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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第四章

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結月のアピール作戦?

「樋山です」

〈楓人さん!? ちょっと待ってくださいね〉


 中原邸に着いて、いつものようにインターホンを押したら悠月がテンパってる。


「どうしたんだ?」


 電動門が開いて玄関に行くと、そこにはいつもの悠月……じゃないな? 化粧してるしイヤリング付けてるし。


「なんだか今日は可愛いね」

「そ、そうですか?」

「うん。イヤリング似合ってるよ」

「あ、ありがとうございます」


 執務室に通されると、中原理事長はいつものように仕事をしていた。


「中原さんはいつも執務されてるんですね」

「まったく、理事長などやるものではないよ。それで、2日間どうだった?」

「ありがとうございました。予期せぬ出来事もあったんですが、無事に終わりました」

「予期せぬ出来事?」

「新島が珍しいミスを。ですが、本人が汚名返上とばかりに起死回生の提案をしてくれたお陰で終わりました」

「ふむ。予期せぬ出来事か、危ういね」

「……やっぱりローレス化が原因でしょうか?」

「だろうね。ローレス化した人間は皆一様にらしからぬミスを犯している」

「それは……千秋さんも?」

「ああ。以前言ったように引退の決め手は呪いだが、それ以前からミスが目立つようになってね。どのみちだったんだよ」

「そうでしたか……。それと、総指揮と副司令が決まったのはお聞きになりましたか?」

「いや。そういった情報は直接は降りないよ。誰かな?」

「総指揮に綾辻桜さん。副司令に廷々紫だそうです」

「……そうか、廷々が副司令に」

「すみません。紫に例の話をしました」

「気にするな。そもそも廷々の人間があの話を知らないはずがないからね」


 そういや紫も言ってたな。廷々家では有名だと。


「それで? 50年前の再現はできそうかね?」

「はい。紫ならきっと」

「ふふ、即答か。随分と信頼してるじゃないか」

「紫が俺を――かえでを信頼してくれてるので」

「君は廷々とも懇意なのかね?」

「人をプレイボーイみたいに言わないでくださいよ」

「悠月を泣かせないでくれよ」

「そんなことしませんよ」

「泣かせるなら結婚式にしてくれ」

「気が早すぎますって」

「結婚したら沖縄に行きたいと言っていたそうじゃないか」

「願望としてはそうですね」

「それで? 君はどうなんだ?」

「え?」

「楓人くんは、悠月のことをどう思っている?」


 なんだかもう見合いの報告みたいだな……。


「イジメられていた過去については聞きました」

「私を意地の悪い婆さんだと思うだろう?」

「そうですね、悠月さんの本音を引き出すために意地悪された、孫思いの良いお祖母様だと思いました」

「言うじゃないか。それで?」

「話を聞いた上で強い女性だと思いましたし、とても可愛い子だなと」

「好意は持てそうかね?」

「悠月さんのことは好きになれましたよ。ですが、恋愛感情には発展してません」

「……いいだろう。見込みはまだありそうだ」

「それと、一つお願いがあるのですが」

「なんだね? またズル休みかな?」

「いえ、さすがにそれは……。悠月さんのお見合いを止めて欲しいんです」

「ほう? それは婚約するということかな?」

「それはまだですが、本人も疲れているようなので」

「……いいだろう、高校を卒業するまではやめよう」

「ありがとうございます」

「だがそれは、君へのアピールが増えることになるよ。それでもいいんだね?」

「アピール……ですか」

「心配せずとも会社には迷惑を掛けないよ」


 一体どんなアピールする気だ……。


「分かりました」

「では、今後は楓人くんへのアピールに限って()()()()()()()()()()()()()ことにする」

「制限を設けない?」

「文字通りだ。ただし常識の範疇(はんちゅう)を超えない程度にだがね」

「なら良かったです」

「あとは本人と話をしたまえ」

「失礼します」


 執務室を出て玄関に向かうが、悠月の姿が無い。


「もしかして」


 車庫に行くと、やはりそこにいた。


「悠月」


 車を磨いていた悠月は、声を掛けると「楓人さん!」と走って来た。


「おっと!」

「会いたかった……」


 なんで女の子はタックル気味に抱きついてくるんだ!?


「はは、ありがとう。俺も会えて嬉しいよ」

「お祖母様とのお話は終わりましたか?」

「うん。実は……」


 悠月のお見合いが一旦停止になったのと、俺へのアピールには制限を設けない事になったのを伝えた。


「じゃあ、お見合いはもうしなくていいんですか!?」

「うん、少なくとも高校を卒業するまではね」

「ありがとうございます! ……それで、アピールに制限を設けないとは?」

「お見合いを一旦停止するための条件だよ。お見合いできない(ぶん)を俺で補えということらしい。あくまで常識の範疇でね」

「あの、では早速一つよろしいでしょうか?」

「なに?」

「楓人さんの家に、その……お泊りデートしたいです」

「お泊りデート!?」

「すみませんいきなり。昔から憧れてて……」

「そ、そうなんだ」


 立派なレディーにならねばと、自分を抑圧してた反動なんだろうか?


「だめ、ですか……?」


 上目遣いが眩しい……。

 

「さすがに19も年下の女の子を泊めるのは……」

「なら、うちに来てください!」

「はい?」

「確かに一人暮らしの男性宅にお泊りデートすると、あらぬ噂が囁かれるかも知れません。楓人さんはマンションですし。でも、うちならいくらでも言い訳ができます!」

「えーと、例えば?」

「家庭教師とか!」

「それはやめたほうがいいかな、俺頭悪いし」

「それなら、えーと……」

「変に言い訳しなくても、中原理事長の知り合いでいいんじゃないかな?」

「あっ。そ、そうですね! あはは」


 分かりやすく舞い上がってるなー。以前までの凛とした佇まいからは想像がつかない。やっぱり可愛いな。


「……分かった。行くよ、お泊りデート」

「ホントですか!?」

「うん。勇気出して誘ってくれたんだよね、ありがとう。明後日でもいいかな?」

「はい、大丈夫です!」

「じゃあ、明後日に」

「はい。楽しみにしてます」


 16歳の女の子とお泊りデートか。親御さんに殺されなければいいけど……。



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。



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