名前のない少年ー自分たちで創る未来
名前のない少年。
彼の名前は、カイ。
世界と世界の間にいたという彼は、
ずっとカイトたちを見ていた。
世界の再構築が始まる。
用意された答えではなく、五人が選んだ「第三の選択」
世界は、壊れるのか。
それとも、新しく変わるのか。
世界が揺れている。
建物が光に包まれ、空には、無数の文字が流れていた。
ーー「世界再構築:開始」
「どうすればいいの……?」
ハナが不安そうに僕を見る。
「分からない」
僕も同じだった。
世界を守るのか。
新しく創るのか。
どちらを選んでも、誰かが困る。
そのとき。
「選ばなくていい」
五人目の少年が言った。
「え?」
僕たちは、少年を見る。
「どういうこと?」
「その二つは、管理システムが用意した答えだから」
少年は、空を指差した。
「本当の選択肢は、まだ表示されていない」
僕は、ハッとした。
「……第三の選択肢」
「そう」
少年が頷く。
「君たちが、いつもそうしてきた」
「いつも?」
僕が聞く。
「僕たち、初めて会ったよね?
「この世界ではね」
「……この世界では?」
少年は、答えなかった。
代わりに、手を僕へ差し出した。
「僕も名前を教える」
「名前……あったんだ」
「うん」
少年は、少しだけ笑った。
「僕はーーカイ」
その瞬間。
空に文字が浮かんだ。
ーー「未登録存在:KAI」
ーー「登録を拒否」
レンが驚く。
「名前が認識されたのに登録されない……?」
カイは、空を見上げた。
「僕は、この世界の住人じゃないから」
「じゃあ、どこから来たの?」
ハナが聞く。
カイは、少し黙った。
「世界と世界の闇」
「……?」
「まだ名前のない場所」
僕は、首をかしげた。
「そんな場所があるの?」
「あるよ」
カイは、僕を見る。
「君たちが、新しい世界を創る前の場所」
その言葉に、僕の背筋がぞくっとした。
「じゃあ、君は……」
「世界が生まれる前から、ここにいた」
ユナが震える声で言った。
「だから、私が知らなかったんだ……」
「そう」
カイは、頷いた。
「ユナが生まれたときには、僕は、もうここにはいなかったから」
「待って」
レンが割って入る。
「じゃあ、誰が君を作った?」
カイは、答えなかった。
その代わり、僕たちの足元に小さな光が現れた。
そこには一枚の記録が浮かんでいた。
ーー「世界創造:第0段階」
ーー「管理システム:未完成」
ーー「創造者:未定」
そして、
最後に。
ーー「観測者……?」
僕がつぶやく。
「そう」
カイが答えた。
「僕は、ずっと、君たちを見ていた」
「なんのために?」
「君たちが、自分で答えを見つけるかどうか」
ハナが聞く。
「答えって?」
カイは、僕たち五人を見る。
「この世界を、どうしたいのか」
その瞬間。
空から大きな音がした。
ーー「再構築率:72%」
「時間がない!」
レンが叫ぶ。
「このままだと、本当に世界が消える!」
僕は、空を見る。
街には、たくさんの人がいる。
笑っている人。
歌っている人。
誰かと話している人。
この世界を守りたい。
でも、
新しい世界も見てみたい。
僕は、迷った。
すると、
ハナが手を握った。
「カイト」
「うん」
「私たち、もう答えを知ってるんじゃない?」
「……え?」
「最初からずっと、そうしてきたよ」
ハナが笑う。
「誰かに決めてもらわなかった」
レンが続ける。
「自分たちで選んだ」
ユナも頷く。
「そして、選び直した」
カイが静かに言った。
「だからーー」
僕たち五人の前に、新しい画面が現れた。
ーー「第三の選択肢を入力してください」
僕は、画面に触れた。
そして、
ゆっくり文字を入力する。
ーー「世界を壊さずに、変える」
画面が止まった。
全員が息をのむ。
ーー「新しい選択を受理」
世界の揺れが止まった。
空から光が降ってくる。
街の人々が空を見上げる。
誰も知らなかった場所に、
新しい道が一本だけ現れた。
カイがその道を見る。
「始まったね」
「何が?」
「本当の世界創造」
僕たちは、五人で、その道を見つめた。
でも、
その瞬間。
カイだけが気づいた。
道の先にーー
もう一人、誰かが立っていることに。
「……まさか」
カイの顔から笑顔が消えた。
その人物は、こちらを見ていた。
僕たちの名前を、ひとつずつ呼んだ。
「カイト」
「ハナ」
「レン」
「ユナ」
「カイ」
最後に、その人物は、笑った。
「やっと、全員そろったね」
世界が、再び光に包まれた。
今回、五人目の少年の名前が、初めて明らかになりました。
彼の名前は「カイ」。
カイは、この世界の住人ではなく、
世界と世界の間にいた「観測者」でした。
カイトたちは、また用意された選択肢を選ぶのではなく、
「世界を壊さずに、変える」
という新しい答えを自分たちで作りました。
これで世界は、変わり始めます。
……でも。
最後
に現れた「やっと、全員そろったね」と言った人物。
いったい誰なのでしょうか。
カイが「まさか」と驚いた理由も、
まだ分かりません。
五人の前に現れた新しい人物は、
敵なのか、味方なのか。
そして、
「全員」という言葉には、どんな意味があるのか。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。




