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出会った美少女は秘密結社の姫巫女様  作者: 健野屋文乃
2章 地下街の秘密基地

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20/25

10話 姫巫女属性

「あっ・・・」


パターン黒を、追いかけようとしていたあるじが、

悲しい声をあげた。


「ドアが開かない・・・」


あるじが、パン屋の自動ドアの前に立っているにも関わらず、

自動ドアはピクリともしない。


僕が、自動ドアの前に立つと、当然の様にドアは開いた。


もしかすると、あるじは幻覚、

または霊的な存在なのではないかと、

一瞬、思ってしまった。


今現在、僕は記憶喪失中なわけだし・・

何らかのショックで幻覚を見ているのかも・・・


そう言えば、現実的に考えて、おかしな事ばかりだ。

だって、僕が誘拐犯グループだなんて、

それも憲兵隊本部長の娘を誘拐するなんて、

現実的に考えて、ありえないだろう。


さらに秘密結社だって?

都市伝説でしょう、それ・・


そして、目の前に儚い幸薄美少女・・・

幻覚か夢幻か、もしくはこの世の者ではないか・・・


彼女は、それを思わせるだけの美しい容姿だ。


僕は、そっとあるじの肩に触れてみた。


「ん?何、家臣くん」


「もしかすると、あるじは存在しないのかと思って、確認してみました」


「私は存在するよ~」


地下街のパン屋の前で、あるじは悲しげな声で言った。


「もう」とすねた後、あるじは、悲しげな表情のまま、

パターン黒の後を追って歩き出した。


「すいません」


僕は小声で謝ると、あるじの後を追った。



パターン黒は、階段を昇り地上に向かった。


僕らは、通勤や通学を急ぐ人々を避けながら、走った。



階段を急いで上がると、パターン黒は公園に入って行くのが見えた。

僕らは距離を取りながら、尾行を続けた。


ジョギングコースを揃えた大きな池がある公園では、

早朝のランナーや、バレー部の高校生たちが朝練をしていた。


今の僕には、朝の陽ざしがとても眩しかった。

パターン黒も、このさわやかな朝は、不似合いならしく、

ちょっと目立っていた。


爽やかな朝の空を、鳥たちが囀りながら飛んでいた。


それは、爽やかではあるのだが、僕はピンと来た。

ニュータイプとして覚醒を、始めているのかも知れない。


あるじの腕を引き寄せ、

襲撃してくる鳥の糞からあるじを守った。


あるじは、僕を信頼してくれているのか、

僕の動きに身体を委ねてくれた。


僕なんかを、信頼してくれてるなんて、

ありがたきしあわせだ。


しかし!


僕のニュータイプとしての能力の限界を、

思い知らされる出来事が起こった。

僕が、一難去った事で油断したのだ。


「すいませ~ん」


その声と同時に、白いバレーボールが、

曲線を描きながら、あるじの頭に当たった。


それだけなら、大した悲劇ではなかった。


バレーボールは、あるじの頭をバウンドして、

ちょうど横を通ったОLさんが運転する自転車の、

籠にスポッと収まったのだ。


どれだけの確率でそのような事が起こるだろうか?


「おぉー」


通りすがりの人々が感嘆の声を上げた。


「すいませんでした」


走ってきたバレー部の女子部員が謝った。


注目を集め顔を赤らめたあるじは、

ちょっとだけ会釈をして、逃げるように足を速めた。



僕は、これが姫巫女属性なのだと確信した。

あるじの周辺では、あるじの意思に関わらず、

そして、良い悪いに関わらず奇跡が起こるのだ。


その姫巫女属性が、

武者倶楽部を名乗る秘密結社に取って、

かなり貴重な存在なのだろう。


そんな貴重な存在を、

身元不明な僕と2人きりにする事はないだろう。

どこかで見張っているはずだ。


でも、今は確認する余裕はない。



僕は、僕のあるじを追った。


「すいません、僕の不注意で」


「うん、大丈夫」


あるじは、答えた。




つづく


秘密結社な小説への御来訪

ありがとうございます。 [壁]‥) チラッ

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