魔剣と指名依頼開始
あれから三日経ち、指名依頼で王城の騎士団の元に行く日になった俺は早めに王都に行き先に新しい剣を取りにガゼルの元に向かった。
「ガゼルさん、新しい剣は出来てますか?」
ガゼルの武器屋に着いた俺は店は開いていたので先に中に入りガゼルさんを呼んですぐに聞く。
「ああ、出来てるよ。流石に三日で作るとなると俺でも大変で昨日は徹夜だったからあんまり大声を出さないでくれ」
「あっ、すいません」
どうやら俺の為に徹夜までしてくれたらしい。
ちょっと申し訳ない気分になったので謝る。
「気にするな。鍛冶をやってれば時間なんて忘れて徹夜する事は良くある事だ。ほれ、これがお前さんの剣だ」
そう言ってガゼルは剣を渡して来た。
その剣の色は黒くて俺の身長に合わせて前よりも少し長くなっている。感覚を確かめる為に何度か振って見るが持ち手の部分も重心の位置もぴったりだ。だが良く見ると何故か魔力を帯びている気がする。
「おっ、気づいたか?」
「はい、少し魔力を帯びている気がします」
「ああ、そいつにある効果を付与したからそのせいだ」
「ある効果?」
「そうだ。効果は斬撃強化と自動修復と言う効果だ」
「斬撃強化と自動修復ですか。自動修復は助かります。ありがとうございます」
「まぁ、確かにお前さんレベルの剣士になると氏で修復する効果は有り難いからな。だが修復には限度があるから壊れる事もある。もしもの時に予備を持っていた方がいいぞ」
「いえ、予備というか本気の時の武器ならありますから大丈夫です」
「何、そいつをメインで使うんじゃないのか?」
ガゼルがそう怪訝そうに言って来る。自分が作った武器がサブとして使われるのが嫌なのだろう。
「はい、普段はこの剣で戦いますがどうしてもその剣を使わないと勝てない場合はその剣を使います。恐らくこの前戦ったグランドドラゴンもその中に入ると思います」
「そうか、少しその剣を見せて貰っても良いか?」
「いいですけど、一度見た事があると思いますよ?」
「何?」
「これだです」
そう言って俺は適応する剣を出す。
「ん?これは、あの時に一緒に売ったやつか?しかしこの剣でグランドドラゴン程の魔物を倒せるとは思えんのだが···」
「今はそうですね」
「はい、その剣の名前は適応する剣。効果は使用者が強ければ強い程それに適応して切れ味や効果が上がる事です」
「なっ、武器の性質が上がる剣だと!それは魔剣か」
「魔剣?」
「アルクは見た事がないのか?魔剣とは名前だけ聞くとちょっと悪いイメージがあるが魔法の剣と言う名前の略だ。で、その魔剣ってのは稀に迷宮で発見される特殊な効果を持った剣の事だ」
「なるほど」
そんなに凄い剣だったのか。
俺、そんな剣をタダで貰ってしまったのだが。
「そう心配するな。返せなんて言わねえよ。元々その効果を見抜けなかった俺が悪いんだ。だがそんな剣をどうしてメインでつかわないんだ?」
「ああ、それは剣の能力ばかりに頼っていたら腕が堕ちると思ったから本気の時しか使わないんです。本気の時しか使わないといっても偶に慣れる為に使ったりはしてますけどね」
「なるほどな。確かにアルク程の剣士ならそう考えるのかもしれないな」
「はい。あっ、そろそろ依頼の時間なので、ここら出ます。新しい剣、ありがとうございました」
「おう、また来いよ」
早めに来たつもりだがどうやら思ったよりも話し込んでいたらしく時間が経っていたので俺はそう言って剣のお金を払いガゼルの武器屋を出て依頼の場所の王城に向かう。
「よう、アルク。今日は依頼か?」
「あっ、グリドさん。はい、今日も依頼です」
町を歩いていると串肉の屋台をやっているグリドさんが声を掛けてきた。
王都ではいつも冒険者として活動したり料理の食材を買いによく来ておるので町を歩いていると結構声が掛けられる様になったのだ。
「へえー、いつも依頼とは偉いな。ほれ、一本サービスしてやるから持って行け」
「ありがとうございます」
それからも色々な人に声を掛けられながらやっと王城の門の所に着いた。
流石に無断で王城に入る訳には行かないので門のの所にいる兵の人に声を掛ける。
「すいません」
「ん?どうした坊主」
「はい、冒険者の依頼で来ました」
「ん?確かに冒険者が来るとは聞いて来たが本当に坊主なのか?ちょっとギルドカードを見せて貰っても良いか?」
「はい、どうぞ。出すのが遅れてすいません」
「気にするな。え〜と、名前はアルクでランクは···ん?SSランク!?えっ、もしかして剣神のアルクですか!?」
「あ、はい。そう言う二つ名が付いています」
「お止めしてすいません。SSランクとは知らず、中に入ってどうぞ」
「ありがとうございます。それと私は周りから見るとただの子供なのであの態様も間違いじゃないので木にしないでください」
「そうですか。ありがとうございます」
「あっ、私の様な年下に敬語は入りませんよ。それと騎士の訓練所の場所を教えて欲しいのですが」
「いえ、依頼をしている冒険者が来たら知らせる様に騎士団長から言われているのですぐに呼んで来ます」
そう言うと門の反対側にいる兵士に話しをしてからその兵士は中に入って行った。
暫くするとさっき王城に入って行った兵士が人を連れて帰ってきた。
「連れて来ました」
「お前が剣神のアルクか?」
そう言って兵士と一緒に来た人が重苦しく言ってくる。
この人は謁見の時にもいた人だ。
この人が騎士団長だったらしい。
雰囲気や立ち住まいから強者だと分かる。
また、それと同時に威圧を放って来るが俺はこの程度では何の問題でもないので挨拶をする。
「はい、私はSSランク冒険者のアルクと言います。本日は宜しくお願いします」
「ハッハッハッハ、流石SSランクの冒険者だ。俺の威圧を受けてもぴくりともしない。いやー、悪かったないきなり威圧を掛けたりして少しお前の実力を測りたかったんだ謁見の時にも会ったが俺はジーク・ロンドだ。宜しく頼む」
すると先程とは違い軽い感じで声を掛けてきた。
俺を試す為にわざと重苦しくしていた様だ。
「こちらこそ改めて宜しくお願いします」
「ああ、騎士の訓練所はこっちだ。着いてきてくれ」
こうして指名依頼が始まったのだった。




