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48.マヤの祈り(マヤ視点)

作業の都合上、2話アップです。話が飛んだと思われる方は一つ前からどうぞ。

マヤ視点です。

よろしくお願いします。


マヤはふと目を覚ましてうつ伏せていた顔を上げた。


部屋の中は暗いけれど、夜目が利くから物の位置などははっきりわかる。

ここはクロゥインの自室のベッドの上だから、見えなくてもそれほど困らないが。

余計なものを一切排除したこの空間は、神殿にいた頃のマヤの自室よりも簡素だ。


だが置かれた素材の気配は濃厚で、マヤは初めの頃それに気が付いて眠るのをためらった。

極上、最恐、最悪のモンスターばかりを集めたかのような素材の嵐に、気分が悪くなったほどだ。


恐る恐るここにある毛布やシーツや布団の素材元を尋ねると、クロゥインは何でもないことのように狩ってきたと答えた。

ですよね、と項垂れたのは記憶に新しい。


「ううう…ん」


クロゥインが小さく呻いて、身じろぎした。

マヤが目覚めた原因だろう。


自身の腹に埋まるように顔を押し付けているので、今は黒い髪しか見えない。ただ、見えないけれど、彼の眉間には深い皺が刻まれているのはわかった。


彼はこうして眠る度にうなされている。

一緒に寝るようになってまだ回数は少ないが、いつも彼の唸り声で、マヤは目を覚ましてしまう。


彼がつぶやく名はマヤの知らない人たちばかりで、少し不満だ。


せめて自分の名前を呼んでくれれば、ここにいるよと伝えることができるのに。


すがるように腹に回された腕はぎゅっと力が込められていて痛いくらいだが、泣きそうなのも辛いのも彼のような気がして、結局マヤは静かに時間が過ぎるのを待つばかりだ。

鼻づらを彼の頭に摺り寄せる。

さらりとした前髪が揺れて、彼の匂いが強く香る。いつまでも嗅いでいたい、優しくて温かい匂いに包まれてぶるりと身震いすると、みるみる毛がなくなって、柔らかな肌が現れる。


クロゥインはマヤの銀色の毛を好むけれど、狼より一回り大きな人間の腕で彼の頭を抱っこするほうがマヤは好きだった。


朝になって目を覚ました彼が、盛大なため息を吐きながら淫行だとか犯罪だとかぶつぶつ言うけれど、何が問題なのか少しもわからない。


なので、彼が寝ている間はふさふさのしっぽで、彼の大きな背中を撫でながら、マヤは彼の頭を抱き締める。片腕で前髪を少しかきあげて眉間の皺を伸ばすことも忘れない。

思いのほか柔らかな黒髪をゆっくり撫でることも付け加える。


願わくば、彼が少しでもいい夢を見られますように。


祈りながら、マヤは、目をそっと閉じるのだった。

朝になれば、またクロゥインの絶望的なため息で起こされるのだろうけれど。

お読みいただきありがとうございました。

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