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閑話 オパール公爵令嬢の考え

オパール視点です

わたくしの名はオパール・ジェード・ムーンストーン。


ムーンストーン公爵家の長女ですわ。




わたくしはフローライト学園に入るために作法やお勉強に励んでまいりました。


しかし学園の入学試験で筆頭公爵家の長女であるわたくしは試験に受かることができませんでした。

でもまだ機会は残されております。


中等部には編入試験がありませんが

高等部には編入試験があるのです。


ですのでわたくしはその編入試験の日のために

ものすごい努力をしたと自負しております。


そして編入試験当日、わたくしは今までの人生の中で一番緊張しておりました。


試験の問題は想定したものよりも簡単でしたが唯一気がかりなことがございました。

それは魔術のことです。


わたくしは呪文を覚えることがとても苦手でしたの。

学園の入学試験に受かることができなかったのも

魔術が苦手だったからだと思います。


しかし筆頭公爵家の長女であるわたくしに苦手があってはいけないのです。


ですからわたくしは魔術の学習にはそれ以外の学習よりも真剣に取り組んでおりました。



実技の試験ではやはり魔術を行使するようですので

一番得意な風属性の魔術を使うことにいたしました。


試験の魔術の出来は今までで一番良かったと思います。

しかし誤算が生じてしまいました。


魔法を使ってみなさいと試験管様がおっしゃるのです。


わたくしは魔法を行使するために

ものすごく集中し、想像力をはたらかせました。


そうするとわたくしの周りに風が吹いたのです。


自然の風かと思いましたが

風の中に花びらが混じっているのを見て

これはわたくしの魔法なのではないかと思いました。


私が想像していたそれと同じ現象だったのです。


試験管様が


「素晴らしい。

 とても美しい魔法だ」


とおっしゃいました。


そのことでわたくしはやっと自分が魔法を行使したことに気付けたのですわ。



________________________



試験の結果が張り出される日、


わたくしは試験当日よりも緊張していました。



筆記試験の結果も、

実技試験の結果も良かったと思うのですが

やはり受かっているかどうか心配になってしまうものです。



わたくしは侍女を伴って上位30名の名前が張り出されているところに向かいましたわ。


そこには

わたくしが次席であることが記されていました。


主席の方はヴェール・ウィスタリア、平民でした。


そしてヴェール・ウィスタリアとはスカーレット公爵家の箱入り令嬢のお名前ですわ。

しかしヴェール嬢は見た目と無能で家を追い出されたと噂になっております。


もしこのヴェール・ウィスタリアが家を追い出された公爵令嬢だと言うならば

ヴェール嬢を追い出したスカーレット公爵家はとんだ無能の家になってしまいます。

だって無能が王立学園の編入試験で主席を取れるはずがございませんもの。


それにヴェール嬢を冷遇するのは王家を下に見ていることと同義ですのに。

ヴェール嬢の鮮やかな緑の髪は王家の髪色ではありませんか。

スカーレット公爵家は先祖返りというものをご存知ないのかしら?



まぁどうせ困るのはスカーレット公爵家だわ。

もともと影響力と権力など公爵家の中で最も貧弱だったのが

侯爵家の中で貧弱になるだけですわ。


_______________________



始業式、主席のヴェール・ウィスタリアは編入生代表の挨拶を努めておりましたわ。


わたくしは驚いたのです。

ヴェール・ウィスタリアは男の制服を纏っておりました。


しかし顔立ちや声、髪を切っていて緋色の髪が見えているものの

そのものの容姿はヴェール・ウィスタリア・スカーレット公爵令嬢なのです。


どういうことなのでしょうか。


スカーレット公爵令嬢を知っている方々は皆困惑した表情を浮かべております。

わたくしもその一人です。


ヴェール・ウィスタリアはスカーレット公爵令嬢だったのか

彼はスカーレット公爵令嬢は男なのか女なのかわからなくなってしまいました。


しかし彼は男なのでしょう。


前はおそらく冷遇されていた影響で令嬢として生きていたのでしょう。


____________________


始業式が終わり、授業を受けるため教室へ行くとわたくしの席は

ヴェール・ウィスタリアの隣でした。


彼がスカーレット公爵家の人間だったかを確かめると

矛盾した答えが返ってきたので思わず首を傾げてしまいました。


すると彼はその意味を説明してくれましたわ。

そしてその後自分は男で平民だからあまり親しくするものではないとおっしゃいました。


わたくしは彼ともっと話してみたかったのに身分や性別の違いでできないと言われ

思わず私がなんとかしてみせるから親しくしましょうといってしまいましたわ。


そのやり取りは本当ならもっと続いたのですが―主に仲良くしましょう!できませんよ!の会話で―先生がいらっしゃったため強制的に終わりになりました。



授業が終わったあと彼はあまりわたくしと口を聞こうとはしませんでした。

彼は魔術にとても詳しいからお話を聞いてみたかったのに...


なのでわたくしは帰り際にわたくしのことを名前で呼ぶように言いましたわ。


彼から色々聞くためにもわたくしは努力を惜しむことはいたしませんわ!



_______________________



学園から帰ってまずはじめにわたくしはお父様とお母様をお茶会にお誘いしましたわ。








「お父様、お母様、早速学園で面白い方を見つけました」


わたくしはそう言って話を切り出しました。


「ほう、其奴はどのような名前なのだ」


わたくしはお父様の言葉を聞いて第一関門を突破したことに嬉しくなりました。


「はい、その御方はヴェール・ウィスタリア。

 元スカーレット公爵家のお方ですわ」


わたくしはそう言うとお父様の目を見つめました。

お父様は眉をひそめると


「元とはどういうことだ」


と吐き捨てるようにおっしゃいました。


わたくしはお父様の圧に負けないように気を引き締めて


「公爵家を勘当されたようです。

 それとスカーレット公爵令嬢は死にました。

 そしてヴェール・ウィスタリアは男です。

 なのでもう彼と公爵家には繋がりがないかと存じます。

 唯一繋がりを表すものといえば彼の緑の髪から覗く緋色の髪でしょうか。

 それに彼は社交界で囁かれている無能ではございませんでした」


というと今度はお母様が私を見て


「その確証はあるのですか?

 オパール」


とおっしゃいました。わたくしはお母様に向き合い頷きました。


「はい。それでは逆にお母様に質問させていただきます。

 お母様、本当の無能に編入試験の主席を取れるでしょうか。

 わたくしには不可能だと思います。

 わたくしはお恥ずかしいことですが次席です。

 それでも筆記試験は満点に近く、魔法についても試験官様からお褒めの言葉をいただきました。

 それでいて次席だったのです」


わたくしの問いかけにお母様は少し考える素振りを見せると


「それは...そうですね。

 たしかに不可能ですわ。

 なぜスカーレット公爵家は彼を勘当したのでしょうか。

 まさか伝統を重んじるあまり、能力を考慮しなかったのでしょうか。

 オパール、あなたはヴェールさんが魔法または魔術を行使しているのを目撃しましたか?」


とおっしゃいました。


「まぁ、少しだけ。

 彼だけ実技試験の魔術の時間が長かったですから。

 彼は全属性の魔法を使えるようです。

 それでいて特定の属性の魔術が得意ではなくすべてが得意のようにも見えました」


わたくしはお母様の問いかけにそう答えました。


「そうですか。

 旦那様、このような逸材をのに話しておくのはもったいないですわ。

 それに誰かに取られてしまってはもったいないですよ。

 オパール、あなたはヴェールさんが嫌いではないでしょう?」


お母様はわたくしの答えに満足したように頷き、お父様に声をかける。

そして聞いたこともないような優しい声でそう言ったので

わたくしは「もちろんです」としか返せませんでした。

まぁ私には彼を嫌う理由がありませんもの。



_______________________





始業式の翌日はおやすみでした。


わたくしはお母様とお父様に呼び出されました。




部屋に入るとお父様が


「ヴェール・ウィスタリアを養子に迎えることにした。

 異論はないな?」


とおっしゃいました。


そして


「ヴェールを呼んでくるように。

 わかったか?オパール」


とおっしゃった。


「承りましたわ。

 お父様」


わたくしはそう言うと部屋を出ました。


_______________



わたくしはお父様にいわれた宿屋の前たちました。


もちろん一人ではございませんわ。


昔から一緒にいた護衛騎士のエルム・セレスト・フォゲットミーノットもいっしょです。

エルムは髪色が王族に近いですが我が公爵家の分家の家系ですわ。


公爵家の血を引いている家ではたまに緑色の髪色の子が生まれるのです。

先祖返りというものだと思いますわ。



そんなことよりもわたくしはこの扉を開くのですよね?

どうしましょう、急に心配になってきましたわ。


助けを求めるようにエルムを見るとエルムは頷いて扉を開けてくれました。

そして宿屋のおばあさまに


「お忙しいところ申し訳ございません。

 ヴェールというものがこの宿に泊まっていると聞きまして

 訪ねてまいりました。

 ヴェールさんの部屋をお教えしていただいてもよろしいでしょうか?」


と尋ねていました。

おばあさまは少し渋ったような表情をしましたがエルムが何かを耳元でつぶやくと


「203号室ですよ」


と教えて下さいました。

今度エルムにどうやったのかを尋ねてみましょう。





わたくしたちは203号室まで歩いてエルムが扉をノックします。


「失礼いたします。

 わたくしはエルム・セレスト・フォゲットミーノットと申します。

 本日はムーンストーン公爵様より頂いた伝言をお持ちしました」


エルムがそう言ってからすこしたって


「なんですか?筆頭公爵様からの伝言は?」


と言いながら扉を開けてヴェール様が顔をのぞかせました。


そしてヴェール様はわたくしを確認すると背筋を正し


「オパール嬢、筆頭公爵様からの伝言とは本当ですか?」


と聞いていた。わたくしはコクリと頷きエルムに目配せをします。


「伝言は今すぐ王都のムーンストーン公爵邸に参上せよです」


エルムはそう言いました。


その言葉にヴェールは


「はぁ、了解しました。

 すぐに準備するので宿屋の外でお待ち下さい」


とおっしゃいました。


わたくしたちは素直にその言葉に従い、

宿屋の外でヴェールを待つことにいたしましたの。

 

しばらくしてヴェール様が宿屋から出てきました。

服装は正装です。

やはり公爵邸に参上するからでしょうか?


わたくしたちはそれから公爵邸に向かいました。


_____________



公爵邸の中に入り、お父様の執務室を目指します。



お父様の部屋の扉をノックし

「失礼いいたします。

 ヴェールを連れてきました」

と言い部屋の中に入りました。


お父様はヴェールを少し見て


「君がヴェールか。

 随分と魔術や魔法の腕、頭がいいそうだね。

 その証拠を見せてくれないか?

 そしてどうやって我が娘を差し置いて主席の座を手に入れたんだい?」


とおっしゃいました。


ヴェールは「承りました」といって

深呼吸をはじめました。


すると美しい光がヴェールの周りを回り始めたのです。


そしてヴェールがお父様を見つめ


「いかがでしょうか」


と仰っています。


そして周りを回っていた光が消えヴェールはお父様を見つめながら


「主席を取れたのはたまたまですよ。

 私の得意な問題ばかりでしたし。

 それに私もまさか主席を取れるとは思いませんでした。

 なにせ編入試験に向けての勉強は1ヶ月でしたから。

 偶然です」


とおっしゃいました。

1ヶ月前からの勉強で主席を取られると

なんだか虚しくなってきましたわ。


お父様は一言「そうか」とおっしゃるとなにかを書いています。


そしてさきほど書いていたと思われる紙をヴェールに見せました。

ヴェールはものすごく驚いていましたがすぐに笑顔になりお礼を言っていた



________________



わたくしがその書類の内容を知るのはもう少しあとのはなし...

エルムは女性です。

エルムの髪色を知りたい方はエルムグリーンと調べてください。

きれいな葉っぱの色です。

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