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「猫は ー日常ー」
猫は 見ている
私の一挙手一投足を
感情のうかがえぬ丸い瞳で
ヤカンにお湯を入れて
沸くのを待つ間に
インスタントコーヒーの蓋をあけ
白いカップに一杯分を入れる
猫は 見ている
全く興味がなさそうに
それでも私から
目を離すことはない
猫は 見ている
台所のカウンターの隅で
置物ののように身じろぎせず
人間って面倒よねとでも 言いたげに
猫は 見ている
食べ物と寝る場所さえあれば満足
ならば 生きるのは楽だろう
はるかな高みから 超然と
哀れむように
猫は 見ている
悔しいから 手を伸ばして
私のいる場所へ この胸に
抱きしめる 自由を奪われた猫が
不満げに 身じろぎしても
手の中に閉じ込めて
迷惑な頬ずりを繰り返す
お湯が 沸いた




