まだ名前のない世界ー僕らがつける未来の名前ー
二つの世界が重なって、新しい世界が生まれようとしている。
その世界に、カイトたちは、名前をつける。
「まだ存在しない未来」
その先に待っていたのはーー
未来のカイトだった。
「世界の名前を入力してください」
目の前に、大きな入力画面が浮かんでいる。
カイトたちは、しばらく黙っていた。
「......なんて名前にする?」
ハナが聞く。
レンが腕を組む。
「新世界......とか?」
「ちょっと普通すぎない?」
ユナが笑った。
カイは、画面を見つめたまま動かない。
「カイは?」
カイトが聞く。
「僕は......」
カイは、少し考えた。
「名前は、あとから決まるものだと思ってた」
「え?」
「僕は、ずっと観測していただけだから」
「世界に名前をつけるなんて、考えたこともなかった」
カイトは、少し笑った。
「じゃあ、最初の名前を一緒に決めようよ」
五人で、いろんな言葉を出してみる。
「自由」
「つながり」
「未来」
「創造」
「遊び」
どれも、この世界に似ている。
どこか足りない。
・・・・・。
ハナが言った。
「だったら、全部入れればいいんじゃない?」
「全部?」
「うん」
ハナは、空白の入力欄を見る。
「この世界って、一つの答えを選ぶ世界じゃないんでしょ?」
カイトは、その言葉を聞いてうなずいた。
「そうだね」
入力欄に文字を入れる。
「まだ存在しない未来」
カイが驚く。
「それを、世界の名前にするの?」
「うん」
カイトは、笑った。
「だって、僕たちが作っているのは、
まだ誰も見たことのない未来だから」
「世界名を確認」
「まだ存在しない未来」
画面が光る。
次の瞬間ーー。
世界全体が、大きく揺れた。
空が開く。
街が変わる。
二つだった世界が、ゆっくり一つにつながていく。
今まで存在しなかった場所に、
一本の道が現れた。
その道は、どこまでも続いている。
「......あれ?」
カイトが目を細める。
道の先に、何かが見える。
建物。
人。
自分たちが今いる世界とは、まったく違う景色。
カイがつぶやいた。
「現実世界への接続が、始まったんだ」
「じゃあ、あそこが......?」
「うん」
カイがうなずく。
「僕たちが知っている「現実」かもしれない」
レンが笑う。
「じゃあ、行ってみようよ」
ユナも笑った。
「新しい世界を作ったんだから、その先も見たい」
カイトは、みんなを見る。
一本の道へ歩きだした。
一歩。
また一歩。
突然、スマートフォンのような端末がカイトのポケットで震えた。
「......誰から?」
画面を見る・・・。
そこには、一件の通知が届いた。
「新しい世界への参加申請があります」
その下に、名前が表示されている。
カイトは、その名前を見て固まった。
「......え?」
ハナがのぞき込む。
「誰?」
カイトは、小さな声で答えた。
「......僕の名前」
画面には......
「カイト」
その下にーー
「参加済み」
と表示されていた。
「......僕は、まだ参加していないのに・・・。」
カイの表情が変わった。
「違う」
「これはーー」
カイが画面を見つめる。
「未来のカイトからだ」
・・・・・。
道の先から、誰かが歩いてくる。
その姿はーー
カイトとそっくりだった。
今のカイトとは、少しだけ違う。
その人物が、笑って言った。
「やっと来たね」
「僕たちの世界へ」
新しい世界に名前がつきました。
「まだ存在しない未来」
その世界には、未来のカイトがいるようです。
いったい、未来のカイトは、何を知っているのか・・・。
なぜ、今のカイトたちを待っていたのか・・・。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。




