22.サジェストの現状
よろしくお願いします。
バグロード市の市内の公園に転移した。
緑の芝生の敷き詰められたのどかな公園だ。
天気のよい午前中の昼下がりは親子連れや仕事の休憩など、思い思いの憩いが見える。
「クロゥくん、悪ふざけが過ぎます」
だが、そんな空気をぶち壊し碧い瞳を怒らせて、レミアルは怒ってくる。残念ながら160センチの身長で怒られてもそれほどの威圧感はないけれど。
「黙ってやってもレミアルは怒るじゃないか」
「やらないで下さいと言ってるんです!」
「でも黒幕のところに行きたくなるように仕向けたのはレミアルだろ?」
「それでサジくんの居場所がわかるってクロゥくんが言ったからでしょう」
「まあまあ、レミアル落ち着いて。クロゥも市長としての務めを果たしてるだけだから。いや、ギルド長としてか?」
「どっちも俺は仮の立場だからな。それより、サジを探すぞ」
「結局、どういうことなんだ?」
事情を全く知らないダグラスが首をかしげている。横ではレミアルが深刻そうに眉根を寄せた。大まかな事情はサジから聞いているのだろう。
「サジくんは召喚士ですから、捕まってるんですよ」
「え、あいつが捕まってる?」
ダグラスが上擦った声をあげた。
召喚士は上級職だ。魔族や魔獣を容易く扱い、召喚できるので上級職の中でも強い。サジはレベルも80台のはずだ。そのサジが誰かに捕まっているのが想像できないのだろう。
「あいつのことだから、捕まったフリをしていたか協力するフリでもしていたんだろう。こうして俺たちに定期的に連絡寄こすくらいだからな。だが、それも3日前までの話だ。最後のメッセージはバグロード市で闇市が開かれることしか書いていない」
「闇市? 魔族や魔獣を売るのか。サジが捕まっているのは、売る商品を呼び出すために利用されているからか」
「あとは銀狼を捕えるためです。もしくは、捕えた銀狼を操るためですね」
レミアルの言葉に、ダグラスの顔色が変わる。
ようやくつながりを察したのだろう。
「銀狼って、もしかして―――」
「俺が保護しているマヤだろうな」
「あれ、クロゥくん、銀狼を保護したんですか?」
「ああ。いつもの密輸犯をこらしめただけだ。ギルドには伝わってないのか」
「あれはどちらかといえば、市長の権限だろ。だから、アリッサちゃんに預けたんじゃないのか?」
三役していると業務内容の区分が難しい。どこの仕事場に持ち込むかも悩みどころだ。
一応線引きとしては、市政や条例に関わることは市長が、冒険者が関わることはギルド長が、魔族に関わることは魔王である権限でやっているつもりだ。
仮だろうが、それくらいの権利はある。
「サジは最初銀狼を呼び出すために利用されたようだが、できなかったようだ。それで、今度は捕まえた銀狼の言うことをきかせるために方向転換したらしい。最後のメッセージにはそう書かれていた。その後、何かがあってサジの連絡が途切れた。イヤーリングはサジの手元にないみたいだな」
「まさか…」
ストレージを唱えると、俺の手元にイヤーリングがポトリと落ちてくる。
持ち主の耳から離れると、自動的に俺のもとへと戻ってくるように魔法がかけられているのだ。
貸出屋の武器、防具と同じ魔法リターンである。
イヤーリングを悪用されないための措置だが、おかげでサジと連絡が取れなくなった。
「いつ戻ったのかは定かじゃないが、たぶん三日前だろう。保管空間内を確認してなかった俺の落ち度だ」
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