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新世界ラブコメディ  作者: suu369


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7/41

まだ存在しない未来ー新しい世界線

自分たちで選んだ未来。


そこに待っていたのは、まだ誰も生きたことのない世界だった。


学校もない。

会社もない。


誰もが、「今やりたいこと」を自由に選んでいる。


でもーー


この未来は、まだ存在していない。


カイト、ハナ、レン。


三人が選んだことで生まれた、新しい可能性。


その先に待っているものとは?

空に浮かんでいた文字が、ゆっくり消えていった。


ーー「新しい選択を検知」


その直後。


世界が静かになった。


波の音も。

風の音も。

鳥の声さえも。


「……止まった?」


ハナが周囲を見渡す。

僕も何も言えなかった。


海が動いていない。


空を飛んでいた鳥も、空中で止まっている。


まるで、


世界全体が、一枚の絵になったみたいだった。


「これ……僕たちが選んだから?」


レンが小さくつぶやいた。


「分からない」


僕が答える。


「でも、何かが変わった」


そのとき。


僕たちの前に、一枚の扉が現れた。


白い扉。


昨日の観測室にもなかった。


「また扉……」


ハナが苦笑する。


「この世界、扉が好きなのかな」

「そういう問題?」


僕が笑う。


少しだけ緊張がほぐれた。

レンが扉に近づく。


「これ、僕の世界にもなかった」

「じゃあ、入ってみる?」

「……怖くないの?」

「怖いよ」

「じゃあ、なんで?」


僕は、少し考えた。


「分からないから」

「え?」

「分からないなら、見てみたい」


ハナが頷いた。


「私も」


レンは、二人を見て、ため息をついた。


「……分かった。僕も行く」


三人で扉を開けた。


その向こうにあったのはーー

街だった。


「……街?」


そこには、人がいた。


子どもも。

大人も。

たくさんの人が歩いている。


でも、


僕たちの知っている街とは少し違った。


店がない。

学校もない。

会社もない。


なのに、


人々は、楽しそうに暮らしている。


誰かが木を植えている。

誰かが音楽を作っている。

誰かが料理している。

誰かが空に絵を描いている。


「……これ」


ハナが目を輝かせる。


「すごい」


レンは黙っていた。


「レン?」

「……僕の世界には、なかった」

「何が?」

「こんな場所」


レンは、街を見つめる。


「僕の世界では、みんな未来のために生きていた」

「未来のため?」

「うん」


学校に行って。

仕事をして。

お金を稼いで。

老後のために貯める。


「みんな「いつか」のために生きていた」


レンの声が少し寂しくなる。


「でも、ここでは……」


僕は、街を見る。


「今を生きている」

「そう」


ハナが笑った。


「これが、私たちが選んだ未来なのかな?」


その瞬間。


街の中央に巨大な画面が現れた。


ーー「未来候補:Aー01」

ーー「自由都市」

ーー「幸福度:測定不能」

ーー「管理率:0%」


レンが驚く。


「管理率……ゼロ?」


僕は、画面を見つめた。


すると、


新しい文字が表示された。


ーー「この未来は、まだ存在していません」

「え?」


ハナが首をかしげる。


「じゃあ、ここは……」


僕が答えた。


「未来じゃない」


レンが続ける。


「可能性……なんだ」


その瞬間。


街の向こうから、小さな女の子が走ってきた。


「ねえ!」


僕たちの前で止まる。


「あなたたちが、この未来を作ったの?」

「僕たちが?」

「うん!」


女の子は、笑った。


「ずっと待ってたんだよ」

「誰を?」


女の子は、僕とハナを見る。


そしてーー


「世界を変える人たちを」


背中に冷たいものが走った。


「どうして僕たちを知ってるの?」


女の子は、答えなかった。


ただ、


僕の手を取った。


「こっち」

「どこへ?」

「未来の中心」


僕たちは、顔を見合わせる。


そして、


歩き出した。


そのとき。


遠くの空に、一瞬だけ黒い影が浮かんだ。


ーー「観測不能」

ーー「未来分岐を確認」

ーー「新たな世界線が発生しました」


誰にも聞こえない声が、空の向こうで響いた。


そしてーー


僕たちが選んだ「未来」は、

まだ始まったばかりだった。

三人が選んだのは、用意されていた未来ではありませんでした。


「自分たちで決める」


その選択によって生まれたのは、まだ存在していない未来。


そこでは、


人々が「いつか」のためではなく、

「今」を生きています。


でもーー


なぜ、あの少女は、カイトたちを待っていたのでしょうか。


そして、


どうしてカイトとハナは「世界を変える人たち」

と呼ばれているのでしょう。


最後に現れた、


「観測不能」

「未来分岐を確認」

「新たな世界線が発生しました」


という表示も、

これからの物語に大きく関わってきます。


三人が選んだ未来は、

本当に「自由な世界」なのでしょうか。


それとも、

まだ見えていない誰かの意図があるのでしょうか。


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

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