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僕が死ぬと世界が滅びます。  作者: ふぃーりす
二章 それぞれの思惑
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襲来


「グォォォン!」


突然の爆音に飛び起きた。


「何!?何!?」


慌てて周りを見回しても部屋の中はなんの変化もなかった。


夢かと思ってベットに再び体を倒す。


「グォォォン!」


再び大きな音がする。


「夢じゃない!?」


慌ててベットから飛び出し、窓の方へ走る。


そしてカーテンを勢いよく開けた。


目に飛び込んできたのは、火の手が上がる村と空を飛ぶ生物。


その生物は凶悪な顔立ち、大きなトカゲのような体に大きな翼が生えていた。


「あれは・・・もしかして魔物!?」


本で存在は知っていても実物を見るのは初めてだ。


「どうして・・・?」


どうして魔物がこの村にいるのか。


どうして魔物がこの村を襲っているのか。


まるでわからなかった。


「障壁・・・魔術障壁は・・・!?」


本来なら魔術障壁が村の周りに張り巡らされている。


だから魔物は入ってこれないはず。


「ッ!父上!」


慌てて部屋を飛び出して父上の書斎へいく。


もし障壁が破られたなり、障壁が消えていたとしたら、父上がなんらかの対処を行っているはず。


2階の自分の部屋から廊下を走り、階段を降りて父親の工房に行く。


工房は父上の部屋の隣を使っている。


いつも父上はそこで魔術の研究や障壁の管理を行っているのだ。


父上の書斎の前に到着すると、扉を開けた。


「父上ッ!」


次の瞬間、驚きの光景が目に飛び込んできた。


本棚は倒れ、本や毎晩呑んでいた蒸留酒が床に散らばっていた。


そして部屋の真ん中で、頭から血を流しうつ伏せで倒れている。


「父上!」


慌てて駆け寄って、膝をつく。


起こして良いのか、触らないでいたほうが良いの判断がつかない。


とりあえず出血は止めないといけないと思い、あたりに使えそうなものを探す。


「フェリ・・・クス・・・か」


父上が意識を取り戻した。


「父上!大丈夫ですか!?何があったのですか!?」


「・・・逃げろ」


「え!?」


「障壁の・・・魔術が壊されていた・・・。すぐにでも魔物がお前を・・・」


「父上・・・!」


「ジュリエットに・・・ファブリスのことを頼むと言っておいてくれ・・・」


「父上!しっかりしてください!」


父上はそのまま意識を失った。


息はある。まだ死んでいないようだ。


こういう時どうすればいいかわからない。


「ファブリスを・・・ファブリスを逃さなければ!」


弟のことを思い出し立ち上がる。


「父上・・・無事でいてください・・・」


祈るようにつぶやいた後、父上の工房を後にした。


フェリクスの部屋は僕の部屋の隣りにある。


書斎を出た後、階段を登り、廊下を駆け抜けてフェリクスの部屋へ走る。


フェリクスの部屋に到着する直前爆音した。


「なに!?」


音はフェリスクの部屋からした気がする。


慌ててフェリクスの部屋の扉を開いて中を見る。


部屋には魔物が2つの足で立っていた。


トカゲのような体で大きな羽を持つ魔物。


さきほど見た空から村を襲っている魔物だ。


恐怖のあまり立ち尽くしてしまった。


「おに・・ちゃん」


すると小さな声が聞こえる。


声の方を見るとフェリスクが身をかがめてこちらをみている。


「くっ!」


フェリクスの元へ全力で走り、フェリクスの体を抱く。


「おいおい。2匹になったぞ。どっちだ?」


低くし枯れた声が響く。


そして魔物は歩いて近づいてくる。


なんとかフェリクスの元へ駆け寄れたもののその後は体が硬直して動かず、魔物から目を話すこともできない。


もし、目を離せばその瞬間に爪で引き裂かれてしまう恐怖が心の中を支配する。


「まぁ2匹ともつれていけばいいか」


魔物はそう言って大きな手を伸ばす。


ゆっくりと手が近づいてくる。


しかし逃げることはできない。


腰を抜かしてしまうとはこういうことだろうか。


もうだめだ。


もう僕は死ぬ。


次の瞬間にも魔物の腕は僕らを掴み、飛び立ち、誰も助けに来ないところで食われる。


それが第二の人生の結末。


しかしそうなってもフェリクスだけは逃さないと。


そう思った瞬間、激しいオレンジの光が視界を覆った。


大きな炎の鳥の大きな足が、魔物を掴んで壊された屋敷の壁から連れ去る。


「坊っちゃん!」


声の方向を見る。


するとそこにはメイド長が立っていた。


「メ、メイド・・長・・・」


「よく頑張りました。2人とも。もう大丈夫です。ここから逃げましょう」


緊張が解かれた瞬間に涙が零れそうになる。


「メイド長・・・!」


「はい。立てますか?」


「メイド長・・・父上が・・・」


「旦那様も大丈夫です。お怪我はありませんか?ファブリス坊っちゃんも」


慌ててファブリスの方を見る。


ファブリスは目に涙を浮かべて見上げている。


「お兄ちゃん・・・」


それを見た瞬間、こぼれおちそうな涙を必死で押し込めた。


「立てる?ファブリス」


「ごめん・・・なさい・・・」


よく見ると震えている。


おそらく立つどころではないのだろう。


「大丈夫。安心して。背負ってでも逃げるから」


「坊っちゃん。私が」


そう言ってメイド長はフェリクスを背負う。


その時、もう1人駆け込んでくる。


「大丈夫ですか!?」


「ニナ!」


「ニナ。あなたも無事だったようだね」


「はい!坊っちゃんたちに怪我は!?」


「幸い間に合ったよ。良いタイミングできてくれたね。私はファブリス坊っちゃんを背負っていくからニナは先導を頼むよ」


「はい!では皆さんこちらへ」


そう言って一同、ニナの後に続いて廊下を駆け足で移動する。


「ニナ。今までどこにいたの?」


「村が大変なことになったから、屋敷を見回って状況を確認していたの。屋敷にはまだほとんど到達していないようね」


「うん。そうみたいだね。とりあえず屋敷から脱出しよう」


注意しながら廊下を走り1階への階段へ向かう。


次の瞬間、目の端に魔物を捉えた。


窓の外で先程の魔物が飛行し、こちらに突進してくる。


「皆!伏せて!」


爆音とともに魔物が壁を突き破って廊下に侵入してきた。


先頭を走っていたニナと僕は、飛んでくる魔物の突進を前に転んで避ける。


「よくもやってくれたなぁ!人間!」


魔物は大声でそう叫んだ。


ニナと僕は急いで立ち上がり魔物とメイド長の姿を確認した。


どうやらメイド長は魔物が突撃してくる直前に後ろに飛び退いていたようだ。


メイド長やファブリスに怪我はない。


「ニナ!走りなさい!フェリクス坊っちゃんを守るのですよ!」


「ジュリエットさん!」


「私は大丈夫!命に変えてもファブリス坊っちゃんをお守りします!」


ニナは一瞬考えたあと、僕の腕を掴んだ。


「行くわよ!」


僕は返事をする暇もなく、ニナに手を引かれて走り出していた。


魔物はメイド長の方を向いて、鋭い爪を振り下ろそうとしていた。


2人とも無事に逃げてくれ・・・。


心のなかでそう願って、階段に差し掛かった。


僕の心配を察するかのようにニナは口を開く。


「大丈夫よ。ジュリエットさんは普通の魔物になんかにやられやしない」


僕とニナは階段を駆け下りて、エントランスを走り抜け、玄関から外に出た。


そこで村の様子が目に入ってくる。


先程みたときより明らかに火が広がっている。


「村を抜けるのは無理そうね」


そういってニナは村には行かず、屋敷の裏の森に向かった。


ニナたちメイドはたまに屋敷の裏で薬草を探しいている。


僕もたまに森で遊んだり、薬草をいっしょに探したりしていたため多少は森の中に覚えがある。


本来、夜に森に入るのは危険だが、この場合は既知の森のほうが安全と判断したようだ。


ニナに連れられ森に入った。


森の獣道をひた走り、草むらをかき分けて森を進んだ。


しばらく進んだ後ニナは立ち止まる。


「はぁ・・・・はぁ・・・・ここまでくればとりあえずは大丈夫かしら」


「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」


息が切れて返事ができなかった。


その様子を見かねてニナが提案を口にする。


「このへんで隠れて、少し休憩しましょう」


「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・賛成・・・」


やっとのことで賛同の言葉を口にできた。


ニナは近くの大きな木の根っこに隠れそうな場所を見つけた。


そして2人はそこで身を屈め、しばし休憩をとる。


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