魔族
「お兄様。ここの魔力、おかしくないですか?」
「ああ、おかしいな」
俺達は魔の森の最深部に入ってすぐに異変に気付いた。
空気中に漂っている魔力の濃度が明らかに濃いのだ。初めて見るがこれが魔力溜まりと言うやつだろうか?
確かにこの魔力の濃さなら魔物化もするだろう。
「どうします?」
「進もう。俺達の魔力量なら魔力酔いになる事もないし魔物が居ても問題にならないだろう」
「分かりました」
「じゃあ、むっ!」
向かおうと言おうとした時、俺の生命感知に反応があった。
勿論、唯の魔物ならここまで驚かないだろう。
だがこの感じは間違えなくあの魔物だろう。
「お兄様?どうかしましたか?」
「いや、ちょっと魔物がこっちに近づいて来ていてな」
「魔物ですか?私に任せて下さい」
「え、いや、あれは俺がやろう」
「あれ?と言う事は向かってくる魔物がどんな魔物か分かっているんですか?」
「ああ、俺が三日前に思わず逃げてしまった魔物だ」
「お兄様が逃げる程の魔物ですか!?一体どんな魔」
カサカサ、カサカサカサっ
ティアがどんな魔物か聞こうとした時その魔物は音を立てながら来た。
そしてそれを見たティアは
「きゃああああああああ!!!」
悲鳴を上げてお兄様抱き着いて来た。
まあ、仕方ないだろう。俺も三日前に見た瞬間思わず逃げ出した魔物だ。
それに女の子なら尚更嫌いだ。
俺も流石にあの魔物は斬りたくないので氷魔物で氷漬けにする。
そして出来上がったオブジェは見たくなかったので剣からオーラを放って斬撃を飛ばし砕く。
「ティア?もう倒したからだけだぞ」
「本当ですか?」
「ああ、本当だ」
「····」
「ティア?」
···ティアが一項に離れないのだが。
「ティア?大丈夫か?」
「大丈夫です。ですが、もう少しこのままでお願いします!」
「ん?それは良いけど、顔が赤いけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
それから暫くティアは離れてくれた。何故か顔窯とろけていた様な気がするが気にしないでおこう。
それから俺達は奥に進んで行って何回か魔物とも戦闘をしたが何かおかしい。
「奥に行くに連れて魔力の濃度が濃くなってる?」
「はい、間違いないと思います」
魔力溜まりってこんなに広範囲にあるものだろうか?
取り敢えず進んでいるがこれは明らかに異常な事だろう。
奥に進んで行くと恐らくここが一番魔力が濃いという所に着いたと思う。それと同時に今までに感じた事のない気配を感じる。
恐らく、魔物ではない、この感じは人だと思うが今までに見た獣人や竜族、エルフとも違う。
となると答えはすぐに分かる。
なのですぐにティアに伝える。
「···ティア、多分魔族がいる」
「!?、魔族ですか?」
「多分だけどな。俺の感知に魔物や人種、獣人や竜族、エルフ以外の何かが居るのが分かった。多分魔族だと思う。それに魔族なら今回の突然出来た魔力溜まりの事も話が通る」
魔族とは高い身体能力と魔力を持ち戦闘に優れている種族らしく他の種族とは対峙関係にあるらしい。
「どうしますか?」
「取り敢えず、接触してみよう。感知した感じだとSランク行くか行かないかくらいの強さだから俺達なら大丈夫だと思う。もしもの時は転移で逃げる様にすれば問題ないだろう」
それにその魔族を何とかしないとこの魔力溜まりが収まらないかもしれないのだ。
例え魔力溜まりとは関係なかったとしても何か分かるかもしれない。
そうと決まれば早速魔族と思われる気配がする方へ向かった。
気配のする方向に向かうとその存在は直ぐに見つかった。
その存在は黒い肌に頭には角が生えている。
本で読んだ情報が合っていれば間違いなく魔族だ。
因みに俺は超隠密でティアは闇魔法で気配を隠しているのでまだ気づかれていない。
魔族の様子を見るてみるが何かの魔法陣を書いている様だか何をしているのか理解出来ないので仕方なく接触する事にした。
「おい、あんたはここで何をしてるんだ?」
「!?」
魔族に向かって俺は単刀直入に目的を聞くと魔族はいきなり気配もなく声を掛けられた事に驚き飛び下がった。
「人間の餓鬼か!どうやって俺に気付かれる事なく近づいた?」
「普通に歩いて近寄りましたよ。それでこの魔力溜まりの原因はアンタか?」
「···まぁ良い、どうせ後で殺すから教えてやる。そうだ。俺はここに魔力溜まりを作って人間の戦力を減らす為にな」
本では最近、魔族とは争いが起こっていないと書いてあったが違った様だ。
「それは魔族の王である魔王の命令か?」
「いや、これは魔族の四天王の一人、ゼルドリス様の独断での命令だ」
なるほど、どうやら魔王の命令ではないらしいので安心した。もし、魔王の命令だったならばそれは宣戦布告と同じ意味を持つからだ。
それにしても四天王か。いきなりテンプレっぽくなったな。
「じゃあ、一応聞いておくけどこの魔力溜まりを辞めてくれない?」
「辞める訳なかろう。さあ、話は終わりだ。
死ね!」
そう言って魔族は黒い炎の玉の魔法を打ってきた。まずはティアからを狙う様だ。恐らく火魔法と闇魔法の複合魔法だ。
流石、魔族という所か。魔法の発動速度は早く威力も高そうだし、難易度の高い複合魔法だ。恐らくこの魔族は魔法に特化しているのだろう。
「『アイスバレット』」
「なっ!?」
しかし、その魔法はティアが出した無数の氷の玉に打ち消され、魔族は驚愕する。
それもそうだろう。魔族は魔法が得意な種族だし複合魔法で攻撃したのだ。それを何事もなく唯の氷魔物で打ち消したのだから驚くのも無理はない。
これはティアのユニークスキルがあるからこそ出来る事だろう。普通ならそのまま黒い炎に呑まれて終わりだ。
それから暫く魔族は魔法を打ってくるがことごとくティアに打ち消される。
魔族はティアには勝てないと思ったのか攻撃の対象を俺に変更して魔法を打ってきた。
攻撃の対象を変更するのは良いがその間にティアに攻撃されるとか考えないのだろうか?
そんな事が頭には浮かんだが取り敢えず俺は打ってきた来た魔法を斬る。
「馬鹿な!」
魔族は俺に魔法が通じなかった事に驚きの声を上げた。
それからも幾つか魔法を放って来ていたが全て斬り裂いていると勝てないと踏んで戦闘を諦めたのか魔族が逃げだした。
魔族の実力がどのくらいの物か知りたかったが逃がす訳には行かないので縮地で近寄り魔族の首を落とすし戦闘は終了だ。
思ったよりも呆気なく終わってしまった。
「思ったより弱かったな」
「そうですね」
ティアも複合魔法を使ってなかったし余裕だったのか同意して来た。
その後、俺達は魔法陣を破壊した。
すると先程までの魔力溜まりが嘘のように消えた。因みに魔法陣の形は覚えているので問題ない。
最適化スキルで頭の中まで最適化されて居るらしく一度見た物や聞いた物は直ぐに覚えられるのだ。最適化スキル様々だ。
それから俺達は報告の為に王都に戻った。




