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「雨が降る」
エレベータを降りて
左に曲がって
二つ目 四人部屋
窓際 所在なげに
横たわる 老いた男が
私を 見つける
嬉しそうに 顔が 綻ぶ
寒くなってきたよ
食欲はあるの?
欲しいものはない?
男が 頷く 一つ一つ
噛み締めるように
毎週二冊 雑誌を買う
思うほど 世の中の動きは
速くない いつも 似たような
見出しが躍る
小さなベッドの上で
生き抜いてきた社会は
今 どう映る
また 来るよ
男が 落ち着かなくなって
やがて 頷く
何気ない ふうをして
涙を 拭う
長い間 酷使しすぎて
強ばった指
気づかない ふりをして
部屋を出る いつも
玄関を抜けて 目を上げる
外は 雨 泣くような 雨
何かを 閉じ込めたくて
降り続けてる




