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46.職業レベルと冒険者ランク

本日は2話アップです、話が飛んだと思われる方は1つ前からどうぞ。

よろしくお願いいたします。


「クロゥイン、サムから連絡が来たぞ。レッド・カーニバルが来るってさ」


冒険者ギルド長室でお茶をすすっていた俺は、隣で書類をさばいていたダグラスの言葉にふうっと息を吐く。


「もうそんな時期になったのか…」


レッド・カーニバル。赤い祭りは、スタンピードのことだ。魔物が大量発生し、深淵の大森林の出入口付近や結界周辺で溢れかえる。

俺が結界を張る前は一年に一度の頻度で起こっていたが、結界を張って外に出ないようにしたため、半年に一度程度になっている。

定期的に湧き出てくる魔物が結界を破壊しに周辺にでてくる。放置は難しいので、討伐隊を組んで対処に当たっているのだ。


昔は王国の騎士たちや周辺の冒険者ギルドにも要請をしていたが、今ではフェーレン市のギルド所属の冒険者たちだけで対処できるようになっている。10年の成果だ。


「確かにすごい数になってるか」


探知魔法で深淵の大森林の魔物を調べると、万の表示数になっている。

順調に結界に近づいているようだ。


「ダグラス、武器と防具の数を確認しろ。あと動ける冒険者の編成だな、いつもの3班編成の2交代制でいいか?」

「前回はランクF~Eが多かったから、同じ割合なら3交代のほうがいいんじゃないか? 2班編成の3交代制で、1個につき6班でどうだ?」

「至急、冒険者のランクと数を確認しろ。それによって班数をきめればいい。明後日にはやるぞ」

「了解」


レッド・カーニバルではDPが稼ぎやすいので、職業レベルがどんどん上がる。前回、F~Eランクだった者もDやCになっているはずだ。ただ冒険者ギルドのサポート制度の噂を聞きつけて、遠方からF~Eランクの冒険者たちも集まるので、常に下のランクの冒険者が多く存在するのが現状だ。


冒険者はギルドに所属することが決まっており、一度登録するとなかなか辞められないのが一般的だが、フェーレンの冒険者ギルドは好きに脱退することができる。レベルやランクを上げてほどほどの力をつければ、他の街へと移っていく。

所属する際と辞める際にはお金が発生するが、深淵の大森林にいる魔物の素材を売れば高額になるため、すぐに辞めることも可能だ。


冒険者にとってはありがたいシステムになっている。

一方でフェーレンの冒険者ギルド的にもメリットが多い。ギルドには凄腕の有名な冒険者が多くいるため、下のランクの冒険者はむしろ足手まといにしかならないからだ。


昔は使い捨てのように下位ランクの冒険者を盾に使っていた。死亡率もほぼ100%に近かったようだが、俺の代になってからは命を優先する。そのため、下位ランクの冒険者がたくさん集まっても抱えきれないのが現状だ。

成長して、お金を払って辞めてくれるので貴重な収入源にもなっている。


正直、レッド・カーニバルもフェーレンのギルドに所属しているランクSの冒険者に依頼すれば、半日もあれば片付くと踏んでいるのだが、そうすると下位ランクの冒険者のDP稼ぎにならないので、編成を組んで討伐し、さっさとランクを上げてもらうことにしているのだ。


ちなみに、冒険者のランクはそのまま職業レベルと直結している。

ランクFはレベル1~20、ランクEはレベル21~40、ランクDはレベル41~60、ランクCは61~70、ランクBは71~80、ランクAは81~90、ランクSは91以上だ。

複数の職業を持っている者なら、一番高いレベルの職業でランク付けされる。


職業レベルは鑑定すればわかるので、冒険者のランクを偽ることは難しい。鑑定魔法を持っているものが少ないという欠点はあるが、鑑定できる魔道具があるので冒険者の職業レベルはギルドにいけばわかるようになっている。

だが、鑑定魔道具は固有で、基本的には一種類しか鑑定できない。


職業レベルを調べる魔道具は、素材の鑑定ができないといった欠点はある。


「あと神殿にも声かけておいてくれ」

「ああ、アーベインがやきもきしてるだろうからな」

「違いない」


ダグラスの指摘に俺はつい吹き出す。


フェーレン市の唯一の神殿は大陸に広く普及している慈母神を祀っている。神官が日夜、修行をしているが主な仕事は祈祷と治療だ。

祈祷には女神の祝福も含まれる。


神官も職業レベルがあるのだが、祈祷した相手が戦闘してDPを稼ぐと自動的に獲得できる。

神官長であるアーベインは下位ランクの神官たちのレベルを上げられるレッド・カーニバルを心待ちにしているのだ。


連絡しておかなければ、後が恐ろしい。


あの陰険腹黒メガネのやることだ。陰湿でしつこいのは目に見えている。


「ダグラス、やっぱり俺から連絡しておく」

「お前が自分でやるなんて珍しい。何かあった?」


何かあったかといえば、あっただろう。


俺にも自慢できるペットができたんだから。



・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・



『Toアーベイン


久しぶりだな、業務連絡だ。


俺もペットを飼うことにした。

人狼だ。あんまり強そうではないけれど、抱き枕としては最高だ。温かくて気持ちいい。

毛皮はフカフカで上質だ。


それに声も聞いていて心地いい。俺の名前を呼ぶ、少し舌ったらずなところも愛嬌がある。俺の体を心配してくれるし、掃除を手伝ったりしてくれる賢いところもある。


優しくて可愛いところもペットらしくていいだろう。


金色の瞳は太陽の光のように輝いている。銀色の毛色は月の光のようだ。こぼれそうな大きな瞳はまっすぐに俺を見つめてくる。健気だろう。


見せられなくて残念だ。


寒いフェーレンでは随分とありがたい存在になると思うがマヤほどになるとなかなか見つけられないだろうな。出会えた幸運を俺は神に感謝してもいいくらいだ。


ところでレッド・カーニバルだ。明後日の朝までに隊を決めるので参加できる者のリストをこちらに送ってくれ。


Fromクロゥ』

お読みいただきありがとうございました。

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