未来を待っていた少女ー四人目の創造者
未来を待っていた少女、ユナ。
彼女が待っていたのは、カイト、ハナ、レンだった。
四人がそろったことで、「まだ存在していない未来」が
少しずつ形を持ちはじめる。
四人の前に現れた、「願い」と書かれた扉。
その向こうには、
この世界を最初に創った人物がいるという。
いったい誰なのか。
少女に手を引かれて、僕たちは、街の中心へ向かっていた。
「ねえ」
ハナが少女に声をかける。
「あなたの名前は?」
「ユナ」
「ユナちゃんは、ずっとここにいるの?」
「うん」
「どれくらい?」
ユナは少し考えた。
「分からない」
「分からない?」
「だって、この街には、昨日も明日もないから」
僕は、足を止めた。
「……どういうこと?」
ユナは、振り返って笑った。
「ここは、まだ未来だから」
「レン、知ってるの?」
「僕の世界では、こんな場所は存在してなかった」
「じゃあ、ここは、未来のさらに先?」
「違う」
レンは、首を振った。
「未来の先じゃない」
「じゃあ何?」
「未来になる前」
僕たちは、黙った。
ユナは、何も言わず、街の中央にある大きな建物へ向かう。
そこには、時計があった。
でも、
針がない。
「この時計、壊れてるの?」
ハナが聞く。
「壊れてないよ」
ユナが答える。
「時間を決めてないだけ」
「時間……決めてない?」
「うん」
ユナは、時計を見上げる。
「この街では、自分が時間を決めるの」
「そんなことできるの?」
「できるよ」
ユナが笑った。
「急ぎたい人は、急ぐ。
ゆっくりしたい人は、ゆっくりする。」
誰かに「早くしなさい」って言われないの。
ハナが目を輝かせた。
「……いいな、それ」
僕も笑った。
「うん」
レンだけは、少し複雑そうだった。
「どうしたの?」
僕が聞く。
「僕の世界では、時間は、管理されていたから」
「管理?」
「何時に起きる。
何時に学校へ行く。
何時まで働く。
全部、決まっていた」
ユナがレンを見る。
「だから、ここに来たかったんだね」
「……え?」
レンが驚く。
「僕は、ここに来たかったなんてーー」
「でも来た」
ユナは、笑った。
「それが答えじゃない?」
レンは、何も言えなかった。
そのとき。
建物の奥から音がした。
ーーピン。
中央の巨大な画面が起動する。
そこには、
一本の線が映し出された。
線の先に、三つの名前。
「カイト」
「ハナ」
「レン」
そして、その横にーー
「ユナ」
「……ユナの名前もある」
僕が言った。
「うん」
ユナは、普通のことのように答えた。
「私も、最初からここにいたから」
「最初から?」
「この未来が生まれる前から」
「……え?」
ユナは、画面を見上げた。
「私、この世界ができるのを待ってたの」
「誰を?」
ユナは、僕たちを見た。
「あなたたちを」
ハナが一歩前に出る。
「どうして?」
ユナは、少しだけ寂しそうに笑った。
「だって、この未来を作るにはーー」
そこで言葉を止める。
画面に新しい文字が表示された。
ーー「創造者候補:4名」
ーー「条件:全員の意思が一致すること」
僕は、画面を見つめた。
「全員の意思……?」
レンがつぶやく。
ユナが頷いた。
「そう」
「じゃあ、四人で同じものを選ばないと、
この未来は完成しない?」
「うん」
ハナが聞いた。
「何を選ぶの?」
ユナは、答えなかった。
代わりに、建物の奥にある扉を指差した。
「その先にあるよ」
扉には、たった一つだけ文字が書かれていた。
ーー「願い」
僕は、扉を見る。
ハナも。
レンも。
ユナも
四人は、ゆっくり扉の前に立った。
ユナが言う。
「この扉を開けたら、もう戻れないよ」
僕は、ハナを見る。
ハナは僕を見る。
そして、レンを見る。
レンは、少し笑った。
「もう、ここまで来たんだ」
僕は、扉に手をかけた。
その瞬間ーー
世界中の空に、また文字が浮かんだ。
ーー「創造者候補、4名を確認」
ーー「最終選択を開始します」
扉の向こうから、
誰かの声が聞こえた。
「やっと来たね」
その声を聞いた瞬間。
ユナの顔から、笑顔が消えた。
「……この声」
彼女は、震える声で言った。
「知ってる」
「誰?」
ユナは、扉を見つめた。
「この世界をーー」
一度、息を吸う。
「最初に創った人」
今回、ユナという少女が仲間に加わりました。
この未来を完成させるためには、
四人の意思が必要だということが分かりました。
でも、
まだ、謎はたくさんあります。
なぜ、ユナは、カイトたちをずっと待っていたのか。
なぜ、四人が、「創造者候補」なのか。
そしてーー
「願い」の扉の向こうにいる、
この世界を最初に創った人物とは誰なのか。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。




