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十三話 大量発生


 ダンジョンの存在。

 それは、国がいち早く発見、さらに秘匿されたものだった。

 そして、国はダンジョンの数が増加し、ギフト所持者に頼ることになるだろうと予想していた。


 だが、そこまで判断していた国の想像を上回る事態が起きた。


 ダンジョンが、増加する。

 その読み自体は外れていなかった。

 だが、市街地に現れたダンジョンの数は、俺が住んで居る市だけでも、七つ。


 それは、市街地にダンジョンが現れたと言う第一報から、僅か五時間でのことだった。


『河添さん、至急ダンジョンに向かっていただけませんか?』


 接触してきた国の人間である白波瀬と名乗った男。

 その男に教えられた連絡先から、かかった来た電話をとった時に言われた言葉がそれだった。

 本来、もっと別のことで頼りにしようと思っていたのだろう。


 協力を持ち掛けたのは、力を持つ者として囲っておきたかったからだろうが、実際のところ、ダンジョンが増えすぎたので手伝ってくれなどと依頼する気はなかったはずだ。

 ダンジョンを使えば、レベルも上がるのだから、関係者の多くで固めて今までは、秘匿しつつ攻略していただろうし。

 そもそもの話、俺は戦闘面においての重要視ではなく、ギフト所持者の管理を行う機関を作るために必要であると判断されたために、協力の要請をされていた。


 まあ、それでも、戦闘を任せないなんて言う話はしていないのだから、別に断ることもない。

 

「それに、魔物が溢れ出ても仕方ないしな」


 というのも、白波瀬と名乗った男が語ったダンジョンの性質の一つに、ある一定時間が経っても攻略されなかった場合、ダンジョンの外に魔物があふれ出すと言うものがあるのだ。

 そうと分かれば、俺にだって他人事ではないし、生活もかかってくる。


 とりあえず、俺は、送られてきた位置情報を頼りに現場へと向かった。

 まずは一番近いとこから。


 そう思って進んでいたが、案外早く着くことが出来た。

 身体能力の向上、さらに、道なりに進まなくても、屋根伝いにまっすぐ進んでいけば、タイムロスをなくすことが可能だ。

 一応緊急事態と言う事で、屋根の上を走ったが、流石に普段からはしていない。


 俺は、地面にスタっと着地して目の間に見えるダンジョンに向かった。

 確か、白波瀬は「ダンジョンゲート」とか言っていたか。

 それを目の前にして、名付けられた意味がよくわかった。


 事前に話を聞いてはいたが、実際見るとやはり門。

 空間にぽっかり穴が空いているように見えるが、それは魔界の入り口にも見えるほどだった。


 野次馬がすでに集まる中を掻きわけていく。

 すると、「KEEPOUT」と書かれたテープが見えた。

 そこに近づくと警察だろうか、俺に注意を促そうとしてくる。


「ちょっと、君、勝手に入っちゃだめだよ!」

「えーと。白波瀬さんに、言われてきた河添なんですけど」

「河添ぇ?」


 俺の名前を聞いた警官は訝し気な顔をした。

 一応、白波瀬さんに見せろと言われた証明証代わりの、画像を見せたのだが。

 伝わってねぇのか?

 めんどくさいな、などと思っていると、後ろからもう一人の警官が近寄って来た。


「おい、お前何している?」

「いや、この少年が」

「さっさと通せ。その少年が通達が来てた河添正時だ。さあ、こちらにどうぞ」


 そう言った警官に通されて、俺はダンジョンゲートの前へと足を運んだ。

 まあ、通れるなら何でもいい。


「どうも」


 俺は適当に会釈をして、青白く光るゲートをくぐった。






 ゲートをくぐると、そこは平原だった。

 てっきり、迷宮的なダンジョンを想像していたのだが、そうではないようだ。

 そして、そこらかしこに見えるのは、二足歩行で動く豚。

 きっと、オークとか、そんなところだろう。


 ただ、今はそんなことはいい。

 時間もないのだ。

 俺は、斧を取り出すと同時に【延長】で伸ばした。


 そして、気付かれる前に、オークの頭をはねた。

 振るわれた斧に合わせて宙を舞う。

 案外すんなりいった。

 そこで、止まらず、俺は近くにいる個体から次々と切り刻んだ。


 そして、進んでいくと、大きな個体を発見する。

 こいつが、ボスだろうか。

 まあ、どちらにせよ殺すのだから、考えても意味はない。

 早々に思考は止めて、首を狙った。






 暫くして、俺が外に出ると、未だ野次馬が周辺を囲んでいた。

 邪魔くさいな。

 そんなことを考えていると、警官が話しかけて来た。

 一番姿最初に、話しかけて来た人だ。


「あの、もう、終わったんですか?」

「ん?ええ、まあ。ほら、ゲートなくなっていくでしょ?」


 何で、敬語なのかと首を傾げならも俺は答えた。

 事前の情報通り、ボスと思われる個体を倒したせいか、ダンジョンが消滅していった。

 あまり手ごたえはなかったが、でかい奴がボスだったようだ。


「じゃあ、次行くんで」


 唖然とする、警官を置いて、俺はその場から離れた。

 人ごみで戻れそうになかったので、仕方なく建物へ飛び移ってだが。

 カメラ向けられていたような気がするし、恥ずかしくはあるが、それより魔物を倒す方が優先される事項だろう。


 というか、あの人は驚いていたが、ダンジョンの平均的な攻略時間とか、魔物の強さとか、共有されているのだろうか?

 まあ、少し前から国では抑えていたのだから、それらの情報を共有しててもおかしくないが。


 そんなことを考えていると、すぐ次についた。

 今回は前回と違って、スムーズにゲートへ近づくことが出来た。

 相変わらず、野次馬は多くいたが。


 こっちもさっさと、終わらせよう。

 そんなことを思っていると、警官に呼び止められる。


「あの、ちょっといいですか?」

「なんですか?」

「警察がここにい来て規制を引く前に、ゲートに入ってしまったものがいるらしくて」


 警察も直接見たわけではないが、目撃者がそう教えてくれたのだと、俺に伝えて来た。


「そちらの方も気にかけてくれればうれしいのですが」

「一応、探しながら進んでみます」


 面倒ではあるが、仕方のないことだ。

 そう思って俺は頷いた。

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