屋を退室する。

 


_______________



公爵邸をでたらすぐに宿屋に向かう。



そしてローシェンナに


「ローシェンナ、ムーンストーン公爵家の養子になったから

 今日中に荷物をまとめて王都のムーンストーン公爵邸に行くよ。

 私は自分の荷物は自分でまとめるからローシェンナも自分の荷物をまとめてきて。

 貴女は私の侍女として来てもらうことになってるよ。

 さ、急いで」


と言って効率的に荷物を片付ける。


ローシェンナは私の言葉にものすごく驚いていたようだったが

すぐに我に返り自分の部屋に戻って荷物をまとめ始めた。



_________________



すべての荷物をまとめた私達は公爵様...ではなく

養父上(ちちうえ)が用意してくれた馬車に詰め込む。


そして宿屋のおばあさんに今日の分の代金と部屋の鍵を渡して私達は馬車に乗る。


やっぱり公爵家の馬車は座席がふかふかだ。


王都の公爵邸につくまで私達は他愛のないことを話していた。



_________________




公爵邸についたのは日が沈み始めた、世間一般では夕刻頃だった。


公爵邸についた私達を出迎えてくれたのはオパール嬢とエルム嬢だ。


「オパール嬢、エルム嬢、わざわざお出迎えいただきありがとうございます。

 不束者(ふつつかもの)ですがこれからよろしくおねがいします」


とりあえず出向いてくれたことに対してお礼を言うと


「ヴェール、あなたいくつかしら?

 あと、お誕生日はいつかしら?」


とオパール嬢から急に問いかけられた。


「えっと、16歳です。

 あと誕生日は卯月の10日です」


だから私は正直に答えた。


ちなみにこの国はなぜか前世の和風月名が月を表している。

これが世界の不思議...。


「そう、卯月ね。わたくしは卯月の14日ですわ。

 なので貴方の方が歳上です。

 ですのでわたくしは今からあなたのことをお義兄様(にいさま)とお呼びします。

 お義兄様(にいさま)はわたくしのことをどうぞオパールとお呼びくださいませ。

 それからその他人行儀のような喋り方はおやめください。

 “家族”になるのですから」


「わかった。オパール」


オパールから遠回しに敬語を使わないでほしいと言われたので私は素直に従う。


オパールは私の返事を聞いて満足そうにほほえみ

私を見つめる。


「それにわたくしたちはともに公爵家の血を引いております。

 家を勘当されたとしても貴方には公爵家の血が入っているのです。

 公爵家は王家の親族ですわ。

 勿論わたくしがあなたのことをお義兄様(にいさま)と呼びたいことに

 それらは関係ありません。

 わたくしは貴方に公爵家の血を引いていることに

 誇りを持ってほしいのです。

 それにしてもお義兄様(にいさま)の生家である

 スカーレット公爵家は本当に馬鹿なことをしたものですわ。

 だってお義兄様(にいさま)はものすごく優秀ですもの」


そうオパールに諭され、私は思わず


「私は優秀なんかじゃない」

 

と反論してしまった。


「まぁ、どうしてですの?お義兄様(にいさま)

 だって―――」


「私は優秀なんかじゃない。

 私は怠け者でいつも義務を終わらせるのはギリギリなんだ。

 それに私が優秀だったら家を勘当なんかされていないよ。

 私は優秀ではないんだ。オパール」


私が反論をしようとしたオパールの言葉を遮り

思いつく限りの私のだめな点を上げる。


というか思いつきで言った

『私が優秀だったら家を勘当なんかされていない』はあながち間違いじゃないと思う。

いくら養子に問題があっても私が優秀で使える駒ならば

幽閉でもされて家を勘当なんかはしなかったはずだ。


勿論私としてはそうなってほしくないので自分が優秀ではなくてよかったと思っている。


「お義兄様(にいさま)...」


オパールはまだなにかを言おうとしているが私は首を横に振る。そして


「オパール、ごめんね。

 私が優秀ではなくて。

 でも安心して。

 私は私を追い出したスカーレット公爵家を見返してやりたいから、

 今頑張って優秀になろうとしているんだ」


そう言うとオパールは


「わかりましたわ。お義兄様(にいさま)

 お部屋にご案内いたします。

 そちらのローシェンナさん?はエルムについていってくださいまし」


といって私を部屋に案内する。


ローシェンナもエルム嬢に部屋へ案内された。


自分の部屋に案内された私はその部屋の広さに驚く。


なんか広い!

スカーレット公爵家のわたしの部屋とは比べ物にならないね。


私はとりあえず荷物を片付けて廊下に出る。


廊下に出ると案の定オパールが待っていて


「お義兄様(にいさま)、こちらへ。

 夕食を取りに参ります。

 その時にお父様やお母様、私の兄妹が改めて自己紹介をいたします」


といって私を食堂に案内する。


すると大きい机にはすでに食事が並んでおり、

空いている席は2つだけ。

おそらく私とオパールのものだろう。


私はオパールの向かいの席に座る。


すると養父上(ちちうえ)


「よし、皆集まったな。

 それでは食事の前に新たな家族を紹介しよう。

 ヴェール、こちらへ」


といったので私は指示に従う。

事情を知っているオパールと養母上(ははうえ)以外の公爵家の視線が痛い。


「この子はヴェール・ウィスタリア・ムーンストーン。

 本日、養子として引き取った子だ。

 この子はオパールの婚約者でもある。

 そしてこの子は元スカーレット公爵家の令嬢だ。

 しかしこの子は男だ。

 聞いたところによると5歳から女として生きるように言われたらしい。

 皆、仲良くしてやってほしい。 

 ヴェール、自己紹介を」


「あ、はい。

 ヴェール・ウィスタリア・ムーンストーン。

 スカーレット公爵家を約一ヶ月前に勘当されました。

 男です。

 よく見た目や声で女性に見間違えられますが男です。

 得意なことは試験前の追い込みや

 速読ですね。あ、あと女装も得意です。

 苦手なことは計画的に行動を行うことでしょうか。

 なので試験前にいつも地獄を見ます。

 地獄を見続けた結果、追い込みが得意になりました。

 好きなことは本を読むこと。

 あとは試験前の切羽詰まった状況の空気でしょうか。

 あの緊張感はその時は地獄ですが過ぎてしまうと懐かしく感じます。

 嫌いなことは特にありませんが強いて言うならば毎日勉強をすることでしょうか。

 好きな人は努力を惜しまず、常に自身を磨き上げている者です。

 嫌いな人は私の集中を邪魔するものや努力をしないもの、などでしょうか。

 これからよろしくおねがいします」

 


 

 

 

読んでいただきありがとうございます。


次回はムーンストーン公爵家の人たちの自己紹介です。

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