第5層、ボーナスエリアと本番
や、やっとこさ本番行けるのぜ(カットカットで1話で終わらせる位の
気組みでやって行くぜー)
「お疲れ様でした、これより10分間のインターバル後、クリアした
全プレイヤーを第5階層へ転送いたします」
「終わった・・・のか?」
マジで?あんなので終わり?舐めてんの?
「あー・・・どうされましたでしょうか?」
心底不思議そうな目の前の毛玉は、小首を傾げて見つめる。本当に
分かっていない様だ。と言うか、分かってる事の方が少ないか。
「あのなー、首飾り渡たらはい終わりって、そりゃねえだろ」
「あのー、それが通常のクリアルートなのですけれど・・・」
「・・・マジィ?」
「はい、基本的に、主人公に見立てられたNPCさんを助けるか、特定の
NPCにあるアイテムを渡した時点でクリアとなってますです」
あ、さいですか。・・・・何だこの・・・。
「徒労だったか。ってか、時間制限の経過で起きる事象と
実際の制限時間は教えてくれるのか?」
胸の中から湧き上がるこの感情は深く考えず、とにかく気分を変えようと
適当な質問をする。答えてくれるかは微妙なのは仕様が無い。が、
「ええと・・・例えば、南に飛ばされると、一律1時間です。その間に
脱出かNPCに遭遇して、助けた後にアイテムを渡すとクリアできますです。
出来なかった場合は3つのパターンに分けられてまして、
ある敵対NPCに遭遇していると特殊演出による殺害、もう一つは
友好NPCによる救出です。それでなんですけれど、西の迷宮は
最奥に到着する、友好NPCに特定アイテムを渡す、中立NPCを全員殺害する、
友好NPCを全員殺害するなどのクリア方法が可能になってましゅ!」
最後噛んだのは可愛いからいいとして、なんか変な感じだ。見逃しの多さは
否めないかも知れないが、少なくとも、中立、友好、敵対で3人居る筈のNPCを
全く見た記憶が無い。マジで探索能力皆無ってだけなのか・・・ショックだから
聞いてみよう、そうしよう。
「中立NPCってのは何処に居たんだ?全く会った記憶が無いんだが」
「はいです・・・先程までいたタイプの迷宮では、最上階に居る番人と
中層に居る一度だけ敵対行動を取る中立NPC、下層に居る5人の友好NPCで
構成されていまして」
・・・・説明中
結論から言おう、悲しい気持ちになった。以上、
「俺、思ったより使えない人だった・・・・」
「おお、落ち込まにゃいでくださいです!」
「ハァ・・・で、この後は?」
深い溜息の後、さすがに長居しすぎな気がしたのでそんな事を
言ってみると、気を取り直して目の前の毛玉が語り出した。
「では、ゴホン、えー、次はある質問に回答して貰いますです」
「はあ」
「それでなんですけれど、注意事項として、自分に嘘を吐くと間違いなく
不利益になりますです。なので、出来れば本心からの回答をして下さいです。
ただ、別にしなければならないとゆう訳でも無いのです!」
少し分かり難いが、何かしらの攻略みたいな物では無いみたいだ。この後も全く
敵に関しての話は出てこず、毛玉を少しの間堪能する等のイベントを挟みつつ、
次の階層へ飛ばされた。
・・・・
「もうちょっとなんか無いもんか・・・痛え・・・」
これまでには無かった頭痛、少しの間の後、目の前に広がるそれを見た。
「・・・・何コレ?」
広がる全てに共通しているのはだだっ広い空間に在る変な生物だけ、
しかも、その生物に捕まっている者が居た。近づいて初めて分かるソレは、
プレイヤーだった。
「質問・・・聞き忘れてたが誰からだ?コレ?いやいやいやいや」
「あ!」
「ああ、フラムか、ちょっと待ってて、今整理するから」
「整理って何よ、それにこの場所!」
「だから待っとけ!」
思考を纏めると、この場所は第5層、あの変なのは多分質問者だ。
だが、敵の気しかしないフォルムとプレイヤーと同化している点で
こっちの判断力を乱していた。よし、取り敢えず纏め終わった。
疑問は残るが、細かい事は気にしない。それより、
「悪いフラム、待たせた」
「・・・良いわよ、で、ここ何処?」
これである。
「はあ!?マジで言ってんのか?」
「な、なによ、変なのに攻撃したらこっちに飛ばされたのよ。悪い?」
「何だそりゃ」
「知らないわよー、東の迷宮に飛ばしますとかふんわりした毛並みの猫に
言われて、クリアしましたって流れたと思ったら急に触手と目玉がこっちを
見てて、そいつに攻撃したら飛ばされたのよ」
詳しく聞く程訳分かんね、つまりは何か、クリア後のナビが見た目グロすぎて
攻撃したらこっちに飛ばされたと。フラム・・・・。
「酷い一時被害を聞いた」
あっちも大変だったろう、まさか休ませる予定のプレイヤーが
躊躇なく(推定)自分に攻撃して来たんだから。
「なによー、怖かったんだからね!?」
「ま、良いや。取り敢えず、アレが何か分かるか?」
「フン、良いわよ良いわよ、どうせ私は・・・」
「駄目だー、面倒臭いネガティブスパイラル入ったー・・・」
「誰がネガティブよ!!」
「おお、復活した。最初よか早くなったな」
最初は2分間くらい戻って来れなかったので、意識改革を無意識の領域で
適当にやってみたんだが、効果があったみたいで良かった。
「それで、あのヘンテコだったわね?」
「おう、思い当たる節が無い割に嫌な感じがしてな」
「まっっったく見覚え無いわね!」
「即答かよ」
「そもそも、イベントに既存モンスターを持ってくるにしても、まだまだ
アリ相手に合せるメリットなんてないでしょう?」
それもそうだ。未だ弱者で行動範囲も制限されている時点でお察しだったな。
「うーん、どうするか。質問者がコイツだとしたら・・・おい」
「なに~」
「くつろいでんなよ、あそこ、見えるか?」
「なによー、別に構わないでしょ~?・・・・」
ゾクッ!!!
視線の奥、何も無い空間から黒い点が発生し、ソレが一気に横に広がる。
瞬く間に波となったソレが、少しづつ近づいてきた。いや、少しづつと
感じていたのは離れていたからだ。数十秒に満たない時間で
ソレが周囲を覆う。逃げる時間すら与えられず、目の前でソレを直視した。
「また・・・・・・ウッ!!?」
それを掲揚するのなら、とびきり気味の悪い昆虫を3種用意して、それを
目隠ししながらパーツ別にない交ぜにしてから3で割った様な、不自然に
混ぜ合わされたような見た目が、脳みそを内側からかき回されたような
錯覚を覚えさせられる。
「・・・・〈紅蓮の獅子〉!」
「あー、待って待って〈拒否する〉」
「「!?」」
耐え切れなかったフラムから魔法が放たれるが、それを制するように
虫から女の声と手が伸びた。
ジュウウウゥゥ・・・
「あ、かなり強めの魔法だったんですね。ちょっと焦げちゃいました」
「なに・・・!」
ケタケタと笑う女は、ほら、と少し焦げ跡の残る掌を差し出し、それを見て
また笑う。フラムの視線が訝しげに女を見つめるが、その表情が困惑に変わる。
ゾゾゾ!!
「なん・・なの・・・」
「あははー、よりによって私を引くなんて、運が悪かったと思って
節度無き扱いは控えて戴けますようお願いします。私は特級処理業者兼
案内人のラブレ〉呼び方は適当でも構いません。話、
始めて宜しいでしょうか?」
懇切丁寧な説明だが、言葉は2人の耳に届いていなかった。目の前で
虫の上に居る女の容姿が、あまりに生物として不自然且つ不可解だったからだ。
「反応が無いので少し変な感じですが、説明を始めましょうか」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「はいはい、なんでしょう?」
手早く進めたい派かと思ったが違った様でよかった。色々と
聞きたいことは有るが、取り敢えず。
「質問者はアレで合ってるか?」
見た目に関しての質問は憚られたので止めておく。なんて言うか・・・うん、
失礼とかそう言う類じゃない方で嫌な感じがした。
「その通りですね、早目に攻撃してくれると案内人の出番が無くて楽ですけど」
・・・・またまた説明中
「じゃ、叩き込みますね」
「待ッ!」
ドゴオオオオン!!!
「ん、何か言いました?」
「私は自分から行くから良いわ・・・・ちょっと、近づかないで!?」
「いえいえいえ、私は貴方達を確実に、最短時間で、質問者の所へ
送る為に居るんです。遠慮なさらずに」
「だから私は自分で行くって・・・・やめてーーーー!!」
こうして、2名のプレイヤーが嫌な擬音を立てながら質問者に衝突し、そのまま
ピクピクと痙攣している様子に若干引き気味の質問者がプレイヤーを気遣う
奇妙な構図が映り、約4名の管理人が頭を抱える事になったのはまた別のお話。
・・・・???の内部
『質問を開始します。これより、回答以外の応答手段を停止し、返答外の
言葉を発した時点で吸収を開始します。可能な限り正直に答えて下さい』
(その前に回復して欲しいんだけど、マジで頭が割れそうなほど痛い・・・)
投げ飛ばされてから十数秒、なんか変な空間の中でシステムメッセージが
流れるが、正直それどころでは無い程頭痛が酷かった。
『質問を始めますが、質疑以外の事は謹んで下さい。始めます』
(おいこら、聞こえてんだろ。回復位させろー)
自分でやるから言葉位出させてくれー。
『一つ目、自信が秀でた活躍をしたと確信できる階層を選択してください。
これには、タイム、NPCとの関係性、倒した敵の数なども含まれます』
が、無視。なんか空しい。落ち着けー、取り敢えず、今は質問に集中だ。
「最も活躍・・・」
第1は・・・優柔不断なやつの中に実力者でも混じっていなければ、
俺が一番早かっただろう。勘の良い奴が居たらまた別かも知れないが。
第2は・・・どうだろ、助け合いみたいなことやった気がするが、
あんなのに何かが有るとすれば、クリアタイムだろうか・・・いや、あえて
勢力別に戦闘をあおる様な動きをしてたって事は、勢力数÷クリアタイムとか?
ならどうにか活躍できている可能性はある。
第3はフラム一択だな、あの火力以上は出せない。
第4は・・・他のプレイヤー何じゃないかな(泣)
「1層と2層」
『聞き取り完了続いて次の質問です』
何度か良く分からない質問も何度かあり、くじ運から死にかけた時の
心境まで、かなり根掘り葉掘り聞かれた。途中で欠伸をしそうになる度に
何かに睨みつけられるような感覚が走り、結構なストレスだった。
・・・・
『では、質疑を終了します』
何分後だったか、かなりの時間拘束されていたように感じる。
やっと終わるかと思われたその時、目の前に画面が出て来た。
『・・・え、映ってる?あ、そう。んん”!えー・・・何だっけ?』
酷い出落ちを見た。漂うホームビデオ感に、呆気にとられてしまう
レンとは対照的に、ああそうだったと、映像の主は気を取り直していた。
『ご苦労様、これで上級は終了したよ。だから』
いや、次の一言でその感情は吹き飛んだ。
『ここから本番に入って貰うね』
「・・・は?」
いやまあ、確かにタイムアタックにしても少しランダム性が高すぎる
気はした。ただ、だからと言ってそれは無いだろ。
『初めてのダンジョンイベントと言う事で、ちょっとしたボーナスを
あげようと少しだけ頑張って作った物に、意地の悪い子が横槍を
入れたのが此処が出来た経緯なんだ。だから、ここからが本番、
このミニ?ゲームもプレイヤーの総数×15%がクリアできたら
強制的に終わるし、嫌なら3回脱落した時点で選択肢が出るから、
本番をやっている子はまだ少ないけど、既にやっているね』
なんか・・・裏話が悲しい上に嫌なぶっちゃけかまされたんだが、
どんな反応を返せば良いんだよ。
『まず、君達ちゃんとクリアしてくれた組に報酬を渡すね。いままで
取ったアイテムか、ガチャで出したアイテムを、自分が秀でた活躍をした
と思った回数×1個持ち出せるよ。嘘を吐いた子は×-1、欺く系の
職業スキルを持っている子は、50%で騙せていたと判定されるよ。
ステータス画面で確かめてみてね』
取り敢えず、言葉が発せない状態ではどうしようもないので、
ステータス画面を開くと、最初の項目に、MVP報酬を選択してください。
と言う項目と、3つの空欄が出て来た。
『ああ、これもか。全部正直に答えてくれた子には、報酬の枠を
一つ追加しておいたよ。これでどの項目でも活躍しなかった子も
持って行けるから、安心してね』
成程、正直に答えるメリットはコレだったか。さて、どうするか。
なんて事を考えていると、不意に音声が切り替わった時の、ぶつ切りにされた
音が聞こえた。
『報酬は後でも選択可能のため、説明を終了したプレイヤーを強制排出します』
(まあ、だろうな・・・なに!?)
『排出開始』
(ッざけんな!!)
排出と言うのは納得が行くから良い。ただ、この排出方法は無いだろう。
そう思える程酷い。何が酷いかを単純に言うと、水洗トイレの要領で流され
ようとしていた。なんて言うか・・・酷い。
(ああああああ・・・・)
ただ、泳ぐ以外何が出来る訳でも無かった為、普通に水圧に流され、
そのまま流されていった。
汚物のように流されて行く主人公・・・酷いもんだ(愉悦(←使い方多分違う))
ちょっと長引きすぎましたなぁ(←無計画の阿呆の図)




