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30.竜の脳

これまでお付き合いただきありがとうございます。

引き続き、よろしくお願いします。


みんなまとめて転移をした。

家屋を壊す土トカゲも、慌てるカーバンクルの親子も、ついでにサジェストも、だ。

サーチで居場所を確認し、さっさと転移させる。

壊れた建物の修復は(仮)市長の依頼で、冒険者ギルド経由の生産職ギルドへと伝わっているはずだ。


平地が思いつかずに、魔王城の傍近くの更地に飛ぶ。


「ここは…?」


とまどいの声をあげるカーバンクル親子に、そびえたつ魔王城を指し示す。

少し離れてはいるが、荘厳な建物が彼らの背後にある。

今日も眩しいくらいに真っ黒だ。ただ、うっすらと光っている色は紫だ。

建材に使われた素材のせいだとデミトリアスがとても自慢していたのを覚えている。もちろん、詳細は聞き流した。


「魔王城の近くだ。ここならたっぷり暴れられるからな」

「ああ、ここが噂の魔王城! クロゥイン連れてきてくれてありがとう」

「サジ、お前はちょっと黙ってろ。話がややこしくなる」


お仕置きで連れてきたのに、喜ばれると路線が外れる。

歓喜で踊りだしたサジェストを放置して、動き出した土トカゲを眺めた。


『ドラーフト・カーブ』


俺が魔法を唱えると見えない風の刃がふっと土トカゲの間を駆け抜けた。

しっぽの先から細く切れていく。


「なっ?!」


じわじわ尻尾が短くなっていく恐怖に、土トカゲは細い鳴き声を上げて、暴れまわった。

しっぽを切られても所詮トカゲだから痛くはないだろうが、胴体まで達すれば無事では済まない。


巨体が地面を転がるため、土が舞い上がる。

街中でやらなくて本当によかった。二次被害になるところだ。


「ま、待ってください。こいつらは娘を探すことに協力してくれただけなんです。街の中で建物を壊してしまったことは謝りますから、どうか!」


カーバンクルの男が地面に額をこすりつけんばかりに平伏している。その横で娘の方も父親にならい、膝をついて頭を下げる。


「魔物の知能が低いからって謝って済んだら、俺の条例に違反するやつらを取り締まれないだろうが。言葉で言ってわからないやつは体に刻むしかないんだ」

「では、かわりに宝石を差し出します!」


宝石など、仔細わからない数ほど持っているが、カーバンクルは必死だ。


「我らの額にある宝石は竜の脳と呼ばれるほど希少性が高く、魔価も高いので高額で取引されると聞いております。亡くなった仲間の石が、いくつかあるのでそれで、どうか許していただけないでしょうか」

「カーバンクルの額の宝石があれば以前クロゥインが作りたがっていた魔道具が作れるな」


状況を眺めていたサジェストが、腕組みしながらふむと頷いた。


「俺が作りたい魔道具ってどれだ?」

「あれだよ、ほら。夢をみるって言ってた…」

「ドリームウォーカー!」

「そう、それだ」


俺が作りたい魔道具『ドリームウォーカー』はその名の通り夢を見させてくれる。

俺の顔が強面の犯罪者級ではなく、せめてダグラス並みの好青年になって、女子供に泣かれない。

そんな素晴らしい世界を、せめて夢では見たいという願望だ。


だが、魔価、強度とともに100以上ないと、俺の魔力に耐えられないため実現が難しい。

そのため、最適な石を探していたのだが。


俺は魔法をさっさと解除する。


「よし、交渉成立だ。石を寄こせ」

「さすがはクロゥインだ。盗賊みたいなセリフもよく似合うね」

「うるさい、サジ!」


お前の賛辞はいつもビミョウなんだよ!





お読みいただきありがとうございます。

感謝しきりです。

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