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制御4
その一文で、空気が決定的に変わった。
「そういう言い方が問題なんだよ」
「傷つく人もいるって分からない?」
責められている理由が、マキには理解できなかった。
だから、教科書通りの言葉を選ぶ。
「不快にさせたならすみません」
「そういうつもりではなかったです」
すぐに返事が来る。
「それ、謝ってる?」
「結局、自分は悪くないって言ってるだけじゃない?」
マキの指が止まる。
違う、と言いたかった。
でも、どう違うのか説明できなかった。
代わりに、誰かが会話をまとめる。
「整理すると、
みんなの案は失敗するって言ってて、
去年の努力も否定してて、
反省はしてない、って受け取られた」
その言葉に、賛同が重なる。
「そう聞こえた」
「正直、怖い」
マキは何も返せなかった。
画面には既読だけが残る。
「もういいよ」
「この話、マキ抜きで進めよう」
それで終わった。
翌日、教室で誰かが笑っている声がした。
その輪の中に、自分の居場所はなかった。
どの言葉を選べば、間違いじゃなかったのかを。
だが、大きく特に変わったことはなかった。
事が動き出したのはその一週間後だった。




