最初の一行ー未来を書くということー
白紙だった未来に、カイトが最初の一行を書く。
その一行から、世界が動き始める。
まだ知らない誰かの未来までつながっていく。
未来は、誰かが決めるものじゃない。
自分たちで、作っていくものなのかもしれない。
白いページに、ペンの先をつける。
何を書けばいいのか。
カイトは、しばらく考えた。
「世界を変える言葉って、どんな言葉なんだろう」
ハナが隣から言った。
「難しく考えなくても、いいんじゃない?」
「え?」
「カイトが、本当に思ったことを書けばいいよ」
カイトは、もう一度ページを見る。
ゆっくり文字を書いた。
「自分で選んだ未来を、自分で楽しむ。」
・・・・・。
その瞬間…。
ノートが光った。
「最初の一行を確認」
「未来の書き換えを開始します」
「え?」
床が揺れる。
白い部屋の壁が消えていく。
その向こうに、青い空が広がった。
「世界が......」
ユナが驚く。
さっきまで何もなかった場所に、木が生まれる。
草が生える。
小さな川が流れ始める。
レンが笑った。
「すごい......」
変化は、それだけではなかった。
遠くに、一つの家が現れる。
その隣には、小さな広場。
その先には、見たことのない建物。
「誰かが、住む場所までできてる」
ハナが言った。
カイは、ノートを見つめていた。
「違う」
「これは、僕たちが書いた世界じゃない」
カイトが振り返る。
「どういうこと?」
カイがページを指差す。
そこには...
カイトが書いた一行の下に、
新しい文字が増えていた。
「まだ知らない誰かの未来も、ここに加わっていく。」
「僕、こんなの書いてないよ」
カイトが言う。
カイは、うなずいた。
「うん」
「だから、この世界はもうーー」
広場の向こうから、一人の女の子が走ってきた。
「ねえ!」
みんなが振り返る。
女の子は、初めて会いたい人だった。
「ここって、自分で好きな未来を作っていいの?」
カイトは、少し驚いた。
・・・・・。
笑う。
「うん」
「たぶんね」
女の子も笑った。
「じゃあ、私も作ってみる!」
そう言って、走っていく。
その姿を見ながら、カイトは思った。
世界を作るって、大きなことをすることじゃないのかもしれない。
一人ひとりが、
「こうしてみたい」
と思ったことを、一つずつ選んでいく。
その積み重ねが、未来になる。
空に、大きな文字が浮かんだ。
「新しい世界への参加者ーー1」
数字が増えていく。
「2」
「10」
「100」
「1000」
「ちょっと待って!」
レンが空を見上げる。
「人が増えてる!」
カイも空を見る。
「世界の外側と世界の内側がつながったんだ」
カイトは、ノートを閉じようとした。
・・・・・。
その瞬間。
最後のページが、勝手に開いた。
そこには、新しい一行が書かれていた。
「この物語を読むあなたへ。」
カイトの手が止まる。
「......あなた?」
次の文字が、ゆっくり浮かび上がった。
「あなたなら、どんな未来を選びますか?」
カイトたちは、そのページを見つめた。
白い部屋の外から、新しい世界の音が聞こえてきた。
まだ誰も知らない未来が、今、始まろうとしていた。
カイトが書いた一行から、新しい世界が動き始めました。
最後に現れた、「この物語を読むあなたへ」
という言葉。
カイトたちの未来だけじゃなく、
この物語を読んでいるあなたの未来もまだ、
決まっていないのかもしれません。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。




