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第6話 ~ネオンの光~

「もーすぐ夏休みだな~」

 島木くんは焼きそばパンを頬張りながら言う。

「夏休みが終わったら文化祭。早いね~」

 島木くんは感慨深そうに喋る。

 文化祭。僕は一年の時は不登校で行かなかったから楽しみだ。

「そういや、文化祭で音楽のステージあんの知ってっか?」

「ステージ……?」

 なんだろう……?

「軽音部とか個人とか、申し込んだら誰でも参加できんの。カラオケは駄目だけど、岡田は弾き語りできるからいけんじゃね?」

「ステージか……」

 きっと教会でやる時より観客はたくさん集まるのだろう。考えただけで緊張する。……今までの僕ならやらなかっただろう。でも、今は。

「受け付け開始されたら申し込んでみようかな……。夏休み中に新曲作って」

 チャレンジしてみたい。

「いいじゃん。俺、絶対聴きに行くわ」

 島木くんは、そう言ってくれた。嬉しい。

 ネオンはふよふよしながら笑っていた。


 夏休みに入ると、宿題をして、教会の手伝いに行って、島木くん達と遊んで、補習を受けて、曲を作って。忙しかったけど充実していた。

 ネオンはいつも側にいてくれて、応援してくれたり、助言してくれたり、喜んでくれたりした。ネオン、本当にありがとう。ここまでこれたのは君がいたからだよ。


 そして秋が来て、文化祭当日。

 なんと僕はステージの大トリだった。緊張する……けど、僕はやってみせる!

 舞台袖で前の人の演奏が終わるな……と思っていたら、突然プツンと小さな音がした。

「え」

 抱えているアコギを見ると、弦が一本切れていた。

「(しまった……! 練習に夢中で弦を張り替えるのを忘れてた……!)」

 自分の出番はすぐに来る。弦の予備は持っているが張り替える時間は無い。張り替えているうちにお客さんは帰ってしまうだろう。どうしよう……どうしよう……。

「奏~そろそろ出番だね~。今の心持ちは?」

 ネオンがやって来て僕に聞く。僕は焦りながらアクシデントのことを話す。するとネオンは。

「ふふん、ウチの出番だね! ネオンちゃんにお任せあれ~! 奏はちょっぱやで弦を張り替えて!」

 そう言うとネオンはステージに行った。

 前の人の演奏が終わり、客席からは拍手が沸き上がる。そして司会の生徒が次の案内をする。

「次は、二年二組、おか……」

 その時、いきなり会場の照明が落ちた。客席はもちろんのこと、役員の生徒達も慌てている。会場がざわつく。

「ネオンちゃん必殺ポルターガイスト! 照明落とし!」

 ネオンの声が聞こえてきた。ネオン……!

 ネオンが時間を稼いでくれている間に僕は急いで弦を張り替える。

「少々お待ちください! あと一人、出番が残っていますので!」

 客席はざわめく。

「どうする?」

「他んとこ行く?」

 そんな声が飛び交う中、僕は弦を張り替えた。

「できた!」

 その瞬間、照明がパッとつく。ネオンは舞台袖に戻ってきて僕に言う。

「行っといで。ウチは特等席で観とくからさ」

 僕は力強くうなずいた。

「うん!」

 ネオンの協力、無駄にはしない。

 ネオンは客席の方へ向かった。

 会場や進行役の生徒達も落ち着きを取り戻し、僕の名前が告げられる。

「えー、アクシデントがありましたが、皆さん、残ってくださってありがとうございます。では、このステージ最後の出番です。二年二組、岡田 奏さん」

「はい!」

 僕は光指すステージへと出る。

 マイクの前に立ち、客席を見据える。島木くん達はどこかにいるのかな。ネオンは……とてもわかりやすいところにいる。客席の中央、そこに浮いている。確かに特等席だね。

 僕はマイクに向かい、声を出す。

「こんにちは。岡田 奏です。今から演奏する曲は、僕の大切な人に捧げる曲です」

 息を、吸い込む。

「聴いてください、『ネオンの光』」

 アコギを鳴らす。激しくなく、しっとりとした曲調。でも、今までみたいに暗くない。だって、ネオンに、みんなに捧げる曲だから。

「僕は出口の無い暗闇を歩いていた 行けども行けども暗闇で 絶望しかなかった でも突然明かりがついたんだ ネオン街みたいな びかびかした強烈な明かり」

 コードを鳴らす。ねぇ、届いているかな。

「僕はその明かりに戸惑った だけどその明かりは優しくて いろんなものを見つけられた」

 曲は進み、終盤へと差し掛かる。

「大切なものをくれた光に僕は恋をした ありがとう」

 後奏が終わり、曲も終わりを迎えた。僕は余韻を残してから「ありがとうございます」とお辞儀をした。

 すると、客席から割れんばかりの拍手が舞い上がる。僕はこの瞬間を一生忘れないだろう。

 ネオンは満面の笑みで手を叩いていた。

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