二十二話 第二次試験
二日後、俺はまた協会の施設に来ていた。
二次試験の概要を聞けば、ダンジョンゲートに試験官と一緒に同行して、攻略するらしい。
どうやら、魔素量なるものを計測して、比較的安全なダンジョンに振り分けられるとかなんとか。
ただ、現地集合ではないのは、ダンジョンは固定型ではないので、発見報告が来しだい向かうと言う事だ。
今日も受付で、案内された場所へ向かう。
そうすれば、前回と同じような空間に案内される。
前回の試験より多く集まっているようだが、別にここで前の様に模擬戦を行うわけではない為、別に問題はないのだろう。
恐らく、ここで行われるのは。
「河添正時さん。Bグループです。Bと書かれたプラカードを持ったものが試験官ですので、そのに集合してください」
「わかりました」
俺は、返事をして指定された場所へ向かう。
恐らくここで行われるのは、グループ分け。
一つのダンジョンに適した人数に分けているのだろう。
ダンジョンだって、広いが、大勢が相手にするほど魔物もいない。
俺は視界で「B」の文字を見つけて、そこに向かえば、数人の人がすでに集まっていた。
人数は、俺を含めて五人。試験官を足せば六人だろうか。
向こうも気付いたのだろうか。
試験官が真っ先にこちらを見つけて声をかけて来る。
「河添君であってる?」
「はい。河添正時です」
「マサトキ君ね」と、試験官は言って手元のタブレットをタップする。
恐らくチェックでも入れたのだろう。名簿のようなものが見えたし。
それから、もう一度こちらを見た、男の試験官は口を開いた。
「僕は卯西、Bグループの試験官をしている。よろしく」
「よろしくお願いします」
「じゃあ、何か分からない事や質問がなければ、僕の後ろに列を作るようにして、最後尾に並んで」
「わかりました」
卯西と名乗った試験官の言う通り、最後尾に並ぶ。
すると、こちらの様子を伺っていたであろう、俺の前に並んでいた男が声をかけて来る。
「俺は上谷内ツカサ。よろしくね、河添君」
「はい。よろしくお願いします。上谷内さん」
上谷内と名乗ったオッサンに俺はそう返した。
一人で行動できるような試験なら別だが、グループでの活動が主になるであろう今回、こうやって向こうから声をかけてくれるのはありがたい。
そんなことを思っていると、上谷内さんに続くようにして、前の三人も名乗りを上げた。
「うちらも自己紹介していいかな。私は安宍千奈。高二よろしく」
「俺は、京念鈴彦。よろしく」
「西陰竜馬。えっと、高三、よろしく」
一人目は、本人が名乗ったように活発そうな高二の少女。
二人目は、二十代半ばと言った風貌の男。
三人目は、前髪を伸ばした、高三の少年。
その順番で挨拶をして来た。
恐らく、俺が来る前に、皆で自己紹介は終わっていたのだろう。
俺だけに向けて、皆は口を開いた。
「安宍さんに、京念さんに、西影さんですね。河添正時です。よろしくお願いします」
皆名乗っているし、一応名乗っておくかと考えて俺はそう言った。
それから、少し時間があったので、話した。
と言っても、世間話程度ではあったが。
なんだか仲のよさそうな雰囲気もあったので、俺以外の四人の位置の誰かは知り合いだったりするのかもと思ったのだが違ったらしい。
と言う事は、ここにいる人たちのコミュ力が高すぎるように感じるけど、まあ、悪い事ではないので、まあいいかと流した。
そして、数分、てっきり俺で最後かと思っていたBグループに、最後の参加者が来た。
時間は集合時間に指定されていた者より六分遅れだ。
俺が、結構ギリギリでもあるが五分前くらいに来たことを考えれば、それが早く見えてしまうほどだ。
五分前と言っても、試験なのだから、普通はもっと早く来る。
そんなことを思ってはいたが、別に意地悪をする必要もないので、俺自身、声をかけてもらった側であるため、今度はこちらからすべきだろうと口を開こうとした。
開こうとして、俺は動きを止めた。
「始めま…………!?」
俺の様子に気付くことなく、その男は向かってきた。
こいつを俺は知っている。
こいつは……。
いやな記憶が蘇る。
俺がまだ学校に行っていた時の記憶。
まさに、俺の不登校になった元凶とも言えるこの男との記憶が。
ただ、その思考は遮られる。
「あれ?マサトキクンじゃねぇの!お前もダンジョンに入るのか?」
開口一番彼はそう言った。
俺は、すっかり重くなった口を何とか開けた。
「まあ……な」
「でも、さあ、お前、不登校だっただろ?学校も行かずに良いのかよ?」
「ああ」
不登校。
そこ言葉を、人前で無神経に言う男に力なく返事をする。
「あ、そう」
興味を失ったように彼は俺から目を離した。
そして、先ほどと同じように、自己紹介を行った相手に、自身も名乗る。
「俺、阿曽沼秀樹っす。こいつとは、高校でなかよくしてたんすよ」
「は?」、そう声に出したいのを俺は我慢する。
仲良くなんてしていない。
それどころか一方的に俺に害を与えてきていたのはこいつだ。
俺が不登校になった原因であるこいつはぬけぬけとそう言った。
「へー、そうなんだ……」
俺の様子を見て察したのか、安宍さんはそんな声を返した。
少し、重くなった空気にどうなるのかと、考えていたその時、一人の男が口を開いた。
監督官の卯西さんだ。
「よし!全員集まったようだし、これからダンジョンゲートへ向かう。運よく、この近辺でゲートを確保できたので、移動時間は少ないが、現場に着いたらすぐに、ゲートに入る。気を抜かないように」
そう言った彼に従って、俺たちは移動を始めた。




