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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第四章

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小山内空羽の帰還

「目が覚めた?」


 三ツ矢女学院での昼休みに、姫嶋かえでの主治医になってくれた竹田さんから電話があった。魔力暴走を起こした小山内(おさない)空羽(あきは)の意識が戻ったという。


〈ええ。それで、面会に来て欲しいのよ〉

「構いませんけど、どうして?」

〈分からないわ。ただ、姫嶋かえでに会いたい。会ってみたいって言うのよ〉

「……分かりました。放課後に伺います」


 かえでに会いたいか。気になるな。


「かえで様? どうなさいましたか?」

「ううん、なんでもないよ。お昼なに食べる?」

「そうですね、今日は麺にしようと思います」

「麺か、私もそうしようかな」

「ぜひ! 美味しいですよ!」


 *   *   *


 ――放課後。


「確かこの病院だったな」


 ライブでの事件でお世話になって以来だな。

 受付に行き、竹田医師に会いに来た事を伝えてしばらく待つと、「かえでちゃーん!」と走って来た。走っていいのか?


「来てくれてありがとう」

「いえ。それで小山内さんは?」

「こっちよ」


 魔法少女専用の病棟に入ると、ネームプレートに小山内と書かれた病室に入る。


「失礼します」


 入って奥の右手に小山内空羽はいた。ショートカットの黒髪と童顔のせいか、小学生にも見える。


「はじめまして、姫嶋かえでです」

「……あなたが、姫嶋さん?」

「はい。元気になられたようで良かっ」

「ありがとうございます!!」


 いきなり全力で感謝されてびっくりした。


「……えーと、私なにかしましたっけ?」

「上手く言えないんですけど、私の意識はずっと闇の中にありました。トゲトゲした闇の中で、常に痛みがあって、このまま拷問のような時間が永遠に続くんじゃないかって……。

 でも突然、光が見えたんです。とても暖かくて優しい光が。その時にかえでさんの名前と顔が浮かんだんです。ああ……この人が私を闇の中から救い出してくれたんだって」


 恐らく魔力暴走した小山内に俺がピュアラファイを撃った時の記憶だろうな。


「そんな大したことはしてませんよ、たまたま上手く行っただけです」

「えーと、姫嶋さんは何歳ですか?」

「14ですよ」

「一つ下なんですね、自己紹介が遅れました。小山内空羽です。10キロメートルエリア担当です」

「小山内さん年上なんですから、敬語じゃなくていいですよ」

「いえ、命の恩人なので」

「ふふ、義理堅いのね」


 なんか調子狂うな……。


「姫嶋さんはタメ口でもいいですよ」

「いやいや! 年上で先輩なのにタメ口って変でしょう!」

「そうですか? でも、お会いできて本当に良かったです」

「こちらこそ、あれからずっと気になってたので」

「……じゃあ、私はそろそろ仕事に戻るから、あとは二人で話してね」

「あっ、すみません。ありがとうございました!」

「ありがとうございます」


 竹田が退出すると、小山内の質問タイムが始まった。


「姫嶋さんは学校どこですか?」

「三ツ矢女学院です」

「三ツ矢女学院!? 超お嬢様じゃないですか!」

「あはは……。歩夢にも同じ反応されました」

「歩夢を知ってるんですか?」

「はい。私の数少ない友だちです」

「なら、私とタメ口でいいじゃないですか」

「え?」

「だって、歩夢も年上で先輩になるんですよ?」


 あー、そう言われてみればそうか。


「んー、じゃあお言葉に甘えるね。名前呼びでもいい?」

「もちろんです! 姫嶋さんは彼氏いますか?」

「あー、三ツ矢女学院は陸の孤島だから、彼氏はいないんだよ」

「えーっ! そうなんですね。もったいないなー、姫嶋さんめっちゃ可愛いのに」

「そんなことないよー」

「私が男なら口説きますよ絶対」

「あはは、ありがとう」

「魔法少女のエリア担当はいくつですか?」

「この前の試験で10キロメートルエリア担当になったよ」

「おー! 同じですね! やっぱり高位(ハイランク)目指すんですか?」

「うん。今は50キロメートルエリア担当を目指してるよ」

「姫嶋さんて器強そうですもんね」

「え? 分かるの?」

「はい。なんとなく」


 そういや中原理事長も器が分かるって言ってたな。


「私の器はあまり強くないんで、羨ましいです」

「じゃあ魔力量も少なめ?」

「そうですね。平均的ではあるですけど、高位(ハイランク)を考えると少ないかなーって思います」

「そうなんだ。でも空羽は大規模作戦に選ばれる実力あるんでしょ?」

「……私はミスったんです」

「ミスった?」

「ヒューザの角に最大限の攻撃をして、紫からヒビが入ったって言われた時にほんの一瞬、気が緩んだんです。その隙を突かれて逃げられて……。あの時、私が最後までやり切ってればみんなに迷惑を掛けることもなかったのに……!」


 空羽は悔し涙を滲ませる。辛いよな、悔しいよな、分かるよ。


「そうだね、空羽はやらかした」

「……っ」

「でも、反省はそれだけでいい」

「……え?」

「やらかしたことを反省したら、次はどうすれば解決できるのか問題点を洗い出して、回避すればいいのかアプローチを変えればいいのかを検討する。

 人生なんてトライアンドエラーだよ。やらかしたことのない人生があるとしたら、それはなにも行動してないだけ。空羽はみんなのために行動したんだから、誰も空羽を責めてないと思うよ。むしろヒューザを倒すために貢献したじゃん」

「うぐっ……」

「それに、空羽は生きて戻って来れた。歩夢も紫も、きっと空羽を心配してると思うよ。だから空羽が次やるべきことは、みんなに元気な姿を見せることだよ」

「うっ、うあああああ!!」


 泣き出した空羽に胸を貸してやる。


「よくがんばったね、おかえり」

「ひぐっ、ひえじぁさん、あたひ、あたしぃ……!!」

「あはは、言えてないよ」


 勇敢な戦士の帰還の報せは、すぐに10キロメートルエリア担当の一部と高位(ハイランク)魔法少女に伝わった。俺の知らない所で姫嶋かえでの知名度が上がったらしい。


 そして、運命の時がやって来る――。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。



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