表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/37

三十五話 結果


 見えない。


 その言葉が意味するところは、つまるところ、スキルによる効力が俺には効果がなかったと言う事。

 レベルを見ると言うスキルであることを考えれば、それは単純な話、『レベルが見えなかった』と言う意味を持っていることは明白だった。


「失敗?」


 麻耶が、サチカに声を掛けた。

 不発なのか、発動した上で効果を発揮しなかったのか、それは本人にしか分からない。

 サチカは答えた。


「スキルは確かに発動した。でも、結果が得られない」


 それが答えだった。

 ここで、推測できるのは、ファーストである俺のレベルは確認できないと言う事。

 だが、レベル自体はあるはずだ。

 ウィンドウ自体は目の前に現れて、レベルアップの報告を何度もしていた。


 ただ、そんな結論を出すのは、時期尚早と言ったところだった。

 何をするにしても、失敗であれば、もう一度試そうとする。

 それが、エラーの疑いのあるような、一つの工程であれば尚更に。


 サチカは、麻耶に了承を取って、瞳に光を灯した。

 スキルによるレベルを見ると言う行為。

 それ自体は、すでに成功の経験がある。

 正常に働いているのであれば、麻耶の結果は読み取れるはずだ。


「見えた」


 やはりと、言うべきかこちらは成功した。

 その事実を確認して、サチカは再度俺に向き直った。

 もう一度スキルを試すのだろう。

 彼女の瞳は確実に俺を捉えた。


 結果は。


「やっぱり、ダメみたい」


 失敗だった。

 再起動して、もう一度何て、機械の様には行かなかったようだ。

 だが、発動は正常にしていることを考えれば、やはり、ファーストであることが原因であることは可能性として高いだろう。

 他に考えられることであれば、このパーティ内で検証をしているために、気付いていないが、同姓以外、または生物学的に男である対象には効かないと言ったたころだろうか。

 だが、スキルと言ったものは手に入れた時点で発動条件自体はなんとなくわかると言うことなので、その可能性は低い。

 そうでなければ、先ほど彼女がしてくれたスキルの詳細は検証から得られる情報を遥かに超えていることになる。


 まあ、とにかく、こんな結果になってしまったが、外部の人間である俺をここに残したまま、彼女らで交流を始めることはないだろう。

 早々に、俺は部屋を出ていく流れになった。

 自分から切り出してはいるので、追い出されるような形ではないが。


「今日は態々、すみませんでした。結局、レベルも見れずじまいで」


 サチカは、軽く頭を下げた。

 

「いや、俺の方こそ、我儘を聞いてもらった形になるわけだし。それに、俺たちファーストのレベルは見れない。その情報を得ることが出来ただけで十分すぎるくらいだし」


 確定ではないが、スキルを受けた時、ほのかに自身の奥底で抵抗があったような感じがした。

【延長】のギフトが、何か反応したような気がしたのだ。

 だから、ファーストは例外なく、少なくともサチカのもつスキルは効かない。

 そう思った。

 それだけで、大きな情報と言えるほどだった。


「では、お互いに、大会に備える時期でもありますし、この辺で」


 サチカはそう言って俺を促した。

 大会と言う言葉に、首を傾げそうになるが、そう言えば、そんなものがあったと思い出す。

 確か、協会主催の大会だったか。

 麻耶は出ると言っていたが、俺は出る気もない。

 そう思ったが、水を差す必要もないので、特に何も言わなかったが、不意に聞こえた元気な声が、それを許さなかった。


「私たちは、このパーティで出るんですよ!河添さんは誰かと出るんですか?」


 やはりと言うか、克己だった。

 ぴょんぴょんと相も変わらず跳ねている。

 疲れないのだろうか。


 ただ、そんなことを思いつつも、俺は何と返そうかと一瞬のうちの思考する。

 その結果、別に隠すことでもないと、俺は口にした。


「えっと、俺は大会には出ないんだよね。だから、みんなのことを応援させてもらうよ」


 無難にそう返した俺に対して、らなは「頑張らないとですね~」なんて言って克己を抱いた。


「ファーストの人だから、一緒に出られると思ったのに!」


 克己が、らなに絡まれながらそう言った。

 そして、やはりと言うか、俺の正体はバレていた。

 いや、そもそも、俺が来ると知った時には、二人にバレていたし。

 先ほどのスキルについて試している間に、それらのことを話したから同然ではあるのだが、それより前に克己は俺の名前だけで薄々気付いているような様子を見せていた。


 だが、やはりと言うか、それに分かりやすく触れて騒ぐ人間はいなかった。

 皆人間が出来ているななんて思って、俺は別れを切り出しその場を立った。

 俺が、彼方の立場なら、振れないなどと言った器用なことは出来ただろうか。

 そんなことを不意に考えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ