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出会った美少女は秘密結社の姫巫女様  作者: 健野屋文乃
2章 地下街の秘密基地

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19/25

9話 ヒロインはエロインです。

女医は穂香を母親か姉のような目で見つめた。


「2人だけで行くの?」


「はい、そちらの方が良いと直感で感じるので」


「姫巫女候補生の直感を、私は尊重するけど、

危ないと思ったらすぐに助けを求めるんだよ」


「うん、ありがと」


「じゃあ穂香ちゃん、これを」


家臣の心得を教えてくれた桃色の制服を着た看護師が、

スマホと、小さな革の手帳を渡した。


茶色のとても地味で小さな手帳だ。


「今月分のIDとパスワードと暗号表」


「うん、ありがと」


あるじが、パラパラと捲ると、ぎっしり文字が見えた。

どんだけあるんだよ。しかし、暗号表って・・・


女医は、由良穂香の頬を愛おしそうに撫でて、

僕をじっと見つめた。


「それじゃ穂香をよろしくね。」


「はい」


「いい家臣、そして、いい男になるんだよ。」


「はい」




クリニックを出ると、あるじは、スマホを操作した後、翳した。


「家臣くん、見て見て、うちの調査部仕様の最新式です」


スマホには、地下街を通りすがりの人の個人名が記されていた。


「めっちゃ個人情報じゃないですか!」


「ホント、みんな筒抜けな酷い世の中だよ」


「あんたらがね」


多分、操作すれば個人名以上の情報が出てくるのだろう。


「これは、うちの調査部が違法に取得した情報じゃなくてですね、

あちこちに流れている情報を、整理して表示しているだけなのです。

それなりの組織の人間なら、知っている可能性のある情報です。

そんな連中が知ってて、私たちが知らないってのは、

情報戦において、不利になるのですよ。」


「う~ん」


まるでゲームの世界だ。

僕は異世界に飛ばされて訳ではなく、

これは現実世界の出来事だ。


「見て見て見て、あの女の人、専務と浮気してるってさ」


綺麗なお姉さん系の美女が、

旅行用の鞄を持って空港の方へ歩いていた。


「これから浮気旅行じゃない?

雰囲気からして・・・ひゃは♪

そしてこれが、あのお姉さんの下着姿」


「あっ!」


あるじのスマホには、下着姿の女の人が写っていた。

目を隠しているが、間違いない!


「もう~家臣くんたら、エロインだから!ダメだぞ!」


「いや・・別に僕は・・。」


「ネットにエロい事晒すと、確実に流出するのです。

情報の管理は、秘密結社の命です。

『秘すれば花なり。』です。はい、リピートアフタミー」


「秘すれば花なり。」


「秘密にするからこそ、そこに力が生じるのです。

だから情報管理は徹底するのです。」


「しかし、調査部って基本変態なんですか?」


「家臣くん失礼です!

うちの調査部は決して変態では、ない・・・」


「あっ、でもこの写真は・・・・」


「えっ・・・・うん、

はい、家臣くんの言う通りです。

うちの調査部は変態の集団です(溜息)

でも人は多かれ少なかれ変態です。

私だって、変態です。

なぜならヒロインはエロインだからです。」


「あるじはヒロインでエロインですか?」


「そうです、私はヒロインでエロインです。

家臣くんなんかより、ずっとエロインです。

でも、これ以上言うと、家臣くんが照れてしまうので、

控えておくのです。さて・・・気分を変えて、

私たちも浮気旅行に行きますか」


「浮気って・・本命もいないのに、浮気旅行は出来ないでしょう」


「雰囲気なのです(笑)

あの女の事は、今日はわ・す・れ・て・・ね」


あの女の事・・先ほどのクリニックでの事が過った・・・


「家臣くん!」


スマホを見ていた由良穂香が、僕の手を強く握って


「パターン黒です」


「えっ?」


「パターン黒、秘密結社員です。

あの人は秘密結社員です、家臣くん、隠れよう」


「敵?味方?」


「微妙・・・」


僕は、フードコーナーがあるパン屋に入った。

パン屋のフードコーナーには、

仕事前のОLさんたちで、込み入っていた。


これから専務と浮気旅行に行くであろう、

綺麗なお姉さんがクロワッサンを、

食べている横の席に、僕らは座った。


綺麗なお姉さんの、ちょっと危険な色気に、

あるじも、ちょっとドキドキな表情だ。



その結社員の男は、黒いジージャンを着こなし、

少しだけ攻撃的な雰囲気を醸し出しながら、

石畳の地下街を、黙々と歩いていた。

年齢は、25前後ってところかな。

濃いサングラスは、少しだけ目立っていた。

秘密結社員として、それはどうなんだろうか?



「でも、なんで隠れるんです?あるじも、秘密結社員でしょう」


「彼が、私を誘拐したグループの、

バックにいる連中かも知れないのです。

可能性は薄いですが・・・用心に越した事はないのです。

それと彼は戦闘要員です。私たちなんか瞬殺です。」


その戦闘要員の男が間近に迫った瞬間、

あるじの肘がコーヒーカップに当たり、

「ガシャン」と落ちる寸前に、

僕がコーヒーカップを受け止めることが出来た時は、

「あれ、僕は何かの能力者?」と勘違いしかねなかった。


しかし、なぜこの瞬間に、コーヒーカップを落とします?


「あるじくん、凄い!」

あるじは小声で囁き、僕は耳元であるじの息吹を感じた。

そして、

「あるじは、あなたです。」

「あは♪」


結社の戦闘要員の男は、僕らに気付くことなく、

早朝の地下街に、姿を消した。


「彼は私たちに気付かず、私たちは気づいた。

これが、情報量の差だよ。

この差が勝敗を分けるのです。」


あるじは僕の耳元で言った。

そして、


「家臣くん、後を付けるのです。」




つづく


秘密結社な小説への御来訪、ありがとうございます。 [壁]‥) チラッ

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