奴隷
門を出た俺は1時間(普通の人なら数時間)掛けて国境近くの森に着いた。
国境近くの森は大きく、この森のお陰で他国から攻められないと言う理由で他国からの侵攻が今までなかったそうだ。
早速俺は依頼を達成する為に森に入った。
森は剣が振れない程ではないが木々の感覚が狭く木の葉のせいで余り日の光が入って来てなく少し薄暗い。俺は最悪感知能力で感知した情報だけでも戦えるが普通の兵では生活魔法か光魔法で光源を作らなくては行けないので魔力消費が大きくこの森では戦い辛いだろう。これなら他国が攻めて来なかったのも頷ける。
生命感知のスキルでは感知出来る範囲だけでもかなりの数の魔物がいるのでそちらに向かう。
数分歩いた所で魔物が見えて来た。
ウルフの群れが数体のゴブリンを囲んでいてどうやら魔物同士で戦闘をしている様だ。数的に少しすればゴブリンはやられるだろうが俺には関係ないので俺はそこに突っ込んで行き近くにいる魔物から倒していく。
戦闘はすぐに終わった。まぁ、SSランクの実力がある俺相手ではすぐに終わるのも当たり前だが。この程度の魔物では威圧のスキルを使うだけで死んでしまうのではないかと思ってしまうくらいの力の差がある。
それと戦闘の途中で目が暗さになれてきた頃に暗視というスキルを手に入れてからは薄暗い森の中もはっきり見える様になった。
それから俺は感知出来る魔物を次々に倒していった。具体的な魔物の種類はウルフ、ゴブリン、コボルト、オーク、オーガ、他には各種の動物の魔物版の様な魔物だ。まぁ、この程度の魔物ではオークや魔力での強化も使う事なく倒している。
魔物を倒して大分森の魔物の数が減って来た頃、俺の生命感知に弱々しい反応があった。それにこの反応は恐らく魔物ではなく人だ。それに近くに魔物の反応があるのでこのままでは殺されてしまうだろう。
それが理解した俺は魔物を間引くことを中断してすぐにその反応があった方向にオーラと魔力を纏い殆ど目に見えない速さで走り出す。こんなにスピードを出すのは訓練の時以外ではスタンピード以来かもしらない。
暫く走り反応があった場所に着くと丁度ウルフが俺と同じ年くらいの女の子に噛み付きに襲いかかる処だった。それを俺はウルフが女の子に噛み付く前に一瞬で近づき剣を振るいウルフの首を落とす。なんとか間に合う事ができた。もし、俺の到着が数秒でも遅かったら女の子は死んでいたかもしれない。
「危ない所だったね。大丈夫か?」
取り敢えず、女の子の安否を確認する。
「···はい、助けいただきありがとうございます···」
取り敢えず助ける事が出来たのでそう言うと女の子は少しこちらを見て震えながらそう言った。
そして女の子を見ると耳が長い。エルフだ。
しかしその女の子の首にはある物が付いていた。それは首輪だっだ。恐らく一人でいると言うことは逃げて来たか途中で魔物か何か襲われ主人が死んでここまで来たのだろう。
取り敢えず外見的には怪我などをしてない様なので女の子のステータスを鑑定する。
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名前 エルミナ
種族 エルフ
年齢 9歳
性別 女
状態 奴隷
魔力量 8900
属性適正
水、風、光、重力
ーーースキルーーー
[レアスキル]
·魔素感知 レベル2
·魔素操作 レベル1
·精霊魔法 レベル4
·精霊視 レベル8
[通常スキル]
アルカナ言語 レベル4
·魔力感知 レベル7
·魔力操作 レベル6
·水魔法 レベル4
·風魔法 レベル4
·光魔法 レベル3
·重力魔法 レベル1
·悪意感知 レベル3
·気配察知 レベル2
·暗視 レベル4
·料理 レベル3
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俺やティアのステータスで低く見えるがなかなかに強いステータスだ。光魔法も使えるので怪我があってもこれなら治す事が出来るだろう。
それと新しく状態という項目が増え、奴隷と書かれている。
この項目は毒や麻痺といった状態異常を起こしている時も出るようだ。
「顔が赤いが本当に大丈夫か?何処か痛い所はない?」
俺は女の子がさっきから顔を赤くして黙っているのままなので心配してそう声を掛ける。
「えっ?」
すると、女の子が驚きの声を上げる。
「どうした?」
「えっと、どうしてそんな事を聴くんですか?」
俺は何か可笑しな事でも言っただろうか?
「いや、普通に人が魔物に襲われていて様子が可笑しかったら心配するだろ?」
「いえ、普通、奴隷にそんな事は聴いたりしません」
そこで俺は分かった。奴隷の扱いがどれだけ悪いかを。
それと同時に他国での奴隷の扱いの悪さに怒りが湧いてくる。
しかし、今は関係ないので女の子に声を掛ける。
「それなら問題ないな。ここ、エルメスト王国には奴隷制度がないから別に可笑しな事じゃないよ。それで何処か痛い所はない?」
「えっ、あっ、はい大丈夫でしゅ」
最後の方を噛んでいたが何処も怪我はないようなので俺は自己紹介をする。
「そうかなら良かった。俺はアルク。よろしく」
「はい、よろしくお願いします。私はエルミナです」
「エルミナか。それでエルミナはどうしてこの森に?」
「それは···」
「ああ、別に他国に付き出すとかそんな事はしないから怖がらなくてもいいよ」
「えっ!えっと、付き出さないんですか?」
「うん。俺は奴隷制度に否定的だからね。それで無理にとは言わないけど事情を聞いてもいい?」
「···はい、大丈夫です。私は·······。」
するとぽつぽつとエルミナが自分にあった事を話始めた。
話を聞いた限りだと、ある日、エルミナが居たエルフ隠れ里が襲われ奴隷狩りにあい、男は殺され女子供は捕まって奴隷にされたらしい。それで運ばれている時にエルミナは隙をみて逃げ出してここまで来たらしい。因みにエルミナが住んで居た隠れ里は帝国の領地にあったらしい。やはり最近帝国の様子がおかしい様だ。
もしかしたらこれがいつも通りかもしれなたが···。
「なるほど。奴隷狩りか、あまり気分が良いものじゃないね。取り敢えずその首輪を外そう」
「いえ、この奴隷の首輪は奴隷の所有者しか外す事が出来ないので外す事は無理です」
「大丈夫。方法はあるよ」
実葉俺は最適化のスキルでこの首輪を解析していたのだ。
解析の結果、奴隷の首輪は命令に逆らったり無理矢理外そうとすると体中に激痛が走り、壊そうとすると爆発する魔法が付与されているらしい。
最適化のスキルによると俺の万象を斬り裂く者のスキルでこの付与された魔法ごと断ち切る事が出来るらしい。
俺はその事をエルミナに話す。
「どうする?やってみる?」
これは失敗したら命が関わるのでエルミナに聞く。
「はい、やって下さい」
するとエルミナは覚悟を決めた顔をしてそう言った。
「分かった。じゃあ、斬るから動かないでね」
エルミナの覚悟は分かったので俺は首輪を斬る事に集中し剣を抜く。
「はっ!」
そして剣を振るい俺はエルミナの首を一切傷付けずに首輪を斬る事に成功した。
「····」
「····」
首輪を破壊したが何も起きない。どうやら成功した様だ。
「ふぅ、どうやら成功みたいだね」
「はい···」
エルミナは返事をすると座り込み泣き出してしまった。きっと、今まで我慢していた事が解放された事で気が緩み溢れて来たのだろう。そう思った俺はエルミナを優しく抱き締める。
その日、俺はエルミナが泣き止んだあと魔物を間引く事を中断してエルミナを連れて屋敷に転移して帰ったたのだった。




