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僕が死ぬと世界が滅びます。  作者: ふぃーりす
一章 始まり
2/16

終わりと始まり

投稿しました。よろしくお願い致します。


あの日、僕は死んだ。


死因は餓死。特に悲劇的なところのない自業自得の餓死だ。


僕には昔、大切な人がいた。


天涯孤独だった僕に人間の温かみを教えてくれた女性。


彼女とは高校生の時に出会った。


入学したてで話す相手が誰もいなかった僕は、レクリエーションで一緒になった彼女に話かけた。


彼女も退屈していたらしく、僕たちはとりとめのない話をした。


自分で言うのもなんだが、僕は奥手でなかなか初対面の人と上手に話ができない。


だが、彼女とは初めてでも気楽に話をした。


僕らはすぐに仲良くなり、友達として多くの時間を共有するようになった。


そしてしばらくすると、彼女は僕と同じように今の生活が幸福とは言えないものだという事を知った。


彼女の父親は早くになくなり、母親は彼女のために昼も夜も働き、彼女にとってそれが心苦しく感じているらしい。


自分がいなければとさえ思うと僕に語ってくれた。


僕も両親を早くに無くし、幸運にも親戚に引き取られたが特に構ってもらった記憶がない。


もちろん引き取ってもらえただけで感謝すべきなのはわかっているが、いまいち家族の情がわからない。


だから僕も自分が生きている意味についてわからない。


僕らは孤独だった。


僕と彼女は友達もいて普通の学校生活を送っていても、どこかで他人と距離をおいていた。


そういうところが、逆に僕らの距離感を縮めた。


彼女は高校を卒業すると働き始めた。


少しでも母親を楽にしてやりたいといっていた。


僕は大学に行くのは申し訳ないと思っていたが、高卒では職を見つけられる自信がなかったので専門学校に行かせてもらった。


その頃にはお互い一緒になる未来を心のなかで描いてた・・・と思う。


少なくとも僕はそうだった。


専門学校を卒業した後すぐに就職した。


彼女から2年遅れて社会人デビュー。


彼女は社会人の先輩として祝ってくれた。


その時僕は祝ってもらえるような人間になったんだと感慨深く思った。


そして僕らは一緒になるための準備を進めた。


お金をため、いっしょに住む場所を決めたり。


その時はお互い一人暮らしだったが、とりあえず同棲しようと決めて、場所や価格、間取りを見比べながら吟味していた。


これからの生活に心躍るような感覚。


これからが楽しくなっていくという予感を胸に日々を過ごしてた。


そんなとき彼女が死んだ。


交通事故だった。


事故が頻発する見通しの悪い横断歩道を彼女が渡っているとき、車が来て彼女を轢いた。


即死だったという。


突然、僕にまた孤独になった


大切な人を事故で亡くし、心の拠り所を亡くした僕は泣くでもなく喚くでもなく、無気力になった。


動くことも、食べることも億劫になり、一日中部屋の中で座り込んでいた。


空腹で辛いときもあったが、それすら当時の自分にとっては救いだった。


この苦しみだけが、自分を自分たらしめる最後の希望のようだと感じていた。


僕はあるとき、自分の部屋の中で倒れた。


意識も朦朧となっていく。


その状態になってやっと安心した。


これでまた彼女に会える。


理解不能な満足感を心に抱き、そのまま意識を失った。


そして、次に目を開けると知らない光景が広がっていた。


何が起こったか全く理解できなかったが、見たことのない模様の高い天井、僕に話しかける西洋風の男性。


なにより驚いたのは自分自身が子供のなっていたことだ。


僕はつかまり立ちが精々の幼子になっていた。


最初はなにが起こっていたかわからなかった。


僕自身、引きこもって以降、自分の部屋の中から一歩も出た記憶がないし、そもそも幼くなる理由がわからない。


これは夢かとも疑ったがいつまでも目覚めないし、夢とは思えないほどの現実感を感じた。


では、逆に今までの記憶が夢で、現在が現実かとも思った。


しかしそう思っても、今までが現実感感がありすぎる。


だから、考え抜いた結果、自分は死んでしまって、ここは極楽浄土かなにかだと結論づけた。


もしくは、異世界転生かなにかでもいい。


考える時間はたくさんあったが、どうせいくら考えても答えはでないし、答えてくれる人は現れないだろうということだ。


それに、当時の自分はそんなことどうでもよかった。


正直、自分は無事に死ねたんだと思っていた。


それからというものの、赤子らしく寝て食って寝てを繰り返していた。


子供というのは本人の意思に関わらず生かされる生物なのだなとなんとなく思っていた。


その後時間は過ぎ、僕は成長し、様々なものを見て生きてきた。


深い新緑の色、青い澄み渡った空、ゆったりと流れる時間。


それらは前の世界、と呼ぶことにするが、前の世界と何ら変わらないようにも思える。


あるとき、僕に弟ができた。


覚えている限り、こちらの世界で4年ほど立ったときだったと思う。


可愛らしい赤子で、よく泣いてよく笑う。


前の世界の記憶がある分、弟というのは奇妙に感じたが、とにかくかわいいと思った。


そして、弟を初めて抱っこしたとき感じた。


この世界に来た当時の記憶がないが、僕もこのように可愛がられていたことだろう。


人間というものは・・・人間はどうしようもなく孤独な生き物だ。それは前の世界で深く感じていたことだ。


だが、同時に自分以外の誰かが、自分を手助けしてくれなければ生きることもままならない。


なんて皮肉な生き物だ。


このように人間を作ったのが神というものなら、とんでもなく捻くれている。


だが、僕はこの弟の兄という役割を果たさなければならないと直感した。


何故そう感じたか、うまく言語化出来ない。


不思議なもので誰かのために生きようと決心すると、生きる気力が湧いてくる。


こんな自分にも、必死に生をつなぎ、誰かの役に立ちたいとそう思えるようになった。


なるほど。人間が愛情を注ぐということは自分のためにすることだったのか。


前の世界の僕はそのことに気が付かず、がむしゃらにあの人を好いていた。


僕の場合、それは愛情でなく、依存だったんだ。


そのことに気づいた時は、こっちの世界で年齢で10歳を越えていた。


一度は失敗してしまった命。この世界では誰かに依存せず、誰かを愛し、尽くせるだけの人間になろうと思った。


この世界で一から始めようと思った。


フェリクス・ゴーティエとして。


中一日ずつ更新する予定です。文字数はかなり少なめなので気軽に読めると思いますのでよろしければお付き合いください。

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