第7話 『90%の作戦』
――――――――ブーブーブー。
洸たちの持っている携帯の、通知音が鳴り響く。
『生きている人は、みんな3階集合♪』
龍斗からのメッセージだった。
3階。現在洸たちは、4階にいる。
さっきの焦吉からのメッセージで、グラウンドから極力離れた場所に避難するためだ。
快兎「おい、どうするよ。」
白「当てがない以上、行くしかないわね。」
洸「わかった。すぐに向かおう。」
そして、洸たち4人全員3階へと向かうことにした。
茜「念のためグラウンド確認しとくわね。」
そう言うと、茜は教室の窓からグラウンドを見下ろした。
茜はグラウンドを細かく見てみたが、何もいない。
人影がなかった。
焦吉たちの見たはずの、鬼の姿がなかった。
茜「グラウンドには、何もいないわよ。」
そう言った時だった。
快兎「…!まずい!!」
快兎は、すぐ近くの教室に3人を入れた。
洸「いてて、なにすんだよ!」
快兎「しっ。」
快兎は、階段近くの教室のほうに耳を傾けた。
白「なに?なにかいたの?」
快兎「まずいよ。なかったはずの足音が今、割れた窓のある教室からしたんだ。」
洸「他の隠れていた生存者じゃないのか?」
快兎「いや、突然窓のほうに現れた。」
茜「まさか、グラウンドから4階まで飛んできたの?!」
あり得ないことはなかった。
実際に蒼たちは、常人じゃないは速さを目撃していた
超人的な跳躍力もないとは言い切れない。
洸「まて?!てことはまさか今…!」
白「大ピンチね。いつ出てきてもおかしくないし、見られる可能性もある。というか、探された時点でアウトね。」
茜「え?え?どうして?」
3人は、そのアウトの理由は明白だった。
白「この教室…隠れる場所ないのよ?」
快兎「まずいな。歩き始めた…。」
そう快兎が言った瞬間、
洸「まてよ?いま、もしその近くの階段から降りて3階に行ったら…!!」
最悪の事態は、重なり続けた。
最悪、下の階から来た合流予定のみんなが鉢合わせでもしたアウトだった。
白「最悪ね。下に行かせてもダメ。私たちも下手に動けない。どうするの?」
茜「とにかく、3階は駄目ってグループで呼び掛けて、別の場所で落ち合うのは?」
それが一番の最善策でもある。
とにかく、全滅を避けるためにみんなに情報を共有した。
快兎「んでだ、おれたちはどうするんだ?4階から飛び降りてグラウンドに行く、ってのも死ぬしな…。」
茜「当たり前よ!!!!」
とにかく、考えた。
だが、何も思い浮かばなかった。
いい作戦が思い浮かばなかった。
洸「…。」
洸が咄嗟に携帯で、だれかと通話を始めた。
快兎「おいおい、こんな時に誰だよ…。」
洸「俺だ龍斗。」
快兎「あいつかい!!」
龍斗なら何か打開策を練れるかもしれないと、相談してみた。
龍斗「なるほど~♪だから、あんなメッセージを送ったんだね♪」
洸「だから、龍斗ならこの状況どうにかできないか、と思ってたんだが…。」
ダメもとで連絡をした。
なにか、いい作戦はないかと…。
龍斗「実はさ、もうすでに蒼くんたちには、逃げ切る為の作戦を伝えたんだよね。」
洸「なに!話はついてるのなら電話越しでいい、教えてくれ。それを今言うってことは…今その作戦が生きるってことだろ。」
龍斗「まあ。まだ準備が全部整ってないんだよね。途中で会った美南さんたちにも協力お願いしたんだけど、まだ帰ってきてなくて。」
――――――――校舎内 2階廊下 <龍斗SIDE>――――――――
快兎たちが、異変に気付く数分前…。
龍斗「さてと、3階に向かう前に…。さっきみんなに話したの覚えてる?♪」
實「あぁ、例の作戦の話ね。あれかなり使うだろ?アレ。」
龍斗「そ、だからそこに隠れてるお嬢ちゃんたちに手伝ってもらおうかなってね♪」
未希「え…!?」
龍斗は、近くの教室の教卓の下を見て言った。
龍斗「なんもしないよ?てか、バレバレだよ♪」
何も出てこない。
教卓の下からは何も出てこない。
麻衣「何もいないようですけど?」
實「いねぇんじゃないか?」
龍斗「いいえ?いますよ?だって…パンツが見えてますよ♪」
そう言った瞬間だった。
美南「きゃっ!!!!」
龍斗「ね♪」
歩「ちょっと…美南ちゃん…。」
教卓の下からは、顔を赤らめた女子生徒が出てきた。
それは、美南と歩だった。
美南「きったな!!ハメたわね?!?!」
怒りながら、龍斗の元へと近づいていく。
歩「ね、ねえ。美南ちゃん…。」
龍斗「だって出てこないもんだから♪つい♪」
美南「なっ…!」
今度は、別の意味で顔を赤くし始めた。
その後、龍斗は彼女にこっぴどく叱られた。
美南「で。なんのようよ、うちらに。」
龍斗「協力してほしいんだ♪」
美南「お断りします。」
美南は、きっぱりとそう言った。
歩「ちょ、美南ちゃん…?」
實「てめぇ。変な意地張ってないで協力しやがれ!!」
美南「それが、人様にものを頼む態度なの?」
なぜか偉そうに、龍斗たちを圧倒した。
歩「こう言ってるけど、行く当ても、目的もないのでよろしくお願いします。」
美南とは真逆に、頭を下げて頼み込んだ。
美南たちには、現時点で目的もなく、ただ歩き回るしかなかった。
美南「ちょっと歩?!」
龍斗「はーい♪ありがとうございます♪」
美南「(この男、知り尽くしてやがる…っ。)」
そして、美南たちは龍斗たちと同行することになった。
龍斗「じゃあ、作戦を話すよ。」
2人に、龍斗の考えているこのゲーム攻略の作戦を伝えられた。
龍斗「まず、この作戦は命の危険もある。だが、人数が集まれば集まるほどに成功率もたかくなる。だから、全員の協力を仰ごうとしたんだ。危険な賭け事なんだ。失敗すれば最悪全滅だ。それを踏まえた上で協力して欲しい。」
命の危険がある作戦。龍斗は今回の件でとにかく、仲間全員を救いたいと考えた上での作戦だった。
危険だが、成功すればみんなが助かる。そう、考えていた。
美南「…っ。」
龍斗「無理にとは言わない。だが、逃げていても疲れるだけだ。結局捕まるのが目に見えている。判断は任せるさ。今、生きている16人が全員協力すれば、助かる確率は…ほぼ100%だ。」
美南「…っ。」
美南は考えていた。この作戦に乗って成功率を上げて生き残るか、乗らないで少人数で生き延びるか。
歩「やります。」
美南「ちょっ…!!」
歩「美南ちゃんが行かなくても、私は行くよ。」
美南「歩…。」
歩は龍斗の方へと歩いた。
そして、振り返って言った。
歩「私は、またみんなでいつものように、普通の日常を送りたいから!みんなで生き残るために協力する!」
そう固く決心していた。
みんなを救ってまたいつもの日常に戻りたいと、その気持ちは大きく、簡単には揺るがないものだった。
龍斗「さて、美南さんはどうする?」
美南「あーもう!わかったわよ!歩1人は心配だし行くわ!!!」
龍斗「うん♪決まりだね♪」
そして、龍斗は作戦の細かな内容を話し始めた。
龍斗「ま、簡単言うと、相手の動きを止める♪」
美南「そんなことできるの…?」
美南も歩も、あの超人的な速さを見ていた。
されがわかっていた上での、話し合いだった。
龍斗「うん♪たぶんできる。これをうまく応用するんだ♪」
美南「これは…?」
未希「煙幕さ。効力が短いが視界を奪える。」
龍斗「そういうこと。これを、全員が死角から投げる。叩きつけるだけで激しく煙が舞うからね。」
美南「すごいもの作ったわね…。」
驚くのも無理はなかった。
本来、授業でも習わないからだ。
龍斗独自の作品でもあった。
麻衣「それだけじゃないわ。これも使うのよ。」
麻衣は、廊下に置いてあったバケツを持ってきた。
その中には、大量の油が入っていた。
調理室にあるだけの油を大量に入れたバケツだった。
龍斗「そ、目眩ましと同時に使う♪だから、人手がいるのさ♪煙を常に巻き続ける人、油を敷く人ってね。もし、煙が消えたら姿が見えておしまいだからね♪」
美南「煙幕かなり重要ね…。その二つだけで足止めできるの?」
龍斗「もちろん長くは持たないから、一回きりの上、残り時間30分の段階で足止め♪」
美南「ちょっと待って?まだ、30分まで30分あるわよ?!」
現在の時刻『11:00』そう時計が時刻を、正しく刻んでいた。
龍斗「その時間までに、準備を終わらせるのさ♪」
美南「作戦は以上?」
龍斗「あとは、配置と場所。場所は3階で行う。何があってもいいようにね。」
美南「なんで3階なの?」
美南も歩も、なぜ3階なのか疑問を得ていた。
そう、この作戦は3階でしか行えなかった。
本来は3階でも4階でも行えた。
1階は外が近いせいで、煙が良からぬ方向へと舞うからだ。
2階も同様、元々この校舎は2階建てだったため、床がボロボロで下から風も吹き上げている。
そして、後から人数も増えすぎ、新築として3、4階を建てていた。
龍斗「そして、4階は最初に窓を割られているからアウトだ。だから、できる場所も限定された。わかった?♪」
美南「なんとなくわかったわ。その3階の死角から、煙玉を投げてからの油ね…。」
龍斗「おそらく、洸くんたちは手伝ってくれるよ。蒼くんも焦吉くんも手伝ってくれる。今のところは、12人。十分に足りる。残りの4人は来ないとみてる。大丈夫。来なくても、確率は90%はあるさ♪」
實「まぁ、残ってんのがあの4人だしな。」
ケッという態度で期待をしていなかった。
龍斗「とにかく、3階に向かうか。」
――――――――校舎内 4階 <洸SIDE>――――――――
そして、時は戻る。
洸たちには、龍斗が携帯で全ての事情を説明した。
洸「なるほどな。で、その作戦いつ使うんだ?予定より10分早いぞ。」
龍斗「そうなんだよね。残り4人が協力してくれれば十分すぎる時間だったんだけどね…。でも、期待できないから、10分早く行うよ♪」
そういうと、龍斗が準備を始めるため移動を始めた。
洸「おい?どうやって始めるんだ?当初の予定は10分後の3階だろ?」
龍斗「問題ないよ。みんなは位置についてる。あとは、おびき寄せるだけ。」
洸「おびき寄せるって…。どうやって…。」
その瞬間、洸は何かに気づいた。
洸「まさか…?!」
龍斗「そのまさかだよ…。成功率を下げないためにも………。」
龍斗『僕が囮になる………♪』
第7話 『90%の作戦』(完)




