自分たちで決めるー未来を創るということ
未来は、誰かに決めてもらうものなのか。
それとも、
自分たちで選ぶものなのか。
空から現れた少年・レンによって、
カイトとハナは、今まで知らなかった「未来」を知ることになる。
三人の前に現れた、いくつかの選択肢。
本当に大切なのは、用意された答えを
選ぶことではないのかもしれない。
「未来になる前の世界……?」
僕は、少年の言葉を繰り返した。
「どういう意味?」
少年は、僕たちを見つめたまま、しばらく黙っていた。
「まず、聞きたい」
「何を?」
「ここには、本当に学校がないのか?」
「ないよ」
ハナが答える。
「会社もない」
「……そうか」
少年は、空を見上げた。
「やっぱり……」
「何が「やっぱり」なの?」
ハナが聞く。
少年は、手に持っていたスマートフォンを見せた。
画面には、見たことのない日付が表示されていた。
「僕のいた世界では、学校があった」
「え?」
「会社もあった」
僕たちは、顔を見合わせる。
「じゃあ、君は未来から来たの?」
「……たぶん」
「たぶん?」
「目が覚めたら、ここにいたんだ」
少年は、困ったように笑った。
「だから、自分が未来から来たのか、
過去から来たのかも分からない」
「じゃあ名前は?」
「レン」
「僕は、カイト」
「私は、ハナ」
レンは、二人の名前を聞くと、少し驚いた。
「……やっぱり」
「何が?」
「その二人なんだ」
胸がざわついた。
「僕たちを知ってるの?」
「知ってるというか……」
レンは、スマートフォンを操作した。
そして、
一枚の画像を表示する。
「これを見て」
画面には、古いニュース記事のようなものが映っていた。
そこにはーー
「新世界プロジェクト、最終段階へ」
という文字。
その下には、二人の名前があった。
ーーカイト。
ーーハナ。
「……え?」
ハナの顔から笑顔が消えた。
「どうして……私たちの名前が?」
「分からない」
レンは首を振った。
「でも、僕の世界では、この二人が世界を変えたことになっている」
「僕たちが?」
「そう」
僕は記事を見つめる。
「何をしたの?」
「それがーー」
レンが言葉を止めた。
画面が突然消えた。
「……え?」
スマートフォンから、警告音が鳴り始める。
ーー「接続を切断します」
ーー「観測対象への情報提供を制限」
「誰かが止めてる?」
ハナが聞く。
「違う」
レンの顔が青ざめた。
「向こうに気づかれた」
「向こう?」
その瞬間。
海の上に、巨大な光の輪が現れた。
空が震える。
波が大きく揺れる。
そして、
聞き覚えのある声が響いた。
「レン」
三人が同時に空を見上げる。
「あなたは、ここに来るべきではありません」
レンが後ずさる。
「……管理システム」
「帰還してください」
「嫌だ」
「これは命令です」
「嫌だ!」
レンが叫んだ。
僕は、思わず彼の前に立った。
「待って」
声が震えた。
でも、
言葉は、自然に出てきた。
「レンは、帰りたくないんだよね?」
レンが僕を見る。
「……うん」
「じゃあ、帰らなくていい」
ハナも僕の隣に立った。
「三人で考えよう」
光の輪が、さらに強くなる。
「予測不能な選択を確認」
ーー「第三の接触」
ーー「第四の選択へ移行」
「第四の選択……?」
ハナがつぶやく。
すると、
空に新しい文字が浮かんだ。
ーー「世界の未来を選択してください」
その下には、三つの選択肢。
「現在を維持する」
「過去へ戻る」
「未来を創る」
僕は、画面を見つめた。
ハナも。
レンも。
誰も選ばなかった。
そのときーー
四つ目の選択肢が、ゆっくり現れた。
ーー「自分たちで決める」
三人は、顔を見合わせた。
そして、
僕は、初めて思った。
もしかしたらーー
この世界で本当に自由なのは、
選択肢を選ぶことじゃない。
選択肢そのものを作ることなのかもしれない。
僕が、画面に手を伸ばした。
その瞬間。
世界中の空に、同じ文字が浮かび上がった。
ーー「新しい選択を検知」
そして、
世界が、
静かに動き始めた。
今回からカイトとハナの物語にレンが加わりました。
レンがいた世界では、カイトとハナが
「世界を変えた二人」として知られている。
でも、
二人にはそんな記憶はありません。
いったい、これから何が起こるのでしょうか。
「現在を維持する」
「過去へ戻る」
「未来を創る」
という三つの選択肢。
そこに突然現れた、四つ目の選択ーー
「自分たちで決める」
この物語で一番大切なのは、
最初から用意された答えを選ぶことではなく、
「自分なら、どうしたい?」
と、問い続けることなのかもしれません。
三人がどんな未来を選ぶのか。
この世界は、本当に誰かによってつくられたものなのか。
ここから少しずつ、世界の秘密が明らかになっていきます。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。




