それぞれの未来ーみんなが望む世界ー
新しい世界に、たくさんの参加者がやってきた。
それぞれが望む、それぞれの未来。
みんなの未来が違うからこそ、新しい問題が起こり始める。
カイトたちは、どんな答えを見つけるのか?
最後に届いた、見覚えのある名前からのメッセージ。
世界中に、新しい扉が開き始めた。
その扉の向こうから、たくさんの光がやってくる。
一つ。
二つ。
十個。
百個。
気づけば、空いっぱいに光が広がっていた。
「こんなにたくさん......」
ハナは、少し不安そうに聞いた。
「みんなも、自分の未来を作りに来たのかな?」
カイトは、うなずいた。
「きっと…そうだよ。」
・・・・・。
最初の参加者が、扉から姿を現した。
一人の少年だった。
少年は、周りを見渡すと・・・。
すぐに...言った。
「僕は、何でもできる世界を作りたい!」
その瞬間・・・。
少年の目の前に大きな街が現れた。
空を飛ぶ乗り物。
自動で動く建物。
どこへでも行ける道。
少年は、うれしそうに笑った。
「すごい!これなら何でもできる!」
・・・・・。
一人の少女がやってきた。
少女は、静かな森を作った。
木々の間を風が通り、小川の水がきらきらと光る。
「私は、ゆっくり過ごせる世界がいいな。」
少女は、木の下に座った。
「ここなら、急がなくてもいいから。」
さらに…別の参加者がやってくる。
その人は、誰もが自由に旅をできる世界を作った。
みんな...それぞれ違う未来を選んでいた。
レンが、楽しそうに言った。
「いいね!みんな好きな世界を作っている!」
・・・・・。
不思議なことが起き始めた。
大きな街を作った少年が、森を作った少女のところへやってきた。
「ねえ、君の森にも...僕の街みたいな建物を作らない?」
少女は、首を横に振った。
「ううん。
私は、このままがいい。」
少年は、不思議そうな顔をした。
「でも...もっと便利になるよ?」
「便利じゃなくても、いいんだよ。」
二人の間に、沈黙が流れた。
その様子を見ていたカイトは...ふと気づいた。
みんな、自分の好きな未来を作っている。
・・・・・。
自分と違う未来を見たとき...
相手にも同じものを望んでしまうことがある。
カイトは、カイに聞いた。
「ねえ。
みんなが違う未来を選んだら、どうなるんだろう?」
カイは、少し考えた...。
「それぞれの未来を、そのまま大切にできればいい。」
「でも...意見が合わなかったら?」
「......そのときは、話し合うしかないんじゃないかな?」
カイトは、うなずいた。
・・・・・。
空に文字が浮かんだ。
「未来の違いを確認しました」
「世界の統合を開始します」
「え......?」
カイトが、画面を見つめる。
その瞬間・・・。
空に飛んでいた、たくさんの世界が、
一つの場所へ引き寄せられ始めた。
森が街に近づく。
旅の道が、静かな丘を横切る。
それぞれの世界が、混ざり始めていた。
「待って!」
森を作った少女が叫んだ。
「私の森を、変えないで!」
街を作った少年も、声を上げた。
「僕の街だって、なくしたくない!」
世界が、大きく揺れた。
カイトたちは、急いで画面を確認する。
「統合まで、残り60秒」
「統合を中止するには、新しい選択が必要です」
レンが叫んだ。
「また選択肢かよ!」
画面には...二つの項目が表示されていた。
「一つの世界にまとめる」
「それぞれの世界を分ける」
カイトは、その二つを見つめた。
まとめれば、誰かの望まない世界になるかもしれない。
分かれたら、みんなが一緒に過ごせなくなるかもしれない。
「......どっちも、何かが足りない。」
・・・・・。
ルナが、カイトの隣に立った。
「ねえ。」
「ん?」
「一緒にいることと、同じになることって、
違うんじゃないかな?」
カイトは、顔を上げた。
「......そうか。」
・・・・・。
画面の前に立つ。
「僕たちは、みんな同じ世界に住まなくてもいい。」
「カイト?」
ハナが見つめる。
カイトは、続けた。
「違う世界を持ったまま、行き来できるようにすればいいんだ。」
・・・・・。
画面が点滅した。
「新しい選択を確認」
「世界を分けたまま、自由につなぐ」
残り時間が止まった。
新しい道が、それぞれの世界を結び始めた。
森から街へ。
街から丘へ。
丘から、まだ誰も知らない世界へ。
それぞれの世界は、違ったまま存在していた。
少年は、自分の街を見つめた。
少女は、自分の森を見つめた。
二人は、顔を見合わせた。
「......これなら、いいかも。」
「うん。」
初めて、お互いの世界へ一歩を踏み出した。
カイトは、その景色を見て笑った。
違うから、一緒にいられないわけじゃない。
違うからこそ、見に行ける世界がある。
空に、新しい通知が現れた。
「新しい世界との接続を確認」
「接続元:現実世界」
カイトの笑顔が止まった。
「......現実世界?」
カイが、ゆっくり顔を上げる。
「そんなはずはない。」
「どういうこと?」
カイトが聞く。
カイは、画面を見つめたまま答えた。
「この世界は、まだ現実世界とは...
つながっていないはずなんだ。」
・・・・・。
通知の下に、新しい文字が浮かんだ。
「接続者からメッセージがあります」
カイトが、画面を開く。
そこには...たった一行だけ書かれていた。
「やっと、ここまで来たね。」
その下に表示された名前は・・・。
「カイト」
カイトは、息をのんだ。
「……僕?」
カイが、静かにつぶやいた。
「違う。」
・・・・・。
画面の奥を見つめる。
「これは・・・」
「現実世界にいる、もう一人のカイトだ。」
みんなが同じ未来を選ばなくても、一緒に生きることはできる。
カイトたちは、それぞれの世界をつなぐ道を作りました。
最後に届いた「現実世界」からのメッセージ。
送り主の名前は...カイト。
いったい、現実世界にいるもう一人のカイトは、
何者なのでしょうか?
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。




