80.バンパイアの始祖
よろしくお願いします。
魔王というのは、魔族の長であるので、仲人のようなことをしなければならないらしい。
俺は彼女もいないのに、人の嫁を斡旋しなければならない状況に憤りを感じてしまうが、強い魔族を得るためにも配下から種族を交配させ新たな魔族を生み出すのは必要だと説かれた。
俺は仮の立場だから、魔族の地位確立だとか、戦力の強化を望んではいないのだが。
里長には熱望されたので、戻ってからデミトリアスに相談したら、狂喜乱舞された。
俺の配下の強化というところが、琴線に触れたらしい。
そんなに強い配下が欲しいのかと問えば、なんと俺が魔族の半分以上を10年前に吹き飛ばしてしまったので、戦力増強はいろいろな方面でありがたいとのこと。
詳しく聞けば、バンパイアの始祖すら、あの日に塵に変えてしまったらしかった。
生まれたのなら、めでたいことだ。本当にありがたい。
始祖は最古の血統でもあるので魔族たちは手厚く保護するらしい。
始祖は自ら眷属を作れるそうだが、始祖が死ねば一緒に死んでしまうらしい。
さすがに、その場にいただけという理由で、とばっちりで種族を滅ぼしてしまうのは罪悪感がハンパない。
幼いうちは伴侶からの血をもらって大きくなるらしい。力もそれほど強くないので魔力の質が高く、より強い種族が望ましいとのこと。
そんな人物にはもちろん心当たりはない。
そんな中、人間でも構わないと里長は言う。
俺のような特殊な魔力持ちは珍しいだろうが、俺のせいで人間の地位が魔族の中で上がっているらしい。人間だからと侮ることは魔族の意識として減っているようだ。
俺ほどまでいかなくても高い魔力を持つ人間はいるので、彼女たちをあてがってほしいと言われた。
これはもう、集団見合いでもさせるしかない。
思いついて、『フェーレン市合同コンパ』を開催することにした。ついでに自分の嫁もみつかればいいなくらいの下心はある。
とにかく、参加者がバンパイア、人狼、なぜか話を聞きつけてきた猿人だ。
需要があるのか甚だ怪しいので、とにかく豪胆な者をお願いしておく。
会議の面々は何かを考え込んでいるようだが、議長の副市長はやはり穏やかに流した。
「では、フェーレン市からの要望は全市に通達しておきましょう。では、次の議題に移りましょうか」
「は、はい。では、次に移りまして。市の議題は終わりましたので、今度は国からの要望になります。先月起きた失踪事件についてです」
「これは、国王陛下も大変お心を痛めているとのことで、謎の究明と行方不明者の捜索が全市で義務付けられています。我が国のみならず、周辺国の主要人物が姿を消したことで、随所に影響がでておりまして、資料をご覧ください」
資料を眺めると、失踪事件についての詳細が書かれていた。
冒険者ギルド長会議で見た以上に詳細が載っている。
失踪している人物の細かなプロフィールまである。
確かに、貴族や金持ちばかりが並んでいるが、見つかることはないし、このままそっとしておきたい。
それよりも、プートのまたお礼に来るという言葉のほうが気になる。悪魔が銀の狼を手に入れて何がしたいのだろうか。
お読みいただきありがとうございました。




