第4話 『動き出す者たち』
――――――――――――パリーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!
どこかから、激しく何かが割れる音が校舎中に響き渡った。
だが、その正体はすぐにわかった。
洸「なんだ?!」
快兎「何の音だ?!」
2人は音のした瞬間、座っていた席から勢いよく立ち上がった。
そして、洸と快兎は音のした方向に目を向けた。
それは窓の方向、そこに現れたものは洸たちの想像もつかないようなものだった。
快兎「お、おい!あれは!!」
洸「なっ…!?」
洸と快兎の目に入ったものの正体、それは人だった。
窓の外、更に上から落ちるようにして現れたものは人だった。
さらに、次の瞬間・・・
女子生徒「いやああああああああっっっっ—――—――!!!」
かなりの悲鳴が校舎内に響き渡った。
だが、その悲鳴は普通ではない、途中で途切れるかのように消えていった。
その悲鳴の正体もなぜ途切れたのかの理由もすぐに目の前に答えが現れた。
快兎「なにっ…!?」
洸「…っ!」
洸たちの目に映ったのは、またしても人だった。
ただ、さっきの人とは違った。
先ほどの人は見ただけでわかるような、目立つような傷はなかった。
だが、たった今落ちてきた人は、腹部から下の無い女子生徒の上半身だった。
快兎「まじかよ…。」
洸「まさか…!」
洸はすぐに思考を駆け巡らせた。
なぜ、上から人が落ちてきたのか。窓ガラスの割れる音と悲鳴。
すぐに洸は答えにたどり着いた。
快兎「どうしたよ…!洸!」
洸「…これは憶測でしかないが…恐らく今、この時俺たちの真上の教室にいる。」
快兎「おいおい…まさか!!」
洸「十中八九…『鬼』だろうな。」
鬼、それはこのゲームに置いての敵である存在。
その敵がすぐ真上にいる。
そして、洸はもう一つのことにも気づいた。
洸「待てよ…て、ことは!!」
洸が、何かを思いついたかのように独り言を口にした瞬間、今いる教室を出て白たちのいる廊下に出た。
快兎「お、おい!洸!!」
何が何だかわからない快兎が、呼び止めようとしたが、すでに洸はその場にはいない。
白「見張りの交代にしては早いわね。」
茜「大慌てでどうしたの…?」
洸「すぐにだ、すぐにこの場を離れて下の階に行くぞ…!」
洸は、茜の言葉を遮るようにそう言った。
当然、何も見ていない白と茜には状況が理解できていなかった。
白「数秒前の悲鳴ね。何があったの。」
もちろんあのでかい悲鳴は白にも聞こえている。
そして、なぜ洸がこんなにも焦って移動をしようとしているのか、それすら白には分かっていた。
洸「犠牲者が出た…。鬼に見つかったんんだろうな…。」
茜「うそ…じゃあさっきの…。」
白「そうみたいね…。」
白がそう呟きながら、携帯のグループを3人に見せた。
『—―――杉山浩太がログアウトしました。—―――』
『—―――秋原千代がログアウトしました。—―――』
と、2つの文字が書かれていた。
山崎先生と同様に死んだ者たちの知らせ、『死の通知』が流れていた。
洸「2人ともやられた。鬼はおそらく上の階にいる。だからこそ、早くに下の階に離れるんだ。」
そういうと、白と茜は準備を始めた。
快兎「どうすんだよ、洸。」
洸「さっきも言ったが、下に階に移動する。ただし、逆側の階段からな。」
洸の思いついたこと、それは極めて単純だ。
真上の教室に鬼がいると仮定するのなら、見張っていた階段から近い教室にいることになる。
鬼がもし近くの階段を使い降りてきたのなら、逃げる時の足音で場所が探知される。
そう考えた洸はその説明を3人にし、すぐに音を立てずに行動を開始した。
—―――—―――グラウンド <焦吉・蒼SIDE>—―――—―――
派手なガラスの割れる音のする、数分前。
外で見張りをしていた蒼と焦吉の方では…。
焦吉「おい、蒼。何か変わったことはあったか?」
焦吉が蒼の方を見てそう聞いた。
蒼「あぁ。変わったことはあったよ。あの階だ、何か変だ…。」
そう蒼が言うと焦吉もつかさず見た。
焦吉「なんだ?!なんかあったのか!?」
蒼の指差している窓をよく見た。
蒼「4階のあの窓だ……。」
焦吉「なんだ…!」
焦吉がそこに目をやった。
焦吉「なっ…!!!!」
そこには、窓際でキスをしている熱々の男女がいた。
蒼「あんなとこで、こんな状況で、すげぇことしてんぞ、な、おかしいだろ…?」
焦吉「確かにおかしいけど!!心配した俺がバカみたいじゃないか!!!」
蒼「なるほど、こんな状況だからこそ、やることやっちゃおうの精神か。なるほど。」
焦吉「そうかもしれないけど!ちゃんと見といて?!」
謎にあの状況を分析し始める蒼と、間髪入れずにツッコミをいれる、相容れない場面だった。
だが、次の瞬間だった…。
蒼「…ん?なんだ、おい。また更に様子がおかしいぞ。」
焦吉「なんだよ、キスのその先に進展したのか?もうそれ以上みてないで他をよく見てやれ…。あのカップルがすごく気の毒で仕方がないぞ。」
呆れたように焦吉がそういったが、蒼の様子がさっきとは間違う反応をし始める。
蒼「ちげぇよ!女の方はすげぇ怯え切ってるが、男がだれかと話して……」
――――――――――――パリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!
蒼が一生懸命に状況を焦吉に話していた時だった、その説明を掻っ切るかの如く、激しく窓ガラスの割れる音がグラウンドに響き渡っていた。
蒼「…はっ!!」
蒼がその方向を反射的に見た。
それに合わせて焦吉も窓を見た。
焦吉「おい!なんだありゃ!急に割れたぞ?!」
蒼「違う!さっきの男が思い切り窓ガラスに当たったんだ!その拍子に割れて、男が落ちた…!」
焦吉「ちょっと待て!女は、そっちは?!」
蒼「いる、まだいる、見えている!」
蒼の目には割れた窓のすぐそばにいるさっきの女の生徒がいた。
なにかを見て怯えている彼女の姿を捉えていた。
焦吉「後ろに行こうとしてるぞ!」
目のいい2人には状況がよく見えている。
ただ、死角にいる何者かわからないやつが見えていないが、女子生徒の姿は見える。
女子生徒「いやああああああああああっっっっ—――—――!!!」
叫び声。その叫び声が途中で途切れた。
その途切れる瞬間に見えたものを、蒼と焦吉はしっかりと見ていた。
蒼「おいおい…。まじかよ…。あれ…。」
焦吉「人間の技じゃないぞ…。細いひも状のものであんな…。」
蒼と焦吉の目に映ったそれは、きらきら光る細長いものだった。
叫び声と共に巻き付けられ女子生徒の上半身と下半身が泣き別れになった。
そして、上半身は下へと落下した。
窓際にいた事で落ちてしまっていった。
蒼「多分…ワイヤーか何かだろうよ…。」
――――――ガサガサッ!!!
焦吉「お、おい!蒼!どこ行くんだよ!」
蒼は見張っていた木から降りて行った。
蒼「あの2人の落ちた場所に行ってみる!焦吉はそこから俺と他の様子を見ていてくれ!何か変わったことがあったら電話をかけて連絡してくれ!」
焦吉「あ、あぁ!わかったけど、気を付けろよ!!!」
蒼「おうよ!!」
蒼はその言葉を言い残し、落ちて行った2人の元へと走り去っていった。
第4話 『動き出す者たち』(完)




