新しい使用人
「アルク、その女の子は誰だ?」
「父上、実は·····」
屋敷に着いた俺は丁度家にいたアルベルトに事情を説明した。
「なる程な。分かった。アルク、エルミナを暫く家に泊めて上げさない」
すると、アルベルトから暫くエルミナを家に泊めて良いという許可も降りた。
「分かりました。ありがとうございます。父親」
「それくらいは、良い。それとずっと逃げて来たなら腹が減っているだろう。料理長に言って飯でも作ってもらえ」
「はい」
「最後にアルク、その子を連れて来たのはお前だ。助けたからには責任をもって何とかするんだぞ」
恐らく、助けた以上自立出来るまでしっかりと責任をもって面倒を見ろと言いたいのだろう。
「分かりました」
「それとエルミナだったか?」
「は、はい!」
「君は今まで辛い思いをした。しっかりと生きていける様になるまではこの家にいて良い。何か困った事があったらアルクに言うと良い」
「はい、ありがとうございます」
話が終わったので俺は一度エルミナに部屋を案内する事にした。
「ここがエルミナの部屋だ」
「こ、こんなに広い部屋を使っても良いのですか?」
「構わないよ。ここは空き部屋で誰も使ってないし。空き部屋でも掃除はしっかりと行き届いているから大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
「良いよ、そんな事を気にしなくて。それじゃあ少しこの部屋で休んでいてくれ。俺は料理を準備してくるから」
「はい、何から何までありがとうございます」
エルミナと分かれた俺は料理長に言って調理場を貸してもらう。勿論、作るのは俺だ。流石にに俺の我儘で料理長に迷惑を掛ける訳には行かない。
それとエルミナは酷く弱っていた為、余り重い料理は胃が受け付けないと思うので軽めの料理にしなければならない。お米があればお粥が作れたのだが残念ながらないのであるもので作らないといけない。
そう考え俺は料理を作り始めた。
料理を作り終えた俺は料理をもってエルミナの部屋に向かう。
しかし、ノックをして声を掛けても返事がないので少し心配になり中に入る。すると、部屋に着いているベットで小さな寝息を立てて眠るエルミナの姿があった。
ファンタジーの定番であるエルフだけ合ってエルミナの顔は整っているのでとても可愛いくずっと見ていたくなる。
しかし、起こさないとせっかくの料理が冷めてしまうので仕方なくエルミナを起こす事にした。
「エルミナ、ご飯が出来たから起きてくれ」
「···んん、ん?ふぇ!?あ、その、す、すいません。勝手に寝てしまって」
「ああ、その事なら気にしなくていいよ。休んでてくれと言ったのは俺だし疲れも溜まって居たんだろ。それとご飯が出来たから食べてみてくれ。ちゃんとエルミナが食べられる様に軽めの物にして来たから」
そう言って俺はエルミナに料理を差し出す。
「ありがとうございます。···いただきます」
そう言ってエルミナは料理を口に入れる。
そしてエルミナは泣き出した。
えっ!?どうして泣くの?え、まじでどうして?もしかして不味かった?ちゃんと味見もしたけど結構美味かったと思ったけど。
「えっと、もしかして不味かった?」
「いえ、こんなに美味しい物を食べたのは久しぶりなのでつい」
俺の料理で泣くほどなんて余程苦しい思いをしていたのだろう。
「そうか、良かった。もしかしたら不味いかと思ってびっくりしたよ」
「い、いえ、こんなに美味しい料理を食べたのは初めてです」
「そう言われると何か、照れるな」
「えっ、この料理ってもしかして」
「俺が作ったよ」
「あっ、えと、とても美味しいです!」
「そうか、ありがとう」
それからエルミナが料理を食べ終えた後、俺はエルミナに屋敷のトイレやお風呂の場所を教えてから別れた。
______
エルミナを助けてから一週間が経った。
俺は朝の訓練を終えた後にエルミナの様子を見にエルミナの部屋に向かったのだが向かう途中の廊下でエルミナに出会った。
「あ、おはよう、エルミナ」
「おはようございます、アルクさん」
「う〜ん、やっぱりさんは付けなくても良いよ」
「いえ、色々お世話になっているので呼び捨てなど出来ません」
「そ、そうか」
「はい、それと大事な話があるので来て下さい」
「ん?分かった」
そう言って俺達は屋敷のリビングに向かった。
「それで大事な話って何だ?」
「はい、私のこれからの事です」
···やっぱりか。何か悩んでいるみたいだったからそんな事だろうと思っていたのだ。
「そんなに急がなくても、別にもっとここに居ても良いんだよ。家事も手伝ってもらってるし」
そう、この一週間、エルミナはただで泊めていただく訳には行かないといって家事を手伝ってくれていたのだ。
「いえ、そう言う訳には行きません。それで私はこれから冒険者になる事しか頭に浮かびませんでした」
冒険者か···。相当危険な職業だ。
「俺も冒険者だから言うけど冒険者は危ないよ。それにエルミナは今は身内はいないからもし怪我でもしたらやっていけないだろ」
「ですが、それしか思い浮かばなかったですし···」
そうは言っても冒険者は命に関わる危険な職業だ。今のエルミナでは年齢的にみても予想外の事があれば恐らく対応出来ないだろう。
う〜ん、どうしたら良いだろうか?
「家の使用人としてやって行けばいいんじゃないか?」
「え?」
すると丁度リビングに入って来たアルベルトがそんな事を言って来た。
「家の使用人としてなら住み込みで働く事も出来る。幸いこの一週間の家事の仕事を見た限りだとエルミナは家事も結構出来ていたから問題ない」
なる程、確かに使用人としてなら住み込みでも大丈夫だし、エルミナも安全だろう。
「そうだな、それならエルミナも安全だし」
「しかし·····」
「それにアルクも一年後には学園だ。学園では貴族や金持ちの商人は付き人を付ける事も出来るんだ。流石に周りの貴族は付けていて家だけ付き人を付けてないとなるとグランハルト家が下に見られるからな。エルミナならアルクと同い年だし、付き人にぴったりだ」
へぇ〜、学園では付き人を付ける事が出来るのか。
「どうする、エルミナ?」
「···私でも良いのならここで私を雇って下さい」
「分かった、では今日からエルミナを使用人として雇おう」
「これからもよろしくな」
「はい、よろしくお願いします」
こうしてエルミナが新しく使用人になった。




