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魔法少女かえで@agent 〜35歳サラリーマンが魔法少女やることになりました〜  作者: そらり@月宮悠人
第四章

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重大なミス

 美味しいパフェを食べて花織さんは完全オフモードだし、俺は疲れたしってことでレッスンはまた後日になった。


「ユキさんも呪いか……」


 解除不能の魔法。俺も特別昇格試験で仮想敵を相手に戦ったが、もしあれが実戦だったら……。

 実戦は棄権しまーす! なんて出来ない。エクスカリバーで追い詰めたとして、呪いを受ければ終わりだ。器の強さも魔力量も関係ない。


「それこそチートすぎんだろ」


 夕暮れになった魔法(M)少女(G)協会(A)本部の空を仰ぐ。

 魔物は究極魔法(ウルティマギア)で生み出されているらしい。その魔物が呪いと呼ばれる魔法を使うということは、魔法が魔法を作ってる事になるんじゃないか?


 さながら生成AIだな。生成AIが生成AIを作っているのか、それとも呪いというプログラムを載せたソフトウェアを作っているのか……。

 魔法少女の終わりなき戦いは魔物を生み出す究極魔法(ウルティマギア)を壊す事で終わるんだろうが、天界すら把握していない究極魔法(ウルティマギア)の所在をどうやって探せば……。


「――いやいや、俺がやるべきはそこじゃない。まずは50キロメートルエリア担当に昇格しないとな」


 と、帰ろうとした時に俺のスマホが鳴る。電話に出ようとして、まだ本部にいるのを思い出して表の世界に戻り、変身を解除する。


「中原理事長? ――はい、楓人です」

〈例のズル休みの件だがね、承認するよ〉

「いいんですか?」

〈ああ、悠月が協力してくれることになってね〉

「え? 悠月さんが?」

〈この前のデートが気に入ったようでな、あれから機嫌が良いから快く引き受けてくれたよ〉

「それはどうも。……ところで協力ってどんな?」

〈君がズル休みをするとなると、主力の魔法少女が一人欠けることになる。その穴埋めだよ〉


 そうか! ズル休みしたら魔法少女としての活動も休む事になるのか。


「すみません、それは気づきませんでした」

〈構わんよ。では明日から2日間の休みとする。理由はこちらで適当に作っておくから心配するな〉

「ありがとうございます」


 通話を切ると、()()()が近づいているのだと改めて感じる。


「さて、明日から久しぶりに出社するか!」


 *   *   *


「おはようございます」


 久しぶりに職場を訪れると、全員がなんの違和感なく俺を受け入れた。まさか俺の代わりにずっと人形が出勤していただなんて、誰も思わないよな。


「おはようございます、先輩」

「おはよう」


 新島はデート後、特に変わりは無さそうだと人形から報告を受けていたが、実際に会っても変わった様子は見られない。

 ただし、ローレスの気配はかなりハッキリと感じる。以前は本当にローレス化するのか信じられなかったが、もはや疑う余地が無い。


「いよいよですね」

「ああ。長かったプロジェクトも一週間後には終わりだ」


 有栖川HD(ホールディングス)から――というより彩希からだが――受けた仕事は間もなく終わる。そしたら有栖川に移ることはすでに上にも報告済みだ。

 予想通りというか、かなり難色を示されて苦労したが、雷都や彩希のサポートもあってなんとか承認された。


「先輩と有栖川に行けるなんて、まだ信じられないですよ」

「はは、今以上に働いてもらうからな」

「はい!」

「いやいや俺も忘れないでくださいよ!」

「はいはい、あんたは私の倍は働いてよね」

「なんで俺だけ!?」


 新島と佐々木は、有栖川に行く話をしてから良い関係になったようだ。以前のようなギスギスした感じが無くなり、良きライバルとなった。


「ほら、仕事するぞ!」

「はい!」

「よーし!」


 席に着いてPCに向かう。この感覚が久しぶりで、なんだか感動すら覚える。

 思えば色々あったな。初めての仕事で重大なバグが見つかって大目玉を食らったり、連日徹夜で一生ここで暮らすんじゃないかと恐怖を覚えたり。


 そして、まさか俺が魔法少女になる日が来るとは……。新島が襲われたり、歩夢の疑念、新島のローレス化の予兆、10キロメートルエリア担当になってからの救援要請の嵐。

 俺が魔法少女になったせいか、ここでの魔法少女関連の出来事もけっこうあったな。だがそれも終わりだろう。


 ――待てよ? その流れで言うとまさか今度は有栖川で魔法少女関連の出来事が起こるのか!?


「先輩?」

「え?」

「どうしたんですか? ぼーっとして」

「あーいや、なんでもないよ」

「しっかりしてくださいよ、私たちのリーダーなんですから」

「はは……」


 有栖川に移籍するにあたって、俺がチームリーダーという事になった。彩希の提案ではあるんだが、移籍していきなりチームリーダーは摩擦が起きないか? と彩希に訊いたら、


『そんなの気にする人は有栖川(うち)にいないわよ。楓人さんなら大丈夫。だからがんばってね』


なんて言われたので引き受けてしまった。


「……ん?」


 プログラムコードを見直していると、何か引っ掛かった。この違和感は覚えがある。嫌な予感がする……。


「新島」

「はい?」

「このコード担当してるのって、佐々木か?」

「いえ、そこは私ですけど」


 新島が? まさか、こんなミスをするなんて……。


「佐々木を呼んでくれ、緊急ミーティングする」

「――! 分かりました!」


 ……考えたくないが、嫌でもローレス化の影響なのかと考えてしまう。

 会議室にメンバーを集めると、さっきのコードを見せる。


「見過ごされてしまっていたが、ここは改修が必要になる。かなり大幅な見直しが必要になるかも知れない」

「え? そこって……新島の担当だよな?」

「……はい」

「うそだろ? だってお前、ここんとこ絶好調だったじゃないかよ」

「ごめんなさい……」

「どうすんだよ!? 納期間に合わねえぞ!?」

「佐々木!」

「あっ……すみません」

「前にお前に言ったよな。俺たちはワンチームだ。確かに新島のミスだが、気づけなかった俺たちにも責任がある。――新島、気にするなとは言わない。だけど、必要以上に責任を感じることはない。いいか?」

「……はい。すみません」

「謝るのはさっきのだけでいい。いいか? 二人がここに来る前からこんなトラブルは日常茶飯事だったんだ。そんなデスマの日々を経験した先輩がここにいる。だから新島も佐々木も、いつも通り俺を頼れ。納期は俺たちで必ず守ろう。いいな!!」

「はい!」

「はい」


 ……一つだけ嘘を言った。俺たちが見過ごしたんじゃない。仕事を任せた人形が見過ごしたんだ。そして俺は多忙過ぎてチェックが甘かった。

 これは新島のミスだが、それ以上に俺の責任だ。中原理事長がくれた2日間で間に合わせてみせる!



 To be continued→

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

応援よろしくお願いします。



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