四人目の記憶ー君の名前を呼ぶためにー
三人のカイトとKAIの記憶に、もう一人の子どもが現れた。
その子は、世界の外に残された、みんなが思い出すのを待っていた。
忘れられていた約束。
まだ......決まっていない名前。
今度は、その子自身が選ぶ番だった・・・。
その文字が浮かんだ瞬間、部屋の中央に、小さな光が現れた。
光の中に、一人の子どもが立っている。
「......君は誰?」
今のカイトが尋ねた。
子どもは、答えなかった。
ただ...KAIを見つめていた。
「KAI」
その声に...KAIの肩が小さく揺れた。
「どうして、僕のことを忘れたの?」
KAIは、何も言えなかった。
第三のカイトが一歩前に出る。
「僕たちは、君を置いていったの?」
子どもは、首を横に振った。
「違うよ」
「じゃあ、どうして......?」
「君たちは、僕を忘れたんだ」
その言葉が、白い部屋に静かに響いた。
三人のカイトの胸に、同じ痛みが走った。
忘れた。
その言葉だけが、何度も心の中を巡る。
光の中に映像が浮かんだ。
四人の子どもが、何もない世界で遊んでいる。
その中で、一人が言った。
「ここに、みんなの世界を創ろう!」
「どんな世界にする?」
「間違えてもいい世界!」
「失敗しても、やり直せる世界!」
「それから......」
最後の一人が、少し考えてから言った。
「誰も、一人にならない世界」
四人は、手を重ねた。
「約束!」
その瞬間、映像の中の子どもがこちらを向いた。
「でもね」
子どもは、少し寂しそうに笑った。
「世界を創るとき...僕だけが、外に残ったんだ」
「......外に?」
今のカイトが聞き返す。
子どもは、うなずいた。
「みんなが創った世界に、僕の場所は...なかった」
KAIが、ようやく声を出した。
「違う......」
その声は、震えていた。
「君の場所を、なくしたかったわけじゃない」
「わかってるよ」
子どもは...答えた。
「だから...僕は、待っていたんだ」
「みんなが、思い出してくれるのを・・・」
そのとき...
部屋の壁に文字が浮かび上がった。
「四人目の存在」
「名前:未登録」
「記憶の復元には、本人の選択が必要です」
今のカイトは、子どもの前に立った。
「君の名前を、教えて」
子どもは、少しだけ...目を細めた。
「名前はね......」
光が強くなる。
その声が、遠くから...聞こえた。
「君たちが、僕を呼んでくれたらーー」
画面に、新しい選択肢が現れた。
「名前を思い出す」
「新しい名前をつける」
「まだ...名前を決めない」
三人のカイトは、その選択肢を見つめた。
KAIは、静かに言った。
「今度は、君が選んでいい」
子どもは、今のカイトに手を差し出した。
「じゃあ、聞いてもいい?」
「なに?」
「君たちは、今度こそ......」
子どもの声が、少しだけ震えた。
「僕を...仲間にしてくれる?」
今のカイトは、迷わずその手を取った。
「もちろん」
その瞬間、選択肢が一つ、光り始めた。
「まだ...名前を決めない」
世界は、その子が...自分で名前を選ぶのを待っていた。
四人目の子どもは、自分の名前を選ぶことが...できる。
名前を決めることは、ただ...呼び方を決めることではなかった。
自分が、ここにいていいと知ること。
今度は、誰も置いていかない。
その約束が、もう一度動き始める・・・。




