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閑話 スカーレット公爵様の後悔と望み

スカーレット公爵家当主、ファイヤー・バーガンディー・スカーレット視点です。


ヴェールについてファイヤーはどんな感情を抱いているのでしょうか?

私の名はファイヤー・バーガンディー・スカーレット。


スカーレット公爵家の当主だ。



私には二人の息子がいる。


長男のヴェールは王族に近い容姿を持って生まれた。

次男のカーマインはスカーレット公爵家の象徴である真紅の瞳と髪を持って生まれた。


私にとってはふたりとも大切な家族だが、

私の正妻であるコーラルはそうは思ってはいないようだ。


だからヴェールの5歳の誕生日の前日に彼に女として生きることを命令しろと言われた。

彼女はよほど王族に近い容姿を持った彼が許せないらしい。

しかし私には彼女は王族に近いなどと考えず、

只々、スカーレット公爵家の容姿を受け継げなかった彼を憎んでいるように見えた。


この国では普通、爵位は長男が継ぐ。

私としては是非ヴェールに継いでほしい。

だから彼女のヴェールに女として生きていくことを命令することはしたくない。


しかし私は彼女に、コーラルに弱みを握られている。

だから私は渋々と彼女に従った。


______________



ヴェールは私が女として生きろと命じても少し驚いただけで

すぐに名前を変えたほうがいいか聞いてくる。


もう少し反抗すると思ったが意外だ。


5歳でこのような大人の対応ができる息子に感心した。


私はヴェールと話している間ずっと辛かった。

カーマインよりもヴェールのほうがよっぽど当主に向いている気がするのだ。



_______________



カーマインは厳しい指導のおかげか、

当主になれるだけの力を身に着けた。


対してヴェールはひたすら勉強に励み、

社交界では中心の人物となっていた。


ヴェールは社交界にデビューしてから一年も経っていないのに驚きだ。



明日はヴェールの16歳の誕生日だ。

この国では16歳で成人する。




そしてヴェールの誕生日、私はコーラルから信じられない報告を受けた。


なんでもヴェールを我が家から追い出したとか。


私はコーラルに逆らえない。

だからせめて少しでもあがいてみせようと

ヴェールに当てられている一年分の予算を秘密裏に彼に渡した。


これでヴェールはしばらくはお金に苦労しないだろう。




___________________




ヴェールが家を出てから一ヶ月がたった。


この時期はフローライト学園の編入試験だったはずだ。

時期を見るともう始業式は終わっているだろう。



私はいつものように他愛のないことを考えながら執務室に向かう。



扉を開けると、顔色を変えた側近が近づいてきて


「閣下、ヴェール様が、ヴェール様が筆頭公爵家の養子として引き取られたようです。

 それから、筆頭公爵家のご令嬢、オパール・ジェード・ムーンストーンと婚約を結んだようです!」


といった。私の頭はそれを理解することができなかった。

否、理解することを拒んだといったほうが良いかもしれない。


どうしてそうなったのかはわからない。


「スカーレット公爵邸を出てからのヴェールの動向について調査をしろ。

 筆頭公爵家の目にとまるような出来事があったはずだ。

 すぐに調べろ」


私はヴェールについて情報を集めるように指示を出し、つぶやく。


「どうして、どうしてこんなことに...。

 ヴェール、せめて顔だけでも見せてくれ...」


私しかいない執務室で私はただ、どうしたものかと頭を悩ませる。



私が悩んでいるのは一体なぜだろうか?


コーラルについて?

それともカーマイン?

それともヴェールについて?


あるいはその全て?



もう考えたくない。



私はなんの権力もない。

ただ、公爵の仕事をするだけの人形だ。


私は一体いつになったらコーラルから開放されるのだろうか。

 

読んでいただきありがとうございます。


ファイヤーが早く開放されることを祈っています。

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